
Free Image on Pixabay
企業参謀 - 戦略的思考とは何か という本をご紹介します。
エントリー内容です。
- 本書の内容
- 戦略的思考とは何か (3つの着眼点)
本書の内容
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
経営にもビジネスにも手本と解答がない今、成功を導き出すプロセスは自ら考えだす必要に迫られている。そのための最善解を導き出す 「戦略的思考」 はビジネスパーソンが身につけておかねばならない必須要件である。
常に時代をリードしてきたオピニオンリーダー・大前研一の発想法、思考法の原点がつまった戦略的頭脳養成バイブルが、この 「 [新装版] 企業参謀」 である。
この本に書かれているのは、経営や事業運営における戦略的思考です。戦略的なものの見方、ものごとへの考え方についてです。
戦略のフレームワークも紹介されます。例えば、プロダクトポートフォリオマネジメント (PPM) です。ただし強調されているのは、PPM などのフレームをどう使うかよりも、フレームがどのような考え方でつくられているかです。
戦略的思考とは何か (3つの着眼点)
本書で興味深く読めたのは、以下の3つについてでした。いずれも、戦略的思考は何かについて、示唆に富みます。
- 事象から本質を見極め、勝ち筋の高い戦略をつくる
- 前提を理解し柔軟な思考をする。常識や制約条件に挑戦する
- 常に KFS (Key Factor for Success 成功のカギ) を追求する
以下、それぞれについてご説明します。
1. 事象から本質を見極め、勝ち筋の高い戦略をつくる
表面的な事象だけから、問題解決策を考えるのではありません。事象から奥にある構造を理解し、いかに本質を見極めるかです。
具体化と抽象化を繰り返し、本質理解につなげます。本質から、自分たちが置かれた状況下において意味合いを抽出し、自分たちが何をするかを組み立てます。今の前提において、最も勝ち筋の高い戦略をつくります。
2. 前提を理解し柔軟な思考をする。
常識や制約条件に挑戦する
戦略は前提によって変わります。前提とは、消費者や顧客、競合との市場構造、社内の状況です。
ものごとには必ず前提があります。前提が変われば戦略の組み立ても変わります。以前の成功要因や失敗の理由も、その前提において成立していることを忘れないのが、戦略的思考家です。
前提が変わったことを見極め、柔軟な思考ができるかです。成功体験やかつての前提条件での戦略を、自ら否定することが求められます。
柔軟な発想は、常識に挑戦する際にも必要です。
常識の中には、業界の慣習など、本来は目的を達成するための手段にすぎなかったことが、時が経過するにつれていつの間にか目的にすり替わったものがあります。
常識に縛られず、制約条件を所与のものとせず、柔軟な頭で発想の転換ができるかです。例えば、常に what if (もし xxx だとしたら) を考えること、戦略的自由度という戦略の選択肢の数を複数持っておくことです。
3. 常に KFS を追求する
Key Factor for Success (KFS) とは、成功のカギです。
なぜその事業は成功しているのか、勝利の方程式が言語化され、理解しているかです。勝ち方が把握できていれば、裏を返せばどうなれば負けてしまうかもわかります。
KFS で大事なのは、前提です。KFS が、市場と社内がどういった状況下で成立している KFS かの見極めです。前提が変われば KFS も変わります。
本書で興味深い指摘だったのは、企業が新規事業で、特に新しい製品で新しい顧客を狙うような多角化で失敗するのは、KFS の追求が甘いからというものです。
ある事業で成功したら、盲目的に同じ KFS を追いかけて多角化を目指すと、前提が変わっているために同じ KFS は通用しません。気づけば失敗に終わってしまいます。
最後に
本書は、すぐに目の前の仕事やビジネスに役に立つ即効性のある情報や知識が得られるわけではありません。学べるのは、戦略的にものごとを考えるため思考法や発想法という土台です。
最後に、関連エントリーのご紹介です。
以前のエントリーで、本書に書かれていたことで興味深かったものをピックアップしています。よければ、ぜひこちらもご覧ください。