今回は OKR を取り上げます。
✓ この記事でわかること
- OKR とは
- Google と OKR
- OKR の有効活用の方法 (3つ)
- おすすめの OKR の本を3冊
今回は OKR についてです。OKR とは何か、具体的な使われ方を Google にいた時の経験も交えてご紹介しています。
ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。
OKR とは
OKR を一言で表現すると、OKR は組織や個人が成長するための目的設定とマネジメント手法です。
OKR は Objective と Key Results の略です。
✓ Objective は 「目的」
- 自分たちや人を鼓舞する内容でワクワクできる内容 (挑戦的・魅力的)
- 基本的には1つ設定
- 数値目標は KR に入れるので Objective には入れない
- 難易度の達成目安は 50% (ストレッチゴール)
✓ Key Results は 「重要な結果指標」
- Objective をどう実現し、達成できたかを評価するもの
- 1つの Objective に対して KR は基本は3つまで。多くて5つ
- KR の達成基準は 60% ~ 70% (100% ではないのはストレッチ目標のため)
例えばのケースで OKR の例は次のようになります。
✓ OKR の例 (プロダクト開発)
- Objective: 素晴らしい MVP (Minimum viable product: 実用最小限の製品) をつくる
- Key results 1: 事前登録者の 80% が実際に MVP を使う
- Key results 2: 40% のユーザーが1日に2回以上利用する
- Key results 3: プロダクトの NPS (Net Promoter Score) が 30 以上
コンパスと地図
OKR を例えるなら 「コンパスと地図」 です。
Objective がコンパスの役割を果たします。目的として設定するのは自分たちが目指す先だからです。コンパスが北を指し示し行き先を明確に示すように、Objective は実現したいことを掲げます。
Key Results は地図です。KR の役割は大きくは2つで、Objective という目指す先にどうやって行くのか、もう1つは目的達成までの進捗を測るためにあります。
冒険家にとっての地図は、向かうゴールまでの道のりと現在地を知る役割です。同じことが Objective に対する Key Results の関係に当てはまります。
Google と OKR
私が以前に働いていた Google では全社で OKR を導入しています。
全社レベルの OKR に加え、プロダクトごと、部門やチームごとに OKR があります。個人でも OKR を持っていました。時間軸は2つあり、年間での OKR と四半期ごとの OKR です。
全社で使われていたことから OKR は共通言語で文化のようなものです。普段の上司との 1on1 ミーティングでも OKR をベースに現状を伝えたりフィードバックをもらっていました。上司との 1on1 の頻度は私の場合は、直属の上司とは毎週が目安、その上の上司とは隔週でした。
ちなみに Google では OKR は人事評価としては使っていなかったです。半年ごとの評価では別の評価方法があり、OKR はそれとは切り離されていました。ここは OKR 運用でポイントです。
OKR と MBO の違い
これもちなみで、OKR と MBO の違いにも触れておきます。
MBO は Management By Objectives の略です、目標によりマネジメント手法です。MBO も OKR もどちらも Objective が入っていますが、意味合いは異なります。
一言で言えば MBO の Objective のニュアンスは 「目標」 、OKR の Objective は 「目的」 です。MBO は達成しなければいけない必達目標として、一方の OKR は野心的でチャレンジングな目的です (達成見込みが 50% のストレッチゴール) 。
MBO と OKR の比較をまとめると、次のようになります。
出典: Vacks
OKR の有効活用の方法
Google にいた時の経験も踏まえて、OKR を有効に活用する方法は3つです。
✓ OKR の有効活用法
- コミュニケーションツール
- 戦略ツール ( 「やること」 「やらないこと」 の判断基準)
- 成長ツール (振り返りと学び)
それぞれについて、順番にご説明しますね。
[OKR の有効活用 1] コミュニケーションツール
1つ目はコミュニケーションとしての役割です。
Google でまさにそうだったことで、全社で導入して浸透していたので OKR は共通言語でした。Google では全社員が所属部署やチームと個人の両方で OKR を持っています。
コミュニケーションツールとは具体的には、お互いの OKR を見れば所属チームと個人としての役割、専門領域を理解するとこができます。例えば仕事を依頼したいと思った時に、依頼内容と相手の OKR がどう関係するかを見て相手の OKR 達成に関係するような依頼の仕方をしていました。
また、上司や同僚との個別ミーティングも OKR を使って会話をしていました。
[OKR の有効活用 2] 戦略ツール
2つ目の OKR の有効活用の方法は、戦略的な判断をする時に使えます。
OKR に書かれている内容は、自分 (たち) にとって重要なことです。Objective には目的が一言で簡潔に書かれ、Key Results には 「重要な結果指標」 として目的達成のために具体的にどうするのかが3つ程度で書かれます。
逆に言えば OKR にないものは 「やらないこと」 です。
戦略とは 「目的を達成するための “やること” と “やらないこと” の決めごと」 です。OKR は 「やること」 「やらないこと」 の判断基準になります。
[OKR の有効活用 3] 成長ツール
OKR はつくって終わりではありません。毎日・毎週・毎月の単位で Key Results の達成度を見て Objective の実現度合いを評価します。
重要だとみなした結果指標はどの程度できているのか、何がうまくいって、何が機能していないのかを振り返ります。OKR を使って頻度多く PDCA をまわせるのです。
OKR はスキルアップやキャリアでの成長ツールです。
まとめ
今回は OKR についてでした。
最後に記事のまとめです。
OKR とは
- OKR は組織や個人が成長するための目的設定とマネジメント手法
- Objective は 「目的」 。挑戦的で魅力的な内容を書く
- Key Results は 「重要な結果指標」 。Objective をどうやって実現し達成できたかを評価するもの
- OKR はコンパスと地図。Objective は目指す先、KR でどのように進むかと進捗 (現在地) を把握する
Google と OKR
- Google では全社で OKR を導入している
- OKR は共通言語で文化のようなものだった
- Google では OKR は人事評価としては使われていなかった
OKR の有効活用法
- コミュニケーションツール (お互いの理解促進)
- 戦略ツール ( 「やること」 「やらないこと」 の判断基準)
- 成長ツール (振り返りと学び)
おすすめの OKR の本 (3冊)
OKR について書かれた本をご紹介します。
読んだ本ではで次の3冊がおすすめです。
OKR (オーケーアール) (クリスティーナ・ウォドキー)
本気でゴールを達成したい人とチームのための OKR (奥田和広)
最短最速で目標を達成する OKR マネジメント入門 (天野勝)