出典: ITmedia
今回は、「お客さんの立場になるとはどういうことか」 という話です。
おもしろいと思ったオロナミン C の取り組みをご紹介し、マーケティングに学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- オロナミン C のラベルレスボトル
- 自社都合ではなく、お客さんの要望を優先
- 「売り手の合理」 は 「買い手の非合理」
- 「お客さんのために」 に、「お客さんの立場で」 を加えよう
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
オロナミン C のラベルレスボトル
出典: 大塚製薬
以下は、日経新聞の記事から引用です。
紙ラベルをなくした大塚製薬の 「オロナミン C ドリンクラベルレスボトル」 が好評だ。
ガラス瓶のラベルは付けたままでもリサイクルできるが、環境意識の高まりで 「はがしたい」 との購入者の声が増えて開発。2021年7月に通信販売サイト限定で発売すると新規購入が8割に上り、顧客の開拓にもつながった。
大塚製薬がラベルレスにした背景について、続けて記事から見てみましょう。
オロナミン C といえば赤い背景に白字のラベル。1965年の発売当初からほぼ変わっていない。
「ラベルもブランドの大事な要素。なくすのは、かなり勇気がいる決断だった」 とマーケティング担当の山野順平さんは語る。もともと、営業現場からの要望で、あえてはがれにくく加工していた。自販機など水滴が多い場所に置かれるためだ。
次第にペットボトルのラベルをはがす習慣が広がり、飲み終わった後にラベルをはがそうとする人が続出。「水に1日つけてもはがれない」 といった声がお客様相談室に増えてきた。リサイクル団体は瓶のラベルははがす必要がないと示すが、顧客の声に応え、20年に開発に踏み切った。
今まではオロナミン C の瓶にはラベルがついていて、意図的に剥がれにくくしていました。これは営業現場からの要望で、いわば売り手の都合を優先していたわけです。
しかしお客さんの声を優先し、大塚製薬はラベルレスのオロナミン C を新しくラインナップに加えました。
「売り手の都合」 と 「買い手の都合」
マーケティングをやっていくうえで忘れないようにしたいのは、「売り手の都合」 と 「買い手の都合」 は異なるということです。
これをオロナミン C のラベルに当てはめれば、両者の都合は次のようになります。
- 売り手の都合: ラベルで商品を印象づけ、見栄え良く売りたい → ラベルは必要で剥がれにくいほうがいい
- 買い手の都合: 飲んだ後に捨てる時はラベルを剥がしたい → どうせ剥がすなら最初からなくてもいい (そのほうが楽)
このように売り手と買い手 (利用者) で立場が変われば、真逆の発想になります。その意味では、売り手の都合を優先させると、買い手には不都合が起きるわけです。
お客さんの立場での合理を
売り手の側に論理や都合は当然あります。
ただし、一歩立ち止まって考えたいのは、顧客不在の独りよがりの自社都合になっていないかです。売り手の論理を振りかざすあまり、お客さんに不都合を押し付けていないでしょうか。
「お客さんのために」 とうたいながらも、自社の論理を押し付ける言い訳にならないようにしたいです。お客さんの立場になって、お客さんと同じ景色でお客さんの合理を理解するところからマーケティングは始まります。
まとめ
今回はオロナミン C のラベルレスボトルを取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後にまとめです。
✓ お客さんの立場で合理をつくろう
- 「売り手の都合」 と 「買い手の都合」 は異なる
- 売り手の論理を振りかざし売り手の都合を優先させると、お客さんに不都合を押し付けてしまう
- お客さんの立場になって、お客さんと同じ景色でお客さんの合理を理解し、合理にあった価値をつくることが大事
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