出典: kufura
今回のテーマはターゲット設定です。
おもしろいと思ったドン・キホーテのお菓子から、マーケティングに学べることを見ていきましょう。
✓ わかること
- ドンキの 「しいたけスナック」 の特徴
- ヒットの理由は?
- ターゲット顧客を絞るのはなぜか?
- 時にはターゲットを広げて一石二鳥を狙ってみよう
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ドンキの 「しいたけスナック」
ドンキの 「しいたけスナック」 が想定の5倍の売上を出しているとのことです。
「しいたけ嫌いな人に美味しいと言わせた」 とうたい、ドン・キホーテが発売した 「しいたけスナック」 が想定の4 ~ 5倍売り上げるヒット商品となっている。
しいたけ独特の食感や香りを創意工夫で隠し、好きな人にも嫌いな人にも選ばれる "両取り" を目指したのが功を奏した。
あえて万人受けする商品に
おもしろいと思ったのはターゲット顧客の設定です。
ドンキは今回、しいたけスナックを作る上で、あえてターゲットを絞らず、幅広い層にアプローチすることを狙った。
このようなニッチな商品を作る場合、大手メーカーは 「性別」 「年齢」 「〇〇 が好きな人」 といった属性・趣向でターゲットを絞った上で、商品開発を進めるのが一般的だ。しかしドンキは、しいたけの健康面のメリットを生かし、万人受けするスナックにして売り出す戦略を取ったのだ。
続けて記事に書かれていたのは、しいたけが嫌いな人にも食べてもらう工夫です。しいたけが苦手な理由には 「食感」 と 「香り」 があるようで、ドンキはカリカリに揚げることでしいたけ独特の食感をなくし、香りは味付けのフレーバーで打ち消したとのことです。
興味深いのは、しいたけスナックは、しいたけが好きな人だけではなく、嫌いな人にも向けたお菓子だということです。後から見ていくように、むしろ嫌いな人にこそ食べてもらうことを狙っています。
パッケージでの訴求
しいたけスナックのパッケージデザインも興味深いです。
パッケージに 「『しいたけ』嫌いな人に美味しいと言わせた」 と書かれているのが印象的 (出典: 日経クロストレンド)
同じ記事から引用をすると、
パッケージにも工夫を凝らした。「『しいたけ』嫌いな人に美味しいと言わせた」 「しいたけの大逆襲」 というセンセーショナルな文字を前面に押し出し、手に取った人が購入する最後の一押しにつなげている。
「PB の商品数や取り扱う店舗数が拡大するにつれ、面白みのない商品ばかりになっていた。その反省から21年2月に PB ブランドを刷新し、パッケージを "驚きのニュースを提供する紙面" と捉えて制作した」 (渡辺氏)
ターゲットを設定する本質
ここから掘り下げたいのはターゲット設定についてです。
ターゲットの広がり
先ほども見たように 「しいたけスナック」 はしいたけが嫌いな人に向けて訴求している商品です。パッケージを見れば 「しいたけが嫌いな人に美味しいと言わせた」 と書かれているので、しいたけ嫌いな人には 「これは自分のために作られたお菓子だ」 と思えます。
一方で、しいたけが好きな人にとってはどうでしょうか?
パッケージを見れば、「しいたけが嫌いな人に美味しいと言わせた」 や 「しいたけの大逆襲」 とあるので、しいたけ愛を刺激されどんな味なのかと気になる存在に映るはずです。
事実、「しいたけスナック」 はしいたけが嫌いな人と好きな人の両方取りができていて、想定以上の売上を出しています。パッケージでの訴求からするとコアターゲットは 「しいたけが嫌いな人」 ですが、価値を感じてくれるのは 「しいたけが好きな人」 にも広がっているわけです。
ターゲット顧客設定の本質
一般的にマーケティングのセオリーはターゲット顧客を設定するとはお客さんを絞ることです。
あえて一部の人に絞るのは、全体の中で特定のニーズを持っている人だけに向けてビジネス活動をすれば効率的で費用対効果も高いからです。
ドンキの 「しいたけスナック」 の例で言えば、しいたけが嫌いな人が食べたくなる商品をしいたけ嫌いな人に向けて提供しています。
一石二鳥のターゲット設定
しいたけスナックがおもしろいのは、しいたけが好きな人という 「コアターゲット (嫌いな人) とは真逆にいる人」 にも買ってもらえていることです。パッケージでは直接ではなく間接的にしいたけ好きな人にも訴求しています。
今回の学びとして残しておきたいのは、最初は狭くターゲットを絞ったとしても、一石二鳥のようにターゲットを広げられないかと発想してみる重要性です。
ただし注意点があります。ターゲットを拡大する時にお客さんへの価値がどっちつかずの中途半端にならないようにすることです。
価値提案の軸はブラさず、広げる対象はあくまで提供する商品・サービスに対して実際に価値だと感じてもらえるお客さんで共通させます。絞るにしても広げる場合でもターゲット設定のポイントです。
まとめ
今回はドンキの 「しいたけスナック」 を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
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ターゲット顧客設定の本質
- マーケティングのセオリーは、ターゲット顧客を設定しお客さんを絞ること
- 全体の中で特定のニーズを持っている人だけに向けてビジネス活動をすれば、効率的で費用対効果も高い
ターゲットを広げるという発想
- 最初は狭くターゲットを絞ったとしても、一石二鳥のようにターゲットを広げられないかと発想してみよう
- 注意点は、ターゲットを拡大する時に価値が中途半端にないようにすること
- 広げる対象は提供する商品やサービスに対して、実際に価値だと感じてくれるお客さんで共通させる
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