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スタートアップ企業にとっての、ビジネスの源になるアイデアについてです。
アイデアのフレームワークから、アイデアにつながる発想を考えます。
エントリー内容です。
- アイデアのフレームワーク (10個)
- 10のフレームを俯瞰すると
- 日常生活でできる洞察力を高める方法
アイデアのフレームワーク (10個)
起業の科学 - スタートアップサイエンス という本に、スタートアップにとってのアイデアのフレームワークが10個、紹介されています。
以下が、10個のフレームワークです。
1. 中間プロセスの排除
- 中間マージンを得ているプレイヤーを排除する (中抜き)
- 中抜きにより直接エンドユーザーとつながる
- 例: Uber
2. バンドルを解いて最適化する
- バンドルとは一つに束ねること。バンドルだと、ユーザーには必要でないものも一緒になって提供され、必ずしも使い勝手が良いわけではない
- 一度バラバラにして、ユーザーに必要なものだけの価値を圧倒的に高め提供する
- 例: WealthNavi 。資産運用ロボアドバイザー (自動運用サービス。従来の銀行が担ってきた機能から必要なサービスだけを提供)
3. バラバラな情報の集約
- 色々な場所に断片化している情報や機能を一つの場所に集約し価値にする
- 例: 価格.com 。昔なら Yahoo! などのポータルサイト
4. 休眠資産の活用
- 使われていないリソースを活用し、売上を発生させる
- 空いている場所、使われていないモノ、空き時間
- 例: Airbnb 。自分が使っていない部屋や自宅全体を有効活用
5. 戦略的自由度
- 既存の枠からあえて外れ、今までにない価値提案を可能にするアイデア。ブルーオーシャンを狙う
- 顧客すらも気づいてないことを、自由な発想で価値として提案する
- 例: Snapchat 。一定期間後にメッセージや写真が消去される。既存の他のサービスでは、一度送ったメッセージは半永久的に残る前提で設計されていた
6. 新しいコンビネーション
- 全く違う領域で活用されているサービスを組み合わせて価値を提案
- 高い抽象化能力が求められる。要素間の関連性を見い出し、新結合から勝ち筋を見つける洞察力と創造力が必要
- 例: エアークローゼット (女性向けアパレルレンタル) 。組み合わせは、スタイリストサービス + フリーシッピング (送料無料) + フリークリーニング + フリークローゼット
7. タイムマシン
- 別の市場で既に検証済のビジネスモデルやプロダクトを、他の市場に持ち込む
- 展開する地域インフラ特性、現地ユーザーの期待やニーズに合わせた UX にする
- 例: GO-JEK (Uber のモデルをインドネシアに展開したバイクのライドオンデマンドサービス) 。世界一渋滞がひどいと言われるインドネシアのジャカルタで、バイクをタクシーのように配車
8. アービトラージ
- 需要に対して供給が不足している市場に、供給過多の市場からリソースを持ち込む
- 例: レアジョブ (外国語学習サービス) 。フィリピンでは需要に比べて多くいる英語教師による英会話サービスを、ネイティブスピーカーの数が限られる日本に提供
9. ローエンド型破壊
- 既存製品の性能が過剰に高まると、多くの顧客が求める水準を超えてしまう。過剰部分を削ぎ落とし、必要な部分だけを安価に提供する
- 安いモデルで提供することにより、これまでリーチできなかったセグメントを開拓する
- 例: ケアプロ (500円の健康診断サービス) 。診断項目を絞り、診断プロセスを簡易化
10. As a service 化する
- プロダクトを売り切る発想から、サービス化やサブスクリプション化 (会員化) に変える
- サービス化によって、事業者側は顧客との接点を持てる (製品販売モデルでは売って終わり)
- 顧客はソリューションをサービスとして利用
10のフレームを俯瞰すると
アイデアのための10個のフレームは、あくまで入り口となる着眼点であり、考えるためのきっかけです。
一つ一つのフレームは目新しいことではありません。よく知られたものです。
スタートアップに求められるアイデアは、誰もが見つけていないこと、あるいは気づいてるがまだ誰も実現していないことです。
自分の体験や経験、観察と洞察による気づきからアイデアを得られるかです。
日常生活でできる洞察力を高める方法
アイデアを思いつくために、普段から意識して高めたいことは、観察と洞察です。
洞察力を高めるために日常生活でできるのは、次の3つを考えてみることです。
- 具体例を構造化 (一般化) する
- 一般化したことを他の具体例に当てはめる
- 前提条件を明確にする
以下、それぞれについてご説明します。
1. 具体例を構造化 (一般化) する
具体と抽象を行ったり来たりできることが最初のステップです。
一般化するためには、目の前の事象がどういう構造になっているかを理解する必要があります。仕組みを理解できているかです。
人・モノ・金・情報の動きを把握し、1つが変化すると他がどう影響されるかや時間軸も含めて、メカニズムがわかっているかです。その仕組みを図でシンプルに描けるかも大切です。
2. 一般化したことを他の具体例に当てはめる
次に、一般化した構造を他のことに当てはめます。
目の前の具体的な事象から一般化し、別の具体的なことに当てはめるというプロセスです。他の具体例に横展開ができるほど、本質理解が深まっています。
3. 前提条件を明確にする
「具体 → 一般 (構造化) → 具体」 で注意することがあります。最初の具体例を一般化するときに、前提条件を明確にすることです。
前提条件が同じであれば、そのまま当てはめることができます。しかし、前提が違う環境では、単純に横展開をすると一般化したメカニズムが機能しない場合があります。
前提条件を理解できていれば、横展開の判断ができます。
目の前の具体例を構造化し、他の具体的なことに横展開したときに、その構造がそのまま使えるのか、それとも前提条件が違うために単純に当てはめてはいけないかです。
まとめ
今回は、アイデアを思いつく着眼点になるフレームを10個、ご紹介しました。
- 中間プロセスの排除
- バンドルを解いて最適化する
- バラバラな情報の集約
- 休眠資産の活用
- 戦略的自由度
- 新しいコンビネーション
- タイムマシン
- アービトラージ
- ローエンド型破壊
- As a service 化する
フレームはあくまできっかけです。大事なのは、普段からの身のまわりのことへの観察と、目についたことからの気づきや洞察です。
洞察力を磨くために、普段からできることは以下の3つです。
- 具体例を構造化 (一般化) する
- 一般化したことを他の具体例に当てはめる
- 一般化する際に、前提条件を明確にする