投稿日 2019/08/12

ボス猿に学ぶリーダーシップ。変化の早い環境で求められるリーダーシップとは?




今回は、リーダーシップについてです。

  • ボス猿から学べることとは?
  • 状況が変われば、リーダーシップはこんなに違う
  • リーダーに求められる変化への向き合い方

こんな疑問に答える内容でブログを書きました。


この記事でわかること


この記事でわかるのは、リーダーシップとは何かです。

猿のリーダーの振る舞いや、ビジネスでのリーダーから、組織で求められるリーダーシップについて書いています。

ぜひ記事を最後まで読んでいただき、仕事やキャリアへの参考にしてみてください。


ボス猿のリーダーシップ


リーダーシップの旅 - 見えないものを見る という本に、猿のリーダーについて興味深いことが書かれています。





以下は、この本からの引用です。

リーダーシップを研究する難しさ、とりわけ経営学で扱う不幸について、自然人類学者でサルの研究をしている糸魚川直祐先生 (武庫川女子大学教授、大阪大学名誉教授) に話したところ、「人間相手に何をややこしいことをやっているんですか」 と笑われた。

 「サルのリーダーシップは単純です。先頭と中央なんです」 と糸魚川先生は言われた。群れのボスは移動する時には先頭を歩き、みんながリラックスしたり、食事をする時には中央にいる。

 (引用:リーダーシップの旅 - 見えないものを見る (野田智義 / 金井壽宏) )

先頭のリーダーシップは、移動をする時です。移動には危険が伴うので、リーダーは先頭に立ち他の猿たちを導きます。

一方、自分たちの住処では猿のリーダーは中央にいます。移動に比べて襲われる危険が低い時は、中央から皆の様子を伺い見守るリーダーシップです。


猿から学べること


猿のリーダーシップから学べることは、リーダーシップは局面によって求められる型が異なるということです。

自分たちが置かれた状況によって、自ら先頭に立ち率先していくスタイルもあれば、全体を眺め後ろからメンバーを支援するリーダーシップもあります。

リーダーシップに唯一の正解はなく、あくまで前提によって変わるのです。


組織の循環理論


ここで、少し話を変えます。

ザ・会社改造 - 340人からグローバル1万人企業へ という本に、組織のある理論が紹介されています。





 「組織活性の循環動態論」


理論は 「組織活性の循環動態論」 という名前です。2つの状態が繰り返し循環させることによって、組織は活性化し発展するというものです。

2つとは、「末端やたら元気」 と 「戦略的束ね」 です。


末端やたら元気
  • 本社から離れている組織でも、若手社員まで含めた一人ひとりが、生き生きと仕事をしている
  • メンバーが自律し主体的に動く。現場からの提案もどんどん上がってくる
  • 分散型組織


戦略的束ね
  • 上位が決断する方針や戦略ストーリーを皆が共有し、外部競合に対して束になって攻めていく
  • トップから一気通貫に全社のベクトルがそろっている
  • 中央集権型組織


行き過ぎることの弊害


ただし、それぞれには行き過ぎると弊害が見られるようになります。具体的には、以下です。


過度な 「末端やたら元気」 の弊害
  • 組織内で個人が自由に動くので、全社的なまとまりがなくなる
  • 自分たちの組織のスケールに合わせた行動しか取らなくなる (部分最適)
  • 組織や事業間の連携が生まれにくい。全社戦略の観点からはバラバラな状態になる (現場のやりたい放題に)


過度な 「戦略的束ね」 の弊害
  • トップや上位からの指示に縛られ、現場での裁量がなくなる
  • 現場は上を見て判断し行動する。指示待ちになる
  • 情報は上からの一方通行になりがち。現場からの情報や提案が上がらなくなる


組織活性の循環動態論と名前に 「循環」 という言葉が入っているのは、末端やたら元気と戦略的束ねが繰り返されるからです。

末端やたら元気
→ 過度な放任の弊害
→ 戦略的束ね
→ 過度な統制の弊害
→ 末端やたら元気
→ …


求められるリーダー像の違い


先ほどの猿のリーダーシップで思ったのは、「戦略的束ね」 と 「末端やたら元気」 のそれぞれの状態では、求められるリーダー像が変わるということです。

 「戦略的束ね」 では、トップダウンで皆が一丸となって攻めるので、猿のリーダーでいう先頭のリーダーシップです。リーダー自らが切り込んでいくような、リーダーが目的・戦略・実行までを一気呵成にやっていきます。

一方の 「末端やたら元気」 では、リーダーは一歩引いて大局的に俯瞰するリーダーシップです。現場が動きやすいように、後ろからフォローします。


リーダーと環境変化


先ほど、置かれた環境という前提によって求められるリーダーシップが異なると書きました。

局面ごとにリーダーシップが変わるということは、リーダーにとって重要なのは次の局面が来る兆しをどれだけ早く察知できるかです。

環境変化が起こりつつあるのに、判断と動き出し、対応が遅れると組織への影響はそれだけ大きくなります。

リーダーに求められるのは、環境の変化を見極め、自らも常に変わっていくことです。その結果として、リーダーが率いるチームや組織も変化に適応できるのです。


まとめ


今回は、リーダーシップについてでした。

ボス猿の振る舞い、組織の循環論における求められるリーダー像について解説しました。

最後に今回の記事のまとめです。



ボス猿のリーダーシップは 「先頭」 と 「中央」 。
先頭のリーダーシップは移動の時。移動には危険が伴うので、リーダーは先頭に立ち他の猿たちを導く。自分たちの住処では猿のリーダーは中央にいる。移動に比べて襲われる危険が低い時は、中央から皆の様子を伺い見守る。


猿のリーダーシップから学べることは、リーダーシップは局面によって求められる型が異なるということ。
状況によって、先頭で率先していくスタイルもあれば、全体を眺めメンバーを後方支援するリーダーシップもある。リーダーシップに唯一の正解はなく、あくまで前提によって変わる。


組織の循環理論の 「戦略的束ね」 と 「末端やたら元気」 のそれぞれの状態では、求められるリーダー像が変わる。戦略的束ねでは先頭のリーダーシップ、末端やたら元気では中央のリーダーシップ。


局面ごとにリーダーシップが変わるということは、リーダーに求められるのは次の局面への兆しを察知し、環境の変化を見極め、自らも常に変わっていくこと。その結果として、リーダーが率いるチームや組織も変化に適応できる。





リーダーシップの旅 - 見えないものを見る (野田智義 / 金井壽宏)




ザ・会社改造 - 340人からグローバル1万人企業へ (三枝匡)

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。