実はまだ眠っているビジネス機会を有効に活用できているでしょうか?
今回は、京都にある東映太秦映画村の事例を取り上げます。
映画村から、遊休資産の活用、希少性への着目、そして新たな利用シーンの創出という3つから、マーケティングへの成功のカギを探求します。
太秦映画村が夜間営業の強化へ
出典: 東映太秦映画村
東映が、京都にある東映太秦映画村の刷新計画を発表しました (リリースはこちら) 。
夜間営業の酒場や温泉を新設し、江戸時代の町並みを再現したエリア内で日本の伝統文化を体験できるようにします。
開業後での初めての全面刷新で、投資額は120億円。2024年春に着工して営業を続けながら3期に分けて進めます。第1期分は2025年に開業し、2028年までに全面リニューアルをする予定です。
改装後は、より本格的な 「江戸時代の世界の体験」 に軸足を置く方針になります。
改装の目玉の1つは夜間営業の酒場だ。京都は夜の観光資源が少ないことが課題とされており、インバウンドを意識してナイトタイムエコノミーを充実させる。現在は午後5時まで営業しているが、夜まで営業時間を延長してライトアップを実施したり、京都のお酒や料理を楽しめるイベントを開催したりする。
また、江戸時代の湯屋をイメージした温浴施設を新設する。天然温泉の採掘を目指すという。早朝から夜まで利用できるようにし、近隣住民などの温浴施設のみの利用も想定する。
学べること
では太秦映画村の事例から、学べることを掘り下げていきましょう。
遊休資産の有効活用
映画村が開業以来初の大規模な刷新計画を進める狙いは、江戸時代の町並みを再現したエリア内で、来園者に日本の伝統文化を体験してもらうことです。
この取り組みは、抽象化すれば 「遊休資産の有効活用」 と捉えることができます。
今までは日中の営業だけでしたが、施設を休ませていた夜間時間を活用し、昼間とは違った楽しみ方をできるようにすることで、新たな価値を生み出すわけです。これにより、映画村は昼間の観光スポットから、夜も楽しめる多様な体験を提供する場所へと変化を遂げるでしょう。
「希少性」 に注目した戦略
今回の事例で注目したいのは、映画村の夜間営業は周辺エリアを見渡したときに希少性のある展開ができる可能性があることです。
京都の観光は歴史的建造物が中心で、観覧できるのは夕方までです。清水寺など一部では秋の紅葉シーズンに夜のライトアップもありますが、多くの観光スポットは日中の時間帯が中心です。それだけ京都は夜の観光資源が少ないわけです。また、歴史的建造物以外に目を向けても、たとえばテーマパークは一般的には夜遅くの営業はしていません。
京都への旅行者や観光客にとって、夜に行けるところの選択肢は限られている中、映画村が夜間営業を強化することで、国内外の旅行客のナイトタイムを楽しむ受け皿として存在感を発揮できます。
新たな利用シーンの創出
映画村の事例からの学びを汎用化すると、自社商品やサービスが今までは使われていなかったシチュエーションを見出し、新しい利用シーンを広げることの重要性です。
これにより、従来のお客さんの使用頻度が増えるだけではなく、新たなお客さんの獲得も見込めます。多様化する顧客ニーズに応えるためには、これまでのサービス提供時間やタイミング、形式にこだわらず、柔軟な展開が求められます。
マーケティングへの応用
この事例をマーケティングに応用する際、重要なのはターゲット市場の特性と、その市場内での自社サービスの存在意義やポジショニングを理解することです。
具体的には、市場や想定するお客さんが本当に求めていることを理解し、競合他社と比べて自社サービスが提供できるユニークな価値を見つけ出すことが重要です。
映画村の場合、夜間の観光サービスが少ない京都において、旅行者がナイトタイムをもっと楽しみたいと感じているであろうことをビジネス機会と捉え、夜間営業の充実から他にはない体験を提供することを目指します。
このように市場におけるギャップを見つけ出し、お客さんに他にはない価値を提供することがビジネスを成功させるカギとなります。新規のお客さんの獲得、既存のお客さんに対しては、新しい利用シーンを通じて再訪を促すことが可能になります。
このようなアプローチは、顧客基盤の拡大とともに、お客さんとの関係構築の強化にもつながるでしょう。
まとめ
今回は京都の東映太秦映画村を取り上げ、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- 遊休資産の活用: 映画村の事例では、これまでは営業をしていなかった夜間時間を活用して新たな価値を創出し、昼間の観光スポットから夜も楽しめる場所へと変化を遂げる
- 希少性に着目: 京都での夜間観光の希少性に注目し、映画村は夜間営業の強化で国内外の旅行客に新たなナイトタイムでの体験価値を提供することを目指す
- 新しい利用シーンの創出: 自社商品・サービスの従来にはなかった利用シーンを打ち出すことで、新たなお客さんの獲得と既存お客さんの使用頻度増加を実現する
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