出典: 日経
今回のテーマは商品開発です。
✓ この記事でわかること
- コクヨのカラーノート
- 一点集中から始まった開発プロセス
- ノートの当たり前を変える
- 商品開発に学べること
この記事を読んでいただきたいのは、商品やサービスの開発に携わっている方です。新しい商品アイデアを考えたり、企画を作っている方の参考になればと思います。
ご紹介する事例は文房具なので異業種の話かもしれませんが、別の業界の成功事例は本質が見えると、自分たちの業界のヒントになります。
よかったらぜひ最後まで読んでみてください。
コクヨのカラーノート
今回ご紹介したいのは、コクヨのカラーノートです (公式サイトはこちら) 。
出典: コクヨ
カラーノートの特徴は、紙が白色ではなく薄い色が入っていることです。色は3色で、黄・紫・緑です。
出典: コクヨ
カラーノートの開発プロセス
コクヨがカラーノートを開発したきっかけは、視覚過敏を持つ生徒からの声からでした。
視覚過敏とは、光の刺激を過剰に受け取ってしまう状態のことです。太陽光や蛍光灯、パソコンや紙の白さが眩しく感じてしまいます。白いノートが見にくい、本が読みづらい、パソコンの作業がやりづらいなど普段の生活での不便さにつながります。
黄や紫、緑の紙は白い紙に比べて光の反射率が低く、まぶしさを感じにくいという良さがあります。コクヨは生徒からの 「白い紙がまぶしい」 という声を聞き、紙に色をつけたカラーノートを開発しました。その後、小学生向けのカラーノートを発売しました。
ユーザーの価値と作り手の想い
カラーノートは視覚過敏ではない人にも使われています。
コクヨは視覚過敏のない方の意見も聞きました。「気分が上がる」 「落ち着く」 などの精神面への影響があったり、「書いた内容が印象に残った」 「個性がアピールできる」 などの声です (参考: コクヨ) 。
公式サイトを見ると次のように書かれていて、視聴過敏のことを特段に触れているわけではありません。
ノートを自分色に。
仕事・勉強・趣味 …
ライフスタイルの様々なシーンで使うノート。
そんなノートの紙色は白が主流。
本当に白だけでいいのか?
“自分に合った色を選ぶ”
そんな選択肢を追い求めていきたい。
引用: コクヨ
開発プロセスを俯瞰すると、始めはニッチな市場 (視聴過敏の生徒向け) でしたが、「白ではないカラーノートを使いたい」 というニーズに応え続け、広げていきました。
白いノートが当たり前の中で、独自の存在感 (ポジショニング) を築いているのです。
当たり前を変える
ノートは一般的には白い紙でできています。
私は何も疑うことなく白いノートを使っていましたが、白以外のカラーノートは言われてみて初めてノートは白という常識に染まっていたことに気づきました。
コクヨのカラーノートはそれまでの業界の常識を変え、「新しい当たり前」 を提案しているのです。
コクヨは 「誰もが手軽に堂々とカラーノートを選べる社会を作る」 と言っています (参考: コクヨ) 。
これは、自分たちが理想とする 「心から実現したい世界」 であり、未来へのビジョンです。こうした信念や志にもとづいているのが良いです。
学べること
では最後にコクヨのカラーノートから、商品開発に学べることを整理しておきましょう。
学びをまとめると次のようになります。
✓ コクヨのカラーノートから学べること
- 始めは一点集中で小さいカテゴリーで良いので、唯一無二や No.1 を目指す
- 同じニーズを持つ人に少しずつ広げていく
- 今の常識を暗黙的に受け入れてしまっていないか
- 未来の当たり前はどのような世界か
- 商品やサービスのベースには、どんなビジョンがあるか
以上のような着眼点を持っておくと、商品開発、アイデアや企画のヒントになります。
まとめ
今回は、コクヨのカラーノートを取り上げ商品開発に学べることを掘り下げました。
最後にまとめです。
コクヨのカラーノート
- 紙が白ではなく薄い色のノート。黄・紫・緑の3色
- 開発のきっかけは視聴過敏の生徒からの 「白い紙がまぶしい」 という声から。その後に小学生向けのカラーノートも販売
- カラーノートは視覚過敏ではない人にも使われている。気分が上がる・落ち着く・書いた内容が印象に残った・個性がアピールできる
開発プロセス
- 始めはニッチな市場 (視聴過敏の生徒向け) で、「白ではないカラーノートを使いたい」 というニーズに応え広げた
- コクヨのカラーノートは業界の常識を変え、「新しい当たり前」 を提案。独自の存在感 (ポジショニング) を築いている
- 「誰もが手軽に堂々とカラーノートを選べる社会を作る」 というビジョンがある
コクヨのカラーノートから学べること
- 始めは一点集中で小さいカテゴリーで良いので、唯一無二や No.1 を目指す
- 同じニーズを持つ人に少しずつ広げていく
- 今の常識を暗黙的に受け入れてしまっていないか
- 未来の当たり前はどのような世界か
- 商品やサービスのベースには、どんなビジョンがあるか
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