投稿日 2022/07/25

マーケターの組織での孤立に学ぶ、3C ではなく 5C での全体最適化


今回は、BtoB マーケティングが社内で機能していない 「マーケターの孤立」 に学べることです。

✓ この記事でわかること
  • 社内での BtoB マーケティングの孤立とは?
  • マーケティングと営業の相互不信
  • 後工程への配慮、全体像の拡大
  • 「お客さんのお客さん」 まで見よう
  • 3C から 5C へ

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

マーケターの孤立


こちらの記事を読みました。

組織からの孤立、The Model の導入 - 初心者 BtoB マーケターがぶつかる課題と解決策【前編】|MarkeZine

記事では、BtoB 企業でのマーケティングの定着や他部門との連携がうまくいかず悩むマーケターに向けて、実践的なアドバイスを解説しています。

書かれていたことで印象的だったのは、「マーケティング目標だけを追うマーケターは組織で孤立する」 という指摘です。

BtoB のビジネスでマーケティングチームが組織全体から孤立してしまう最大の原因は、何と言ってもプロセスの後ろを見る意識が不足していることにあります。どういうことかと言うと、マーケターがインサイドセールス、営業、カスタマーサクセス、そして経営陣と目標を共有することなく、マーケティング目標の達成だけを見てしまっているのです。

よくある失敗が 「創出したリード数が前年同期比 250% 増」 と報告したものの、売上貢献度を説明できないケースです。後ろに控える営業にとっては、数だけ多く渡されてもリソース的に全部をフォローできない場合もありますし、もらったリードの質が悪ければ次につながりません。

それに 「リードが前年同期比 250% 増」 とマーケティングが成果を謳っても、受注金額が減少していたらどうでしょう。営業はマーケティングに不信感を持ち、渡したリードをフォローしなくなります。一度こうした悪循環ができてしまうと、信頼回復には時間がかかります。マーケターは作ったリードの商談化に何が必要か、その条件を逆算して考えなければならないのです。

ここで言っているのは、マーケティング部門の部分最適による弊害です。

BtoB マーケティングの役割


BtoB マーケティングの主な役割は、リード (見込み客) の獲得です。リードとは、商談ができ案件につながりそうな見込み客です。

BtoB マーケティングではデマンドジェネレーションと表現したりします。マーケティング活動を通して営業部門に確度の高い顧客を渡す活動です。

とはいえデマンドジェネレーションは、事業全体で見れば全体プロセスの一部です。リードをつくるマーケティングの後にも工程は続いていきます。事業で目指すのは、営業が契約につなげ、実際に案件がまわり売上を得ることです。

部分最適が相互不信に


こうした後工程への意識が足りないと、部分最適の弊害が起こります。

マーケティングが部分最適の追求によって、単にリード数を最大化させることが目的化してしまうわけです。後工程のインサイドセールスや営業からすると、質の良くないリードを大量にもらってもむしろ困る状況になります。

営業はマーケティングを信頼できなくなり、マーケティングも営業との間に壁を感じ距離の遠い存在になります。相互不信を生んでしまうのです。


学べること


ては、ここまで見てきた話から学べることを掘り下げていきましょう。 

後工程と全体像


BtoB マーケティングの社内孤立の話から教訓として残しておきたいのは、後工程の配慮と、全体像をより広く捉える重要性です。

後工程とは、BtoB マーケティングではマーケの後に続くインサイドセールスや営業です。これらは社内のことですが、さらに全体像を広げて社外にも目を向けてみると良いです。見る先は直接のお客さん、その先にいる 「お客さんのお客さん」 です。

例えば、直接取引をしているお客が飲食ビジネスを展開していれば、「お客さんのお客さん」 とはお客が提供する食品や料理を食べる生活者になります。ここまでを後工程と見なすのです。

3C から 5C へ


もう1つ、学びを広げると、戦略やマーケティングでよく使われる 3C というフレームは、5C に進化できます。

3C とは、

  • Customer 顧客
  • Competitor 競合
  • Company 自社

の3つですが、共通するのはいずれも自社視点であることです。自分たちが直接取り引きをしている顧客、自分たちの競合、自社です。

さらに全体像を広げて、2つの C を加えた 5C にすると良いです。

✓ 5C
  • Customer 顧客
  • Competitor 競合
  • Company 自社
  • Customer's customer 顧客の顧客
  • Customer's competitor 顧客の競合

追加したのは最後の2つである 「Customer's customer」 と 「Customer's competitor」 で、「お客さんのお客さん」 と 「お客さんにとっての競合」 です。

今回の教訓として残しておきたいのは、「5C の視点を自分の仕事や組織での対応業務の範囲に入れて、部分最適の罠にハマらず、全体最適化をしよう」 です。


まとめ


今回は 「BtoB マーケターの孤立」 という話から、マーケティングや仕事術で学べることを見てきました。

最後にまとめです。

BtoB マーケティングの孤立
  • マーケティング目標だけを追うマーケターは組織で孤立する
  • BtoB マーケティングの主な役割は、リード (見込み客) の獲得。マーケの部分最適の追求からリード数の最大化が目的化すると、質の良くないリードが営業に大量に渡る
  • 営業はマーケティングを信頼できず、マーケも営業との間に壁を感じ、相互不信に

後工程と全体像の拡大
  • 自分の対応範囲だけではなく、後工程に配慮することが大事
  • さらには社内だけではなく社外にも目を向けてみると良い。直接のお客さんの先にいる 「お客さんのお客さん」 や 「お客さんの競合」 まで
  • 全体像をより広く捉え、部分最適の罠にハマらないようにしよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。