出典: フランセ
今回のテーマは、マーケティングのブランドです。
おもしろいと思った洋菓子ブランドの取り組み (リブランディング) をご紹介し、マーケティングに学べることを見ていきましょう。
✓ この記事でわかること
- 洋菓子 「フランセ」 のリブランディング
- 原点回帰からのブランドの世界観
- ブレない軸を持つ重要性
- ブランド世界観の伝え方
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
洋菓子 「フランセ」 のリブランディング
今回取り上げたいのは、洋菓子の 「フランセ」 のリブランディング事例です。
出典: フランセ
過去最高の売上
以下は、日経クロストレンドの記事からの引用です。
洋菓子ブランド 「フランセ」 を展開するシュクレイ (東京・港) は2017年、同ブランドのリブランディングに取り組んだ。
ブランド成長のため、20 ~ 30代女性も新たなターゲットとして設定。主力商品 「ミルフィユ」 を中心に味や大きさ、パッケージなどを見直し、新型コロナ感染拡大前の19年には過去最高の売り上げとなるなど成果も得られた。
原点回帰からのリブランディング
興味深いのは、リブランディングにあたって原点回帰をしたことです。
リブランディングで最初に取り組んだのが、「お菓子とは何か」 を再定義することだ。原点回帰が大きなテーマの1つ。お菓子でいう原点回帰とは何になるかを探ったのだ。本や資料などをリサーチしていく中でたどり着いたのが、「果物や木の実をパイなどの生地に挟んで楽しむ」 という定義だった。
その定義はまさに、フランセが展開する看板商品の1つである 「ミルフィユ」 にも通ずる。ミルフィユは、ミルククリームをパイでサンドしたものをチョコレートで包んだお菓子。フランセでは従来、バニラ、キャラメル、チョコレートの3種類を商品ラインアップとしていた。
それを自社が定めたお菓子の定義と照らし合わせて、「いちご」 や 「れもん」 などのフルーツフレーバーの商品を開発していくことを考えた。現在は、それらに 「ピスタチオ」 「ジャンドゥーヤ」 を加えた4種類のフレーバーで、「果実をたのしむミルフィユ」 として展開している。
フランセは、あらためて 「お菓子とは何か」 を再定義しました。
たどり着いたのが、お菓子とは 「果物や木の実をパイなどの生地に挟んで楽しむもの」 という定義です。これは世の中での一般的なお菓子の捉え方というよりも、フランセが自分たちの考える 「お菓子とは何か」 を言語化したものです。
フランセのブランドのコアとなる部分を定義し、ブランドコアを反映する 「果実を楽しむミルフィユ」 にしました。
ブレない軸
フランセのリブランディングから学べるのは、ブレない軸を定めることの重要性です。
リブランディングというすぐには答えが出ない取り組みでは、色々な議論が起こったり、試行錯誤が続きます。そうした時に、判断の基準や拠り所になるのがブランドコアです。
フランセの例で言えば、ブランドコアは自分たちの考えるお菓子の定義 「果物や木の実をパイなどの生地に挟んで楽しむもの」 です。簡単には変わらず、ブレない軸が中心に通っているからこそ、それをもとに様々な打ち手ができるわけです。
ブランド世界観の体験
フランセの店舗 (出典: 日経クロストレンド)
「超試食」 からの販売
フランセの事例でマーケティングの観点で興味深かったのは、 「超試食」 と呼ばれる打ち手です。
リブランディングで生まれ変わっていった商品の良さは顧客にも訴求していく必要がある。そこで行ったのが、「超試食」 と名付ける販売方法だ。
企画開発部販促係の濱田萌笑氏は、「顧客が買うかどうか悩んでから商品を出すのではなく、『うちのお菓子はおいしいのでぜひ召し上がってください』と、顧客に積極的に声をかけて購入していただくアプローチ」 と解説する。商品の試食をきっかけに顧客と会話をすることで、商品のおいしさや魅力を伝えていけると考えたわけだ。
積極的な体験機会の提供
フランセがやっている 「超試食」 の意味合いは、お客さんへの積極的な体験機会の提供です。
自分たちがいくら良い商品ができたと思っても、新しいブランドの世界観が反映された商品を実際に知ったり、使う・食べてもらわなければ、世の中には価値が提供できていません。
この橋渡しをするのが 「超試食」 です。ブランドコアとして設定した 「果物や木の実をパイなどの生地に挟んで楽しむ」 というお菓子を体験してもらう仕掛けです。相手から来るのをただ待っているのではなく、作り手が自ら積極的に体験機会を提供することの大事さを、フランセは教えてくれます。
まとめ
今回は洋菓子のフランセのリブランディングを取り上げ、マーケティングに学べること見てきました。
最後にまとめです。
ブレない軸
- 答えがすぐに出ない取り組みでは、判断の基準や拠り所になるものが必要
- ブランドを新しくつくったり、リブランディングでは 「ブランドコア」 の設定が大事
- 洋菓子フランセは、お菓子とは 「果物や木の実をパイなどの生地に挟んで楽しむもの」 という原点回帰をブランドコアにした
体験機会の提供
- 良い商品ができたと思っても、商品を実際に知ったり、使ってもらわなければ、世の中には価値が提供できていない
- フランセの 「超試食」 のように、お客さんにブランドの世界観を体験できる機会を積極的に提供しよう
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