投稿日 2025/06/11

ドラゴン桜は 「7つの習慣」 を受験勉強で実践した物語だった

#戦略 #7つの習慣 #本

実は、あの人気漫画 「ドラゴン桜」 には、受験生だけではなくビジネスパーソンにとっても示唆に富む戦略的思考が詰まっています。

東大合格を目指す高校生たちの奮闘物語の中に、私たちの仕事を変えるカギが隠されているのです。


ドラゴン桜から、ビジネスにおける戦略立案や目標達成の秘訣、ぜひ一緒に学んでいきましょう。

ドラゴン桜



漫画の 「ドラゴン桜」 は、三田紀房 (みたのりふさ) さんによる人気作品です。2003年から2007年まで講談社の漫画雑誌 「モーニング」 で連載されました。

ストーリー概要

主人公の桜木建二は、元暴走族で現在は弁護士という異色の経歴を持つ人物です。桜木は経営破綻寸前の私立龍山高等学校の運営問題を請け負うことになります。

当初は龍山高校を廃校にし清算をするつもりでいた桜木でしたが、その考えを改めます。学校を廃校にするよりも、龍山学校の経営状態を改善するという方針転換でした。そのためには進学実績を上げるのが最も効果的だと考え、5年後に東大合格者100人を出すという大胆な目標を掲げます。

この目標を達成するため、東大専科という特別クラスを開設しました。将来に何も希望を持てず人生をあきらめかけていた水野直美と矢島勇介という二人の生徒が、東大専科のクラスに入ることを希望します。

水野と矢島の学力レベルは、当初は偏差値で言えば 30 くらいでした。高3の4月時点でこのレベルの2人を、1年後に偏差値 70 を超える東大に入学させようというものです。ちなみに偏差値 30 とは下位 2% くらい、偏差値 70 以上は上位 2% ほどです。

桜木は過去に受験指導で大きな実績を上げた個性豊かな教師たちを集め、水野と矢島の東大合格という目標を一丸となって進めていきます。

読みどころ

ドラゴン桜の物語では、桜木の厳しい指導法や冷静な判断力、そして生徒たちへの深い愛情が描かれています。桜木はただ厳しいだけでなく、生徒たちの個性を尊重し、生徒の強みを引き出すための最善の方法を常に考えています。

物語は、2人の落ちこぼれの生徒が東大合格を目指して奮闘する姿を通じて、受験勉強の具体的な方法や人生の価値観についても掘り下げていきます。

ドラゴン桜は、日本の受験制度や教育システムに対する批判的な視点も含んでおり、徹底した戦略的なアプローチと実践によって困難を乗り越えることができるというメッセージを読者に伝えています。

 「7つの習慣」 の実践


漫画の 「ドラゴン桜」 には、受験生だけにとどまらずビジネスパーソンとしても学べる点が多くあります。

ここからは、自己啓発本のバイブルとも言える 「7つの習慣」 に当てはめて、学びを考えていきます。



主体的である

7つの習慣の1つ目である 「主体的である」 は、自分の人生や課題に対して自分で責任を取る意識を持ち、行動を変えていくことを指します。

ドラゴン桜のストーリーの始めは、水野と矢島の2人の生徒は、龍山高校の再建を託された桜木に無理やり勉強させられていた状態でした。しかし、次第に自ら机に向かい、率先して勉強に取り組む習慣ができていきます。

他人からやらされている状態から自分の意志でやる姿勢へと変わり、主体性が育まれていったのです。

終わりを描くことから始める

2つ目の習慣である 「終わりを描くことから始める」 は、最初に目的とゴールを描き、目的 (終わり) のために必要な道筋を考えるという考え方です。

ドラゴン桜から学べるのは、終わりという目的を明確にすることの重要性です。

桜木建二が掲げた 「龍山高校は5年後に東大合格者を100人出す」 という目標は、明確で具体的な目標設定です。この目標は、龍山高校の経営再建という大きな課題に対処するために提示されました。

東大専科のクラスの2人の生徒には 「東大Ⅰ類の合格」 と最初に決め、東大に入ることそのものを明確なゴールとしました。目的とゴールの設定により、2人の生徒の努力の方向性が定まり、生徒と親、先生たちも皆が同じ目標に向かって一致団結して進むことができたのです。

桜木は、東大合格という最終目標から逆算して必要な学習内容を決定していきました。ゴールからの逆算思考によるものです。

最終的な目標を達成するために、必要なステップを逆算して計画を立てることで効率的な受験勉強ができます。たとえば、どのタイミングで過去問に入るか、東大模試をいつ何回受けるかなどです。

目的とゴールから逆算して考えることで必要なステップを明確にし、今何をすべきなのか、やるべきでないのかを決めることができます。

重要事項を優先する

重要事項を優先するとは、自分たちにとって最優先で取り組むべきことに時間とリソースを投じる姿勢です。

桜木は目的達成のための戦略を立案しました。

戦略とは、目的を達成するための 「やること」 と 「やらないこと」 の決めごとです。

ドラゴン桜では 「やること」 は、東大一本の受験勉強に絞り、徹底した基礎固め (小学校レベルの基礎から) 、特別講師を招いての東大受験のための指導、東大の過去問の徹底分析と対策などです。

一方の 「やらないこと」 としては、難関私大の二次試験対策や、無駄な勉強法 (例: 教科書や参考書の重要箇所に線を引いてわかった気になること) などです。これらは意思を持ってやらないこととして最後まで貫きました。 東大合格絞り、難関私大の対策は一切行わないという決断は、勉強へのリソースの集中と効率化を図る戦略です。

Win-Win を考える

7つの習慣の4つ目は 「Win-Win を考える」 です。

当初、桜木は東大合格者を出すことは龍山高等学校の再建のためであり、水野と矢島の2人の生徒は学校再建という目的のための手段となる、いわば "駒" のような存在でした。

しかし、次第に桜木は生徒たちのこれからの人生にも思いを強く持つようになり、高校と生徒の両方における win-win を目指すようになります。桜木自身も生徒の未来に深く関心を抱くようになり、双方が勝利につながる関係を築いていきました。

また、桜木は生徒と教師を東大合格をともに目指すチームとし、皆が同じ方向を向く仕組みづくりも行いました。

桜木は、落ちこぼれと呼ばれていた生徒たちの潜在能力を信じ、目標達成に必要なリソース (特別講師や学習環境) を整えました。生徒が成長し、学校も再建するという Win-Win を目指したわけです。生徒、家庭、教師、学校がそれぞれメリットを得られる関係を模索し、関わる全員がお互いに利益を得られる道を見出しました。

理解してから理解される

5つ目の習慣の 「理解してから理解される」 は、相手の状況や意図を理解することから始めることを指します。

この考え方は 「敵を知り、己を知る」 に通じます。孫子の兵法には 「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」 という言葉がありますが、この教訓は、ドラゴン桜でも実践されています。

受験勉強での 「敵を知る」 とは、過去問や出題者の意図を理解することです。徹底的に過去問を分析し出題傾向をとらえ、出題者の意図を汲み取ろうとすることによって、東大合格に向けた勉強を効果的に行えます。

さらに 「己を知る」 というのも大事です。

自分自身を客観的に理解することは、科目ごとの得意・不得意な分野・テーマの把握や、自分が問題を解けた・解けなかった理由の分類や傾向の分析、効率的な学習方法や計画につながります。

相乗効果を発揮する

相乗効果を発揮するとは、お互いの強みをかけ合わせて、より大きな成果を出すことです。

ドラゴン桜では、受験勉強において 「先人の知恵」 を活用しました。桜木は、水野と矢島の2人の生徒には、勉強法の定石や受験テクニックを教え、まずはそれらを徹底して実践することから始めさせました。

これは 「守破離」 の考え方と同じです。まずは型をひたすら真似することから始め (守) 、少しずつ自分のやり方を取り入れる (破) 、最終的には自分なりのオリジナルの方法を見出していく (離) という守破離のアプローチです。

すでにある勉強方法や受験のテクニックを自分でまた一から考え出すような 「車輪の再発明」 は避け、先人の知恵で使えるものはマネをするというアプローチによって、過去と現在の知見をかけ合わせた相乗効果が発揮されました。

また、チームでの相乗効果も東大の受験勉強において見られました。特別講師たちの多彩な指導法を組み合わせ、全員で同じゴールを目指す姿は 「1+1 が 2 以上になる」 相乗効果の好例です。

ドラゴン桜では講師陣や生徒同士がお互いを補完し合い、新しい視点や学習法が生まれました。

刃を研ぐ

7つの習慣の最後の 「刃を研ぐ」 というのは、自分自身の成長を継続し、常に学習し続ける姿勢です。

ドラゴン桜が教えてくれるのは、戦略は固定的なものではなく、必要に応じて環境の変化に合わせて柔軟に変えていくものだということです。環境変化に合わせて戦略を適応させることの重要性を学べます。

漫画のストーリーの中でも、生徒の学習の進捗度合い、生徒を取り巻く家庭や学校の環境の変化に合わせて、勉強方針が適宜修正されました。

また、ドラゴン桜の生徒たちは、日々の学習で成績を伸ばすだけでなく、困難に向き合う力や柔軟な姿勢を身につけました。東大受験の勉強を通して、学力の向上だけではなく、人としての人格も磨いていったのです。研鑽し続ける姿勢から、2人は受験勉強を通して大きく成長を遂げたのです。

まとめ


今回は漫画の 「ドラゴン桜」 を取り上げ、7つの習慣を補助線に学べることを見てきました。

最後にまとめとして、7つの習慣です。

✓ 7つの習慣
  1. 主体的である Be Proactive
  2. 終わりを描くことから始める Begin with the End in Mind
  3. 重要事項を優先する Put First Things First
  4. Win-Win を考える Think Win-Win
  5. 理解してから理解される Seek First to Understand, Then to Be Understood
  6. 相乗効果を発揮する Synergize
  7. 刃を研ぐ Sharpen the Saw


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。