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人生の勝算 という本に書かれていることで興味深いと思ったのは、「がんばること」 は2つに分けられるという考え方でした。
エントリーの内容です。
- 「がんばる」 を2つに分解する
- 戦略とは何か
- 戦略的にがんばる方法
「がんばる」 を2つに分解する
2つとは、「見極める」 と 「やり切る」 です。
見極めて、やり切る
以下は、本書からの引用です。
モチベーションを生むために、必要なのが 「見極め」 です。見極めが甘いと頑張り続けることはできません。
よく、「投資銀行で成功したのはなぜですか」 とか、「新規事業立ち上げの秘訣は?」 と聞かれるのですが、ひと言で言えます。「頑張る」 ということです。
頑張るという言葉を分解すると、「見極めて、やり切る」 ということになります。
(引用:人生の勝算)
重要なのは 「見極め」
一般的に、「がんばること = やり切ること」 だと捉えられます。前提にあるのは、何をがんばるかはすでに決まっていることです。
しかし著者の前田裕二氏は、重要なのはやり切る前に、いかに何をやるかの 「見極め」 が大事であると指摘します。見極めることの重要性を次のように書いています。再び、本書からの引用です。
このポイントを探しあてることが、「見極め」 です。
見極めたら、後は血みどろになっても掘る。絶対に、見つけるまで掘る。
原石がそこにあると見極めた以上、迷わないで、エネルギーを出し尽くします。そして、最短距離で、宝を掘り当てる。このたとえで考えると当たり前ですが、実際の仕事で掘るべき場所はここ、解くべき問題はここ、と本質を見極めて、その後で掘っているケースは実はすごく少ないと思います。
どんなに熱を投下しても、その前の「見極め」をしっかりやっていなければその熱は無駄になります。
(中略)
モチベーションが高まらない人の多くは、見極めが甘い。自分という大きな航海に出ているのに、方角を示すコンパスを持っていない。
自分の進むべき道を定めていないから、途中でどこに向かっているのかわからなくなり、広い海の上で途方にくれます。そうなったら、一旦陸に戻ってでも、自分自身のコンパスを得るのが、結局遠回りに見えてベストだと思います。
自分の進む道は、現時点では少なくともこれで間違いないと言える、信じ切れる、というところまで見極め作業を徹底すれば、モチベーションは身体から湧いてきます。
(引用:人生の勝算)
見極めと戦略
「見極めて、やり切る」 の関係は、戦略と戦術の関係と同じです。
戦略とは 「資源配分の選択」
戦略とは、「何か達成したい目的を叶えるために、自分の持っている様々な資源を何に集中するのかを選ぶこと」 です。シンプルに表現すれば、戦略とは 「目的を達成するための資源配分の選択」 です。
戦略の上位には目的があります。目的を達成するために、自分たちが何をやるかを明確にしたものが戦略です。ビジネスの文脈で言えば、やることを決め、人やお金などの資源 (リソース) を配分します。
やることを決めるとは、「やらないこと」 を決めることでもあります。「戦略とは捨てることである」 なのです。
戦略と戦術の違い
戦略の下位に戦術がきます。戦略と戦術は、次のような関係です。
- 戦略:目的を達成するための資源配分の選択
- 戦術:戦略を実行するためのより具体的なプラン
戦略は what 、戦術は how です。戦略は選択と集中を明確にした状態ですが、具体的に何をやるかまでは落とし込まれていません。具体的なやるべきことが戦術です。
見極めるとは戦略を持つこと
がんばることで重要なのは、まずは何をやるかを見極めることでした。つまり、先に戦略を立てることです。戦術が戦略に従うように、「やり切ること」 は 「見極めたこと」 に従います。
戦略の失敗は、戦術では取り返せません。同じように、見極めそのものが間違っていたりと、どんなにやり切っても徒労に終わってしまいます。
どう見極めるか
では、どうやって見極めるとよいのでしょうか。
私が思うのは、3つの視点で重なることかどうかを見極めて、自分がやり切るものかを判断することです。3つとは、以下です。
- 好きかどうか
- やるべきか
- 人から求められることか
1つめの 「好きかどうか」 という判断をベースにします。
次に、2つめの 「やるべきか」 は、自分の価値観や倫理観から見て、やったほうがいいことなのかという判断基準です。そして、3つめの 「人から求められることか」 は、自分がまわりや世の中から期待されていることなのかどうかです。
1つめと2つめは、純粋に自分自身の判断です。1つめの 「好きか」 は直観的なもの、2つめの 「やるべきか」 は理性的な判断です。3つめの 「求められること」 で、他人からの客観的な視点を入れます。
総合的に3つが当てはまるようなら、自分の時間やエネルギーを投入しやり切るための見極めができます。
最後に
今回ご紹介した書籍 人生の勝算 は、自分のビジネスキャリアを見るときに、考えさせられるものでした。
キャリアだけではなく、コミュニティやプラットフォームをどう構築するかという話も、実体験からの説明で、わかりやすく書かれている本です。