
Free Image on Pixabay
カリスマ体育教師の常勝教育 という本をご紹介します。
エントリー内容です。
- 本書の内容
- 目指すのは自立型人間。心を強くするために
- 思ったこと
本書の内容
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
「究極の荒れた学校」 とまで言われた大阪市立松虫中学校に赴任し、学校再生のため、「陸上部の子どもたちを2年後に日本一にする」 と宣言して実現させた体育教師がいる。原田隆史だ。
赴任後7年の間に、陸上競技の個人種目で13回の日本一を達成するなど輝かしい実績を残し、「松虫の奇跡」 と驚嘆された。だがそれは、「奇跡ではない」 と原田は言ってのける。どうしてそのようなことが可能となったのか。その指導法を明らかにしたのが本書だ。
目指すのは自立型人間
著者の原田隆史氏が目指したのは、生徒に自立型人間になってほしいことです。
自立型人間とは、「生きる力」 を身に付け、自らの人生を切り開く勇気と実行力を持っている人です。
「生きる力」 とは、以下の3つです。
- 自分で目標を立て、達成する方法を自ら考え、やり切って成果を出す力
- 礼儀作法や基本的な生活習慣を身に付け、倫理観や道徳観の向上に努める力
- 命を大切にし、自ら健康と体力の向上を図っていく力
心技体のうち 「心」 をより重視する
原田氏の教育方針の特徴は、心づくりです。心技体の3つにおいて、心を最も重視します。
心に注目したのは、原田氏が強い選手ほど心を大切にしていることに気づいたからでした。一流選手は誰もが技や体力は磨いています。技や体力では差がつきにくく、心を大事にします。
本書に書かれている常勝教育は、日々のしつけと習慣を徹底することによって心を強くし、生きる力を磨いて自立型人間になることです。
どうやって心を強くするのか
では、どのように心を強くするのでしょうか。心を強くするために興味深いと思ったのは、以下です。
- 受容態度を整える
- 態度教育 (しつけ)
- 目標設定と行動
- 敵は自分である
以下、それぞれについて、ご説明します。
1. 受容態度を整える
心を強くするためにいくら指導をしようにも、本人が受け入れる態勢になっていなければ変わりません。
素直な心になるように、自分が変わることを受け入れる心の準備が最初です。まずはコップの中身を空にし、上向きにする必要があります。
2. 態度教育 (しつけ)
しつけは、心をきれいにするためです。本書では態度教育と表現されます。
態度教育には 「静」 と 「動」 の2つがあります。
- 静の態度教育:基本的な習慣や身だしなみ。靴をそろえる、椅子を入れる、鞄を立てて置く、背筋を伸ばして姿勢を良くする。いずれも自分の気持ちひとつで静かに始められる
- 動の態度教育: 「はいっ」 と元気よくはっきりと返事をすること ( 「はーい」 ではなく) 。挨拶を相手よりも早くできること (先に反応して行動する)
3. 目標設定と行動
心づくりで重要視しているのは、独自の長期目標設定です。目標と課題、行動をひたすら書きます。
書き続ける効果は、掲げた高い目標 (本書では中学陸上部で日本一になること) が鮮明なイメージとして持てることです。書くことによって、自分が日本一になる姿が頭の中で鮮明になります。
書くこととは、頭の中のことを出し切ることです。この過程で心を整理することができます。
独自の目標設定シートには、以下を書きます。
- 目標。目標設定は三段階とする。最高の目標、中間目標、絶対に達成できる目標。目標に幅を持たせてイメージを鮮明にさせる
- 目標達成により得られること
- 成功分析と失敗分析 (どうすれば成功するか、失敗するとしたらどんな要因か) 。それぞれを心技体について書く
- 起こることが予想される問題、その解決方法
- 具体的な行動目標と期日
4. 敵は自分である
陸上部で日本一になるためには、他校の生徒に勝たなければいけません。しかし、本当の敵は自分です。
態度教育を徹底し、目標を掲げて日々行動しても、人は誰でも油断したり、勝てるようになると驕りが出ます。心技体の心を強くするためには、怠けようとする自分や驕ってしまう自分に勝たなければいけません。
思ったこと
本書を通じてあらためて考えさせられたのは、高い目標に向かって日々続けることを徹底していることです。
以下は、本書の該当箇所からの引用を2つです。
人の心は、できないこと、困難なこと、しんどいことに挑戦し、それを達成したという結果を得て、強くなるのではありません。挑戦の過程であきらめないで逃げずにコツコツやり切ることから強くなっていくのです。
心というのは難しいことへの挑戦ではなく、できることの継続で強くなる。
(引用:カリスマ体育教師の常勝教育)
一つ一つのやっていることは、決して難しいものではありません。靴を揃える、挨拶を 「はいっ」 と言う、姿勢を良くするなどの態度教育は、やろうと思えば誰にでもできることです。
ポイントは、繰り返しになりますが、これらを徹底してやることです。やり切れるかどうかです。
目標管理も同様です。本書には 「書いて書いて書きまくる」 とありました。自らの意思で高い目標を設定し、達成するためにどうすればいいのか、何がハードルになるのか、具体的な行動目標に落とし込み期日を設定し、行動と振り返りを徹底してひたすら繰り返します。
書くことを継続することによって、目標達成イメージが鮮明になります。おそらく本人の頭の中では、すでに達成できているくらい確固たるイメージができているのでしょう。明確な未来像を描き、現状をそれに近づけることを強く意識されています。
興味深いと思ったのは、先に未来イメージを固め、今の自分を未来に近づけていくアプローチです。
最後に
本書を読み、原田氏の目標管理のやり方に興味を持ち、仕事やプライベートでも自分なりのやり方で始めてみました。
すぐに達成できる内容ではありませんが、日々、書き続けることの効果は実感できます。