2011/10/10

あらためて考えさせられるスティーブ・ジョブズの死生観




2011年10月5日、スティーブ・ジョブズが亡くなりました。

おそらく多くの人がそうであったように、第一報を知った時はにわかには信じられませんでした。

ツイッターのタイムラインはジョブズのことで埋まり、海外のニュースやブログも次々に報じてました。そしてアップルが同社の HP 上に掲載した内容を見た時、ようやく現実だとわかりました。「Steave Jobs 1955-2011」と終止符が打ってあったからです。

その日以来、ジョブズに関する様々なブログやニュース記事を読みました。普段は通勤中などある程度まとまった時間がある時は本を読んでいます。先週後半はジョブズ関連の記事が中心でした。それくらいいろんな人たちがジョブズについてあらためて取り上げていたので、目にとまりました。

読んだものとしては海外のものが多かったですが、日本語でもIT系のブログではそれまで自分が知らなかったジョブズのエピソードがいくつか書かれていました。あらためてジョブズのことを知ることができる記事もよかったです。

多くのジョブズ関連の記事や動画の中で、最も印象に強く残っているのが、2005年に米国スタンフォード大学卒業式の祝賀式で卒業生に向けて行われたジョブズのスピーチでした。

Text of Steve Jobs' Commencement address (2005) |STANFORD UNIVERSITY

■ Steve Jobs Stanford Commencement Speech 2005

スピーチ内容は、ジョブズの生き方や考え方のベースになっている人生観そのものだと思います。上記のリンクはスタンフォード大のHP上に掲載されているスピーチ原稿です。できれば英語原稿のまま一読されることをおすすめしますが、日本語の字幕付き動画や日本のブログでも日本語訳が取り上げられているので、こちらでもいいかもしれません。

Apple創始者・スティーヴ・ジョブスの伝説のスピーチ(1)|YouTube(日本語字幕付き動画1)
Apple創始者・スティーヴ・ジョブスの伝説のスピーチ(2)|YouTube(日本語字幕付き動画2)
スティーブ・ジョブスの魂。STAY HUNGRY, STAY FOOLISH|ASSIOMA(スピーチの日本語訳)

このスピーチは相当有名なのでご存知の方も多いと思いますが、内容を自分なりに整理すると次のようなものです。

  • 起:点と点をつなぐ(バラバラの経験であっても将来それが何らかのかたちで繋がる)
  • 承:好きなことを仕事にする
  • 転:ジョブズの死生観
  • 結:卒業生へのメッセージ 「Stay hungry, stay foolish.」

■ ジョブズの死生観

このスピーチの中で最も強い印象に残ったのが、ジョブズの死生観でした。

ジョブズは17才の時、次の言葉を知り衝撃を受けたと言います。「来る日も来る日もこれが人生最後の日と思って生きるとしよう。そうすればいずれ必ず、間違いなくその通りになる日がくるだろう」。

その後、ジョブズは毎朝欠かさずに鏡の中の自分と対話をするようになります。「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日の予定は、本当に私のやりたいことだろうか?」と。この質問に対する答えが「No」という言う日が続くと、そろそろ何かを変える必要があると考えたそうです。

スピーチでは、すい臓ガンを患い発見した際には医師たちから余命が3-6ヵ月であると告げられたことも触れています。これをジョブズは「死の支度をしなさい」と受け取ります。しかし、その後の診断で、この時のジョブズの腫瘍は極めて稀な形状で手術をすれば治せるものだったようで、無事に成功しています。

ジョブズの死への考え方が印象に残ったのは、「死は我々全員が共有する終着点」と捉えており、さらには「死はおそらく生が生んだ唯一無比の最高の発明品」としていたからです。死によって、古きものを一掃して新しきものに道筋を作っていく働きのあるものと言います。

毎朝、今日という日を人生最後の日だと考える、つまり、自分が死と隣り合わせにあることを忘れずに思うこと。ジョブズはこれまで人生を左右する重大な選択を迫られた時には常に、決断を下す最も大きな助けになったとスピーチで語っていました。

■ 死への絶望という記憶

私自身はここまで明確な死生観を持っているとは思いません。それでもジョブズのスピーチの中で印象に残り、かつ共感した部分は間違いなく死についてのところでした。

日常生活のちょっとしたタイミングで自分の死を意識することがあります。朝玄関を出た時に、ふと今日自分が死ぬともうこの家には帰ってこないと思ったりするといったようにです。

初めて死を意識した幼稚園か小学校に入学した頃くらいの時でした。ちょうどその前に、「人は死ぬともう二度と生き返ることはない」ということを教わりました。

それよりも以前は死ぬことについては知っていたものの、なんとなく時が立てば生き返るものだと勝手に思っていました。それが、死んでしまうと、どれだけ時間がたっても永遠に生き返ることはない、この「永遠に」という時間に終わりがないという意味が幼いながらに分かった時に、初めて絶望的な気持ちになったことを今でもよく覚えています。

しばらくは自分の親や兄弟、友達とか先生には絶対に死んでほしくなかったし、何よりも自分がいつか死んでしまうことがとても怖かったです。夜になるとついそのことを考えてしまい、朝方まで寝られなかったことは一度や二度ではなかったように記憶しています。

それでもまだ小さい子どもだったので、学校が楽しかったりだとかでいつの間にか深刻に思いつめることはなくなりましたが、ふとしたタイミングで思い出すのは前述の通りです。

ジョブズがスピーチで言った、自分の死を意識することで人生の岐路に立った時に決断する手がかりになるということはわかります。人生は一度きりであり、変な迷いがなくなり、そう思うことで吹っ切れます。

だから、ジョブズのスピーチが印象に残ったのです。さらに、ジョブズが亡くなった直後というタイミングでした。ジョブズの死生観の部分が最も印象的だったのは必然だったのかもしれません。

■ Focused on his family first

ジョブズは毎朝欠かさずに鏡の中の自分に問いていました。「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日の予定は、本当に私のやりたいことだろうか?」と。ジョブズが亡くなった後に読んだいくつかの記事の中に、以下がありました。

Steve Jobs knew his time was short, focused on family first|AppleInsider

そこには、自分の余生が残り少ないことを悟ったジョブズは、その時間を最も大切なこと-ジョブズの最愛の妻と子どもたちと過ごす時間に費やしたと書かれていました。ジョブズに残されていた時間が愛する家族との素晴らしい時間だったことを願うばかりです。


※参考情報
Remembering Steve Jobs|Apple
Thanks, Steve|jonathan mak
Text of Steve Jobs' Commencement address (2005) |STANFORD UNIVERSITY
Steve Jobs Stanford Commencement Speech 2005|YouTube
Apple創始者・スティーヴ・ジョブスの伝説のスピーチ(1)|YouTube
Apple創始者・スティーヴ・ジョブスの伝説のスピーチ(2)|YouTube
スティーブ・ジョブスの魂。STAY HUNGRY, STAY FOOLISH|ASSIOMA
「ハングリーであれ。愚か者であれ」 ジョブズ氏スピーチ全訳|日本経済新聞
Steve Jobs knew his time was short, focused on family first|AppleInsider
スティーブ・ジョブズの死生観とシンプルへの追及|思考の整理日記


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