#マーケティング #新しい問題 #新しい解決
目の前の変化を、どうすればビジネスチャンスに変えられるのでしょうか?
私たちのまわりでは日々、テクノロジーの進化や生活様式の変容など、様々な環境変化が起きています。その変化が生み出す "歪み" こそが、実は新たなビジネスの種になったりします。
オムロンフィールドエンジニアリングは、小売や飲食店のデジタル化という環境変化から生まれた問題を独自のソリューションで解決し、価値を生み出しました。
今回はこの事例をもとに、新しい問題がどのように生まれ、それをどう解決し、どんな価値につながっていくのかを考えます。
小売や飲食店のデジタル機器・システムへの課題感
小売や飲食業界では、お店では来店客の利便性や体験価値を高めようと、新しい機器やシステムを積極的に導入しています。
デジタル機器の導入普及による弊害
具体的には、店内外にデジタルサイネージや注文用タブレット、セルフレジ、キオスク端末などです。コロナ禍を経て店舗では非接触型のサービス需要が高まり、これらのデジタル機器の普及速度はさらに加速しました。
一方で、店舗でのデジタル機器が増えれば増えるほど、どの機器をいつのタイミングでメンテナンスをすれば良いのか、故障してしまう前にどうやって異常を検知すれば良いのかといった管理上の問題が顕在化します。
機器のトラブルが発生すると対象メーカーがそれぞれ異なるため、店舗のスタッフがメーカーごとに連絡を取ることになり、時間と手間もかかります。保守運用業務にスタッフのリソースを割かれ、本来行いたい売場づくりや接客に注力できないという問題につながります。
オムロンフィールドエンジニアリングの解決策
こうした環境下で、オムロンフィールドエンジニアリングは 「マネジメントサービスソリューション (M&S) 」 を提供しています。
複数メーカーの機器を一元管理し、統合保守体制でサポートするというサービスです。
全国に約130拠点、1200名を超えるエンジニアが24時間365日対応できる体制を整えています。店舗ごとに発生するちょっとした不具合から出張修理が必要なケースまで、ワンストップで受け付けます。
オムロンフィールドエンジニアリングの強みの源泉は、もともと鉄道の改札機や ATM といった、絶対に止めるわけにはいかない社会インフラ機器の保守を手がけてきたノウハウと体制にあります。
全国規模ですみやかに対応できる社内基盤を活用し、店舗の故障対応や定期保守をサポート。機器ごとの複雑な問い合わせ先や在庫部品の管理などを一手に引き受けることで、オムロンフィールドエンジニアリングは企業や店舗スタッフが本来の主力業務に時間を使えるようにします。
さらにオムロンフィールドエンジニアリングは、データを活用したソリューションにも力を入れています。
例えば、機器に備わっているセンサーからの稼働データを活用し、デジタル機器の予防保守を実現する仕組みです。店舗にとっては、機器が故障したことをすぐに気づけなかったといった可能性を減らせ、常時稼働している状態を維持できます。
学べること
では、オムロンフィールドエンジニアリングの事例から学べることを掘り下げていきましょう。
ビジネスでは常に事業環境の変化にさらされています。
生活者環境やビジネス環境が変化し、新しい事象が起こると、今まではなかった新しい問題が発生します。その問題を解決することにより、お客さんや世の中に新しい価値をもたらすことができるわけです。
こうした変化によって生じる 「歪み」 には、ビジネス機会が眠っています。いち早く変化を察知し、チャンスと捉え、自分たちの強みで解決できれば、世の中に価値ある製品やサービスを生み出すことができます。
新しい事象、新しい問題、新しい解決策、新しい価値という一連の流れは、今回のオムロンフィールドエンジニアリングの事例にも当てはまります。詳しく見ていきましょう。
新しい事象 (生活者環境やビジネス環境の変化)
小売や飲食店のお店では、来店客の利便性や店舗体験の満足度を上げるために、さまざまなデジタル機器を導入するようになりました。
小売の店内に置かれたサイネージは大画面やタッチパネルを活用してさまざまな情報を発信し、飲食店のテーブルに設置された注文用タブレットは省人化やオペレーション効率化にも寄与します。
デジタル化の波によって、うまくいけば店舗スタッフの負担は減ります。表面的には店舗側も効率化ができているように見えます。
しかし実際には、管理対象となるデジタル機器が増加し、それぞれの機器でメーカーも仕様も異なるため、故障時などの不具合が起きてもすぐには対応しきれない状況が発生します。
こうした新しい事象が発生すると、今までにはなかった 「新しい問題」 が顕在化します。
新しい問題
ここで言う新しい問題とは、店舗運営負担の増大、ノウハウ不足、顧客満足度低下の可能性です。
運営負担の増大とは、機器のトラブル対応が起こると、店舗スタッフはメーカーごとに連絡しなければならず、その分だけ直すのに手間取り時間がかかることです。交換部品の手配が遅れてしまえば、店舗運営側はイレギュラーな負担が増えます。スタッフのモチベーション低下や疲弊につながりかねません。
次に蓄積ノウハウの不足ですが、デジタル機器がうまく作動しなくなった際に何が故障原因なのか、誰に相談すればいいのかといった運用の知識・ノウハウが店舗側に蓄積されにくいことも問題を複雑にします。
スタッフの入れ替わりが頻繁な店舗の場合、デジタル機器の管理ノウハウの共有が進まないまま次のトラブルが起きかねず、そうなると同じ失敗を繰り返してしまいます。
このような店舗側の問題発生が、顧客満足度を低下させてしまう要因になります。
店舗のデジタル機器が画面が真っ黒なままだったりすると、来店客には邪魔なだけの存在にしか見えず、ともすると 「このお店はちゃんと管理されていない」 という印象を与えかねません。店舗スタッフが本来は接客に割くはずの時間を機器のトラブル対応にとられれば、来店客へのサービス機会もなくなります。
新しい解決
こうした問題を一括で解決するのが、オムロンフィールドエンジニアリングが提供している 「マネジメントサービスソリューション (M&S) 」 です。
特徴は、異なるメーカーの機器でもオムロンフィールドエンジニアリングに問い合わせ窓口を一本化できるということです。
機器ごとの保守契約の取りまとめや、全国規模の出張修理対応、機器の状態管理などをすべてオムロンフィールドエンジニアリングが一元的に担う仕組みです。
オムロンフィールドエンジニアリングは、機器が取得する各種データを利用し、機器の故障が起きる前に異常を検知したり、交換時期を予測してコストやメンテナンスを最適化できるサポートも行っています。店舗にとって、ある日突然に機器がいきなり止まってしまい手遅れになったという状況を防ぎます。
価値実現
小売や飲食店は、オムロンフィールドエンジニアリングのサポートによって、店舗で複数のデジタル機器やシステムがスムーズに稼働し続けるという顧客価値を得ることができます。
店舗スタッフは煩雑な機器の不具合対応をやる必要がなくなり、接客や売場づくり、売上アップにつながる取り組みに集中できます。結果として店舗オペレーションの効率が上がり、お店全体でリソースの有効活用が可能です。
一方のお店への来店客にも価値がもたらされます。
店内でサイネージや注文用端末が故障していることなく快適に動作するので、スムーズに情報を得たり、注文ができます。お店での買い物体験や飲食体験への良いイメージにつながります。
新しい事象は何か、それによって生じる新しい問題は何か
ここまでを振り返ると、ことの発端は環境変化により 「新しい事象」 が生まれたことでした。店舗へのデジタル機器導入が急拡大した状況です。
そこから発生した 「新しい問題」 は、機器管理や保守の煩雑化と運営上の負担増大です。
こうした歪みに対して、オムロンフィールドエンジニアリングはマネジメントサービスソリューションという 「新しい解決策」 によって、店舗オペレーションを効率化。店舗スタッフや最終的には来店客にとっての価値を高めることが実現したわけです。
オムロンフィールドエンジニアリングからの汎用的な学びとして、次のような問いへの視点を持つといいです。
- 新しい事象は何か
- 新しい問題は何か
- どうやって解決できるか
- 解決することでどのような価値が生まれるか
身のまわりで起きている違和感やちょっとした変化を見渡し、そこに生じている新しい問題を見つけ出す。もし自分たちがその問題を解決できる強みを持っているなら、解決策がもたらす価値を具体的に描いてみるのです。自社が提供できる新しいサービスやソリューションが浮かんでくるかもしれません。
新しい事象、新しい問題、新しい解決策、新しい価値――。4つのステップで整理してつなげていくと、新たな着想やアイデアのヒントが得られるでしょう。
まとめ
今回は、オムロンフィールドエンジニアリングの事例を取り上げ、学べることを見てきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- 環境の変化により 「新しい事象」 が生まれると、それに適応しきれない部分で 「新しい問題」 が発生する。歪みにはビジネス機会が眠っている
- 自社の強みを活かして 「新しい解決策」 を提供できれば、顧客や世の中に 「新しい価値」 を創出できる
- 新しい事象、新しい問題、解決策、提供価値という4つを俯瞰して考えることで、新たなビジネスチャンスやアイデアのヒントを見つけられる
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