#マーケティング #生成AI #フロー体験
生成 AI は本当にビジネスに役立つのか?
実は、生成 AI は人を夢中にさせる 「フロー体験」 を生み出し、ビジネスにおいて創造性を高める心強いパートナーになり得るのです。
今回は、生成 AI を使ってお客さんとブランドの新たな接点をつくり、より深い顧客体験を提供するアプローチについて探っていきます。また、マーケティングの実務における AI をパートナーに変える方法も考えます。
AI の可能性を引き出すカギとは何か、ぜひ一緒に見つけていきましょう。
生成 AI が生み出す 「フロー体験」 と新しい発見の可能性
生成 AI がマーケティングに与える影響を考えるにあたって、補助線として引きたいのが 「フロー体験」 という心理学の概念です。
フロー体験は何か?
フローとは、人が何かに深く集中して、時間を忘れるほど夢中になる状態のことです。心理学者のミハイ・チクセントミハイ氏によって提唱されました。
人はフロー状態に入ると、作業そのものが楽しくなり、いつしかまわりが気にならなくなるほど没頭します。
ゲームがわかりやすい例です。プレイヤーがゲームに集中していて、時間が経っていることに気づかず、食事もとらないような没頭しているときはフロー状態に入っています。
生成 AI がもたらす没入体験
ここで生成 AI に話をつなげると、生成 AI はフロー体験を強化する可能性を秘めています。対話型の生成 AI は、ユーザーとのやり取りを通して 「夢中になる感覚」 をもたらすからです。
例えば、旅行計画を立てるときに ChatGPT などの生成 AI のサービスを使うとしましょう。AI に前提情報となる旅行で行きたい場所、日にち、予算、誰と一緒に行くか、現地でやりたい活動などを入力していくと、AI がプロンプトに沿って適切な旅行プランを提案してくれます。
AI との旅行計画を練り上げるプロセス自体が楽しく、旅行に行く前の計画段階からその作業に没頭するというフロー体験を感じることができるでしょう。
生成 AI が気づきを生むパートナーになる理由
計画を立てたり、他には情報収集、アイデアを考えるにあたって、生成 AI は役に立つツールです。
この段階で生成 AI が効果を発揮するのは、AI との対話を通してどれだけ気づきを得られるかです。AI に入力する過程で情報が整理され、そこから新しい発見につながるかどうかです。
そして、何よりもこのプロセス自体を楽しみ、あたかもゲームに熱中するように没頭するフロー状態になれれば、生成 AI は一緒にアイデアを生み出す頼もしいパートナーのような存在になるでしょう。
マーケティングと生成 AI
ではここからは、生成 AI のマーケティングへの恩恵を考えていきましょう。
生成プロセスが生む新たな価値
生成 AI の魅力は、結果としての出力される情報や提案だけでなく、生成されるプロセスそのものにあります。
マーケティングに当てはめれば、生成プロセスがお客さんとの新しい接点となり、良い顧客体験をもたらす役割を果たすということです。
例えば、スポーツブランドが提供するスニーカーのカスタマイズサービスでは、生成 AI を効果的に実装するというふうにです。
具体的には、お客さんはサービス内で AI と対話をしながら自分好みのスニーカーをつくっていきます。AI はリアルタイムでカラーや素材の提案を行い、サービス利用者が 「自分だけの世界にひとつしかない特別なスニーカー」 をつくり上げる体験を提供します。
他にも、家具メーカーがオンラインでお客さんに家具やインテリア雑貨の製品を自由に組み合わせられるウェブサービスを提供するケースも考えられます。利用者は自分の家の写真をアップロードしたり、言葉でイメージを伝えるなど AI への入力と出力を繰り返しながら、好きな室内イメージや家具の配置、色の組み合わせを決められます。
まだ新しい商品を買ったわけではありませんが、バーチャル上での擬似的な新生活の体験をすることで、ショッピングが創造的で楽しいフロー体験になることでしょう。
AI がマーケターのブレインストーミング相手に
マーケティングを考える段階で、生成 AI はマーケターが見逃していた視点など多様な着眼点や示唆をもたらします。
例えば、ある化粧品ブランドが新商品のプロモーションに生成 AI を使ったとしましょう。
AI に 「20代女性のセルフケアに関連するトレンド」 を尋ねたところ、エシカル消費やミニマリズムというキーワードが出力されました。AI からの提案をもとに、ブランドは環境に配慮したパッケージデザインとシンプルなストーリーを強調するキャンペーンを展開するというアイデアが生まれます。
他には、クライアントとの打ち合わせやプレゼンの場でも生成 AI は役立ちます。その場で出た意見をすぐに AI に反映させ、新しいアイデアをその場で AI から生成することによって、議論を早くかつ深めることができます。
こうしたリアルタイムでの AI との対話によって、AI からの出力されるプロセス自体が価値を生み出します。お互いの発想に刺激を与え合い、効率的で創造的な時間になるのです。
生成プロセスに価値を生む例
マーケティング活動において AI を使った生成からプロセスにおいても価値をつくるためには、顧客体験を中心に据えた体験設計にすることが大事です。
例えば EC サイトでは、生成 AI を使ってお客さん一人ひとりに合った商品を提案します。お客さんが自分の望む条件を入力すると、AI が入力内容に応じた商品を提案し、さらに選択肢を調整するというやりとりを続けます。
パーソナライズを進める過程自体が商品を選ぶ楽しさを生み出し、いつしかフロー状態のようになり、お客さんの買いもの体験を充実させることでしょう。
マーケティングと生成 AI のこれから
生成 AI を活用することで、マーケターはアイデアを考える段階から実行に至るまで、自分ひとりでは到達できないフロー体験を経験できます。
ただ、フロー状態による効果を最大化するためには、AI に正しい質問をするスキルが求められます。
例えば 「Z 世代にヒットする企画アイデアは?」 という漠然とした質問よりも、「Z 世代の若年層がここ半年くらいで注目している、人気の食べ物は?」 と具体的に聞くことにより、AI からはより適切な情報を得ることができるでしょう。
また、生成 AI からのアウトプットだけではなく、生成されるプロセス自体も新たな着想へのヒントを発見できます。
生成プロセスからも示唆を得ようとする姿勢になれば、生成 AI はマーケターの創造性を助けるパートナーとなるのです。
まとめ
今回は、生成 AI を取り上げ、生成されるプロセスに注目しフロー体験をキーワードに考察しました。
最後にポイントをまとめておきます。
- 生成 AI は、ユーザーが没入する 「フロー体験」 を生み出す力を持つ。
- 生成 AI との対話によるフロー体験は、マーケティングの創造性を高める可能性を秘める。アイデアや情報収集において新たな気づきをもたらす
- 生成 AI をビジネスで効果的に活用するには、具体的で的を得た質問がポイント。曖昧な質問ではなく、明確で詳細な問いかけが、AI からより示唆に富んだ回答を引き出す
- 顧客接点での AI の活用からは、AI を使ったカスタマイズ体験により顧客とブランドの新たな接点を生む
- 顧客体験に焦点を当てた設計からパーソナライズされた提案を行うことで、お客さんの 「フロー状態」 をつくり、他では得られない顧客体験を提供する
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