出典: @Press
今回のテーマは、どうすればお客さんからの期待以上の価値をつくり出せるかです。
おもしろいと思ったアイデア商品を取り上げ、マーケティングに学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- 鞄の中に入れておくだけで掃除をしてくれるボール
- 生活者がまだ気づいていない問題の見極め
- お客さんの期待以上の価値を生む方法 (問題提起からの市場創造)
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ザウバークーゲル
ご紹介したいのは、鞄の中を掃除してくれるボールです。商品名は 「ザウバークーゲル」 です。
ドイツ語っぽい響きの名前ですが、もともとはドイツの商品です。
出典: Makuake
ゴルフボールのようなサイズで、直径 3.5cm の 16g ほどのボールです。
デザインの特徴は二重構造になっていて、無数に穴があいたプラスチックカバーを開けると中に粘着性のボールが入っています。
ザウバークーゲルを鞄の中に入れておくだけで、中で自然にコロコロと転がりゴミやほこりを吸着して取ってくれます。汚れたら、水洗いして繰り返し再利用が可能です。
出典: B.I.TRADING
鞄の中のゴミ取りだけではなく他にも使えて、例えばパソコンのキーボードの掃除もできます。
問題提起からの市場創造
ザウバークーゲルがおもしろいと思うのは、「言われて初めて気づく問題」 を提示していることです。
鞄の中は、普段はしっかりと見ることはないですよね。中にゴミが溜まっているであろうことは、鞄から取り出した物にゴミが付いている時があり、なんとなく鞄の中は清潔ではないイメージがあります。だからといって定期的に鞄の中を掃除することはあまりないでしょう。
ザウバークーゲルは、この状況を解決すべき問題と捉え、「人は普段は意識していないかもしれないが、問題提起をすれば多くの人がなんとか解決したいと思う」 と見立てたのです。
ザウバークーゲルは、マーケティングの観点で捉えれば 「問題提起による市場創造」 を狙っている商品です。
問題提起とは、「普段はほとんど意識していないものの、指摘されると確かに問題だと思えること」 を生活者に提示していることを指しています。
提示した問題に対して、「鞄の中に入れておくだけでゴミが付着し、水洗いでくり返し再利用できる小さなボール」 という解決策 (ザウバークーゲル) を提供し、今までになかった掃除方法を生み出したのです。
学べること
では最後に、ザウバークーゲルから学べることを整理してみましょう。
お客さんの期待を超える価値をどうやって生み出すかに学びがあります。
そのために重要なのは、お客さんがまだ気づいていなかったり、言語化できていない本質的な問題を見抜き、相手から言われる前に (ニーズが顕在化する前に) 提示することです。お客さんにはそもそもの問題提起から入るので、コンサルティングに近いアプローチです。
問題設定が的を得ているほど、指摘されれば解決したいと強く思えます。ズバッと言われた問題があってこそ、解決策が魅力に見えるわけです。
お客から言われたことをやっているだけでは、相手の期待を大きく超えることはありません。お客さんがまだ気づいていない本質的な問題設定から入り、解決策に他にはない独自性とメリットがあれば、お客さんへ期待以上の価値を提供できます。
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