
今回は、プロダクト開発とマーケティングについてです。
Microsoft Teams を事例に見ていきます。
この記事でわかること
- Microsoft Teams に Together モードが登場
- ユーザー体験の効果
- ユーザー自身も気づいていない不
- マーケティングからの掘り下げ (消費者インサイト)
- 理想提示型のプロダクト開発
今回は Microsoft Teams の新しい機能、「Together モード」 からプロダクト開発とマーケティングです。
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。
Together モードが登場
Business Insider が、Microsoft Teams のアップデートを紹介しています。
リモートワークはここまでリアルに近づく - マイクロソフト 「Teams」 大幅アップデートを発表|Business Insider Japan (2020年7月10日)
興味深いと思ったのは、Together モードです。
バーチャルな会議室や講義室を画面上に再現します。これまで一般的であったグリッドモードに比べ、より自然なウェブ会議や講義のユーザー体験を期待できます。

引用: Business Insider Japan
Together モードの効果
Microsoft によると、Together モードの効果は以下のように説明されています。
Together モードの効果
- 脳の疲労が少なく、リラックス効果がある
- 相手に注意を払える
- 自発的にカメラをオンにする
- 会議の内容・発言・出席者のことを思い出しやすい
一つ目のリラックス効果について、以下の図は Together モードとグリッドモードの比較です。左の Together モードは脳の疲労が少ないことがわかります。

引用: Business Insider Japan
Together モードの開発
ビジネスインサイダーの記事で興味深いと思ったのは、Together モードの開発経緯です。
記事によれば、プロトタイプを作って実験してみたら、ウェブ会議のパフォーマンスが向上に気づいたとのことです。
ポイントは、ユーザーに直接聞いたのではなく、自分たちがあるべき姿を提示したのです。
消費者インサイト
マーケティングには、消費者インサイトという考え方があります。
消費者インサイトとは 「人を動かす隠れた気持ち」 です。
普段は本人自身は意識していませんが、そうだと気づかされれば行動や時には習慣すらも買えてしまう人の奥にある感情です。
Microsoft Teams の Together モードは、インサイトの観点で見ると興味深く捉えることができます。
無自覚だった 「不」
Together モードを私が見て思ったのは、見せられて初めて今までのグリッドビューに 「不」 を感じました。
何となくグリッドビューの表示形式に違和感を感じていましたが、それが具体的にどのような不なのかは言語化されていませんでした。自覚できていなかったので、明確に問題として認識していなかったわけです。
Together モードを知ったことによって、つまりより良い方法が提示されて、初めて今までのやり方がウェブ会議の体験として不自然だったことに気づきました。
理想提示型のプロダクト開発
Together モードのプロダクトの開発プロセスで特徴的だったのは、プロトタイプを作って実験をしてみたことです。
ユーザーからこうして欲しいというリクエストからではありません。自分たちがこういう方法がいいのではないかと、自ら理想の形を提示したわけです。理想提示型のプロダクト開発です。
先ほどの消費者インサイトで見たように、理想を提示することによって見せられた側は初めて、今まで気づかなかった問題を認識します。
別のプロダクト開発のアプローチには、問題明確型があります。
理想を提示するまでもなく誰が見ても問題であることがわかり、その解決策を作ります。言わばマイナスからゼロにするアプローチです。
Together モードのやり方は、ゼロをプラスにする方法でした。
グリッドビューが明確に問題だとはユーザーは認識していませんでしたが、もっと自然なウェブ会議体験ができる Together モードを見せることによって問題が炙り出され、解決策になったのです。
まとめ
今回は、Microsoft Teams の Together モードからマーケティングとプロダクト開発についての観点で掘り下げました。
いかがだったでしょうか?
最後に今回の記事のまとめです。
Microsoft Teams に Together モードが登場
バーチャルな会議室や講義室を画面上に再現する。これまで一般的であったグリッドモードに比べ、より自然なウェブ会議や講義のユーザー体験を期待できる。
ユーザーインサイト
Together モードという、より良い方法が提示されて、初めて今までのやり方がウェブ会議の体験として不自然だったことに気づいた。無自覚な不を発見した。
理想提示型のプロダクト開発
開発プロセスの特徴は、プロトタイプを作って実験的に使ってもらった。自分たちが考えるこういう方法がいいのではという理想提示型のプロダクト開発。理想の提示によって見せられた側は初めて、今まで気づかなかった問題を認識できる。