
今回は、荀子 (古代中国の戦国時代に活躍した思想家) からです。
荀子から、マーケティングやプロジェクトマネジメントへどんな学びがあるかを掘り下げます。
この記事でわかること
- 荀子とリーダーシップ
- 戦略への示唆
- マーケティングとブランディングの源
- プロジェクトマネジメントの肝
- コンサルティングの源泉
記事の最初に、荀子の言葉をご紹介します。
そして、現代ビジネスへの示唆を掘り下げます。具体的には、戦略、マーケティング、ブランディング、プロジェクトマネジメント、コンサルティングです。
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事への参考になればうれしいです。
「源が清ければ下流は清くなる」 (荀子)
「荀子 (じゅんし) 」 という古典には、次のような言葉があります。
原 (みなもと) 清ければ則ち流れ清く、原濁れば則ち流れ濁る
現代語訳は、「源が清ければ下流は清く澄んでいるし、源が濁れば下流も濁る」 です。意味は、「根本を正すことが大事であり、上が正しくあれば下も正しくなる」 です。
荀子のこの言葉は、リーダーシップへの教訓と捉えることができます。
リーダーこそ 「我が身を正せ」
リーダーシップへの意味合いは、リーダーの組織全体への影響です。
リーダーの姿勢が手本として示され、リーダーという組織の源が清ければ、チーム全体も清くなるだろうと言えます。その逆もまた然りです。ここから言えるのは、「上に立つ者はまず我が身を正せ」 です。
もちろん、我が身を正すことだけでは、リーダーとして役割を果たせるとは言えません。リーダーとなるには他に必要な要件があるでしょう。荀子の教えは、リーダーのための出発点です。
ビジネスへの示唆
他にも、ビジネスへの汎用的な示唆があります。
ビジネスへの示唆
- 戦略
- マーケティング
- ブランディング
- プロジェクトマネジメント
- コンサルティング
では、それぞれについて順番に見ていきましょう。
[荀子からの示唆 1] 戦略
荀子は源が清ければ、流れも清くなると説きました。
では、戦略における源とは何でしょうか?
その前にまずは、そもそも戦略とは何かです。
私の一言の定義は、戦略とは 「目的を達成するためのリソース配分の指針」 です。ここから言えるのは、戦略の源とは目的です。
目的が間違っていれば、戦略がどんなに美しくても価値を生みません。戦略がそのまま実行されると、貴重なリソースを無駄にするという意味では弊害ですらなります。
戦略は目的に依存するので、目的が清いものであれば戦略も清くなります。
[荀子からの示唆 2] マーケティング
では次に、荀子の教えをマーケティングに当てはめてみましょう。
マーケティングにおける源とは何でしょうか?
私の答えは、マーケティングの源は顧客理解です。というのは、マーケティングの私の一言の定義が、マーケティングとは 「顧客に選ばれる理由を作る活動全般」 だからです。
選ぶという行為の主体者は顧客です。どれだけ広く深く顧客を理解できているか。ここがマーケティングの源になります。
顧客理解するために、三層のレイヤーで見ていくと良いです。
顧客理解の三階層
- 事象: 顧客の言動, 表情, 仕草 (表面的に見えるもの)
- 構造: 考えや意見, 感情 (事象の背後にある構造要因)
- 本質: 顧客インサイト, 価値観 (さらに奥にある本質)
[荀子からの示唆 3] ブランディング
荀子の教えを、ブランディングにも当てはめてみます。
マーケティングの文脈でのブランドの私の定義は、ブランドとは 「顧客の好ましい感情が伴った商品やサービス」 です。好ましい感情とは具体的には、好き・満足・共感・誇り・憧れです。
では、ブランドの源とは何でしょうか?
ブランドの根幹にある 「らしさ」 をつくるのは、ブランドのビジョン、ミッション、バリューの三つから構成されるブランドコアです。
ブランドコア
- ブランドビジョン: ブランドが実現したいと強く思う世界観
- ミッション: ビジョンのために使命として掲げるブランドがやること
- バリュー: ブランドが大切にする価値観
三つから構成されるブランドコアが、ブランドからのユーザー体験、感情形成、そしてブランド化の指針になります。
[荀子からの示唆 4] プロジェクトマネジメント
荀子の言葉は、プロジェクトマネジメントにも示唆があります。
マネジメントとは、矛盾の中でなんとかやりくりをして、プロジェクトの目的を達成します。
この時にポイントになるのは、人をどれだけ動かせるかです。頭ごなしの命令から嫌々やってもらうのではなく、主体的に自ら取り組んでもらえる場と環境をつくります。
では、プロジェクトマネジメントの源とは何でしょうか?
プロジェクトマネジメントの源は、人への信頼と感謝です。
土台に人間への尊重があり、やってくれるであろうという信頼、そして動いてくれた・成果への感謝です。こうした気持ち、人への向き合いがプロジェクトマネジメントでの源になります。
[荀子からの示唆 5] コンサルティング
では、最後の五つ目です。コンサルティングへの示唆です。
コンサルティングの源あるのは、クライアント企業や顧客の成功を誰よりも願い、コミットする姿勢です。成果が出すコンサルタントに求められるのは、顧客企業である相手よりも深く考え、提案をし、実行につなげます。
コンサルタントの役割は触媒者です。触媒は二つに分解ができます。相手に 「やってやろう」 と思ってもらう気持ちの火付け役と、行動につなげる触媒です。
触媒となるためには、それだけ高い熱量が求められます、熱量の源になっているのが、顧客の成功を誰よりも願う気持ちなのです。
まとめ
今回は、荀子の言葉からビジネスへの応用を考えました。
いかがだったでしょうか?
最後に今回の記事のまとめです。
荀子の教え
荀子の 「原 (みなもと) 清ければ則ち流れ清く、原濁れば則ち流れ濁る」 の意味は、根本を正すことが大事であり、上が正しくあれば下も正しくなる。ビジネスへの汎用的な示唆がある。
ビジネスへの示唆
- 戦略の源は 「目的」
- マーケティングの源は 「顧客理解」
- ブランドの源は 「ビジョン・ミッション・バリュー」
- プロジェクトマネジメントの源は 「人への信頼と感謝」
- コンサルティングの源は 「顧客の成功を願う想い」