2012/06/30

Why からはじまるゴールデンサークル:シンプルかつ応用度の高い思考アイデア




今まで見た TED で間違いなくベスト5に入ると思っているのが、サイモン・シネックの 優れたリーダーはどうやって行動を促すか (How great leaders inspire action) です (リンク先は日本語字幕付き TED 動画です) 。


人は 「なぜ (why) 」 に動かさせる


「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」 というアイデアは、タイトル通りリーダーシップにも使えます。それ以外にも幅広い応用ができる考え方です。

紹介されているアイデアを一言で言うと、人は 「何を (what) 」 ではなく 「なぜ (why) 」 に動かされるというものです。

2012/06/26

わずか3問:NBA ファイナルで見た秀逸な質問力


マイアミヒートのレブロン・ジェームス。引用:LeBron James - 2012 - NBA Finals MVPs|SI.com (2017年8月追記:リンク先が削除されていたので、こちらも削除しました)


NBA は、世界最高峰のバスケットボールを魅せてくれます。


マイアミヒートが6年ぶり2度目の優勝


2011-12年の今シーズンは、マイアミヒートの6年ぶり2度目の優勝で幕を閉じました。

NBA は普段から見ています。今年のプレイオフはカンファレンスファイナル (東西リーグ優勝決定戦) とファイナルは全試合を見ました。

マイアミヒートは 「3 Kings」 と呼ばれる、レブロン・ジェームス、ウェイド、ボッシュという3人のスーパースターを擁す強豪チームです。

昨年はファイナルで惜しくも敗れました。今年のファイナルは初戦で西リーグチャンピオンのオクラホマシティサンダーに負けたものの、その後は破竹の4連勝でした。事前の予想に反して、対戦成績は4勝1敗の圧勝でした。


興味深かった MVP レブロンへのインタビュー


ヒートの優勝が決まった第5戦の試合終了後、大歓声を送る地元ファンの前で優勝セレモニーに移りました。チームに優勝トロフィーが授与され、その後にファイナルの最優秀選手 (MVP) を受賞したのは、3キングスの1人であるレブロンでした。

2012/06/23

今一番欲しい SPIDER から考える 「テレビの次の50年」


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2012年現在の家電メーカーがつくるテレビの方向性は、高画質化と 3D 対応でしょう。

よりきれいな (高画質) 、よりリアルな (3D) 映像をユーザーに提供するかに注力しており、「テレビの画面は、まだきれいでなくリアルではない」 という問題を解決しようとするものです。


現在のテレビの方向性は課題設定がずれている


果たしてこの課題設定の立て方は正しいのでしょうか?

課題設定の前提は、ユーザーは現在のテレビ画面の美しさに不満を持っていることです。少なくとも私自身はさらにきれいになるテレビ画面に魅力を感じません。課題設定がずれていると思います。

例えば、テレビの画像のきれいさは、YouTube や TED などの動画と比べるとすでに高いです。勝負にならないくらいテレビの圧勝です。

それでも TED は見ていていておもしろいし、英語やプレゼンの勉強にもなります。YouTube のバスケットボールやサッカーのゴールシーンを集めたもの、音楽やプロモーションビデオ、海外の動画も見ていて楽しいです。

つまり、魅力なのは映像の中身であって、画質ではないのです。これからのテレビの課題設定は、「いかにおもしろい映像や番組に出会えるユーザー体験を提供するか」 ではないでしょうか。


SPIDER の魅力


このイシューに挑戦しているのが、ベンチャー企業である PTP が開発している SPIDER (スパイダー) です。スパイダーは一言で言えば全録ができるハードディスクレコーダーです。


法人向けの SPIDER PRO


スパイダーの特徴は、次の通りです。

  • 最新の1週間の番組を全て自動録画できる。放送後の見たかった番組も後から自由に見られる
  • 検索機能が充実。番組をシェアできるソーシャル性にも注力
  • 使い勝手のよいリモコンなど、ユーザーインターフェイスを重視

スパイダーは法人向けと個人向けの2つがあります (上の画像は法人向けの SPIDER PRO です) 。

地デジ対応版はまだ法人のみしか出していません (2012年6月現在) 。個人向けが発売されたら買いたいと思っていたのですが、待ちきれず結局は他社のレコーダーを買いました。

もし今後、個人向けのスパイダーが出たら、今のレコーダーから買い替えます。なぜなら、スパイダーには他のレコーダーにはなく、そもそものテレビ視聴体験を大きく変える可能性が期待できるからです。


SPIDER の本質


スパイダーを放送された番組を全て録画する 「全録レコーダー」 としか見ないと、スパイダーが持つ可能性を見誤ります。

スパイダーの本質は、番組や CM のインデックス化と、検索やソーシャル機能による新たな発見です。

前者は主に検索のための番組情報データ整理です。ネットの世界でグーグルがやっていることをスパイダーはテレビでもやろうとするものです。今回は後者について書くので割愛します。詳しくは以下の記事にあります。

参考:テレビが進化する可能性を追う!日本の閉鎖的な放送業界を揺り動かす 「SPIDER」 のさらなるチャレンジ (佐々木俊尚)| 現代ビジネス


全録でも結局は予約録画と同じ


スパイダーを開発している PTP 社長の有吉氏によれば、単に全録機能だけを提供しても結局見るのは普段視聴している番組しか見ないそうです。

これは同社が2年間に渡って一般家庭モニターで行なった実験結果データからです。放送された番組を全て保存しておく全録でも、結局は知っているものしか見ないのであれば予約録画と変わりません。

スパイダーが目指すのは使いやすい検索機能と、ソーシャルによる自分が知らなかった番組の提供です。根底にあるのは 「テレビがつまらない」 ではなく、「おもしろいテレビ番組 / CM に出会っていないだけ」 という考え方です。

全録は、大容量のハードディスクを積み、多数のチューナーを設置すれば、家電メーカーであればできてしまうコンセプトです。

有吉氏は、「全録」 に懸けているのは 5% くらいだそうです。残り 95% は、どうやったら番組や CM を楽しく見られるか、どうやって面白いものに出会えるか、どのように友達や著名人のおすすめ番組を見ることができるかの実現を重視していると言います。新しい発見や埋もれている番組や CM とどうマッチさせていくか、そこばかり考えているそうです。


テレビの次の50年をつくる


スパイダーの目標は 「テレビの次の50年をつくる」 とのことです。

テレビが世の中に出て、その後にユーザー体験を大きく変えた1つにビデオの登場があります。番組を録画し自分の見たいタイミングで自由に見られるようになりました。

テレビ番組や CM はテレビ局の都合で番組表が組まれ、その通りに流すという構図です。視聴者はその時間に合わせてテレビをつける必要があります。この仕組みは今も基本的には変わりません。

視聴者の都合ではなく、見たいならその時間にテレビつけてくださいという発想です。それが無理なら自分で録画してくださいという考え方です。

ビデオ登場後、DVD やブルーレイ、地デジによる高画質なデジタル映像、3D テレビの登場もありますが、どれも過去の延長線でしかありません。ビデオ以来のイノベーションを期待するとしたら、「いかにおもしろい映像/番組に出会えるユーザー体験を提供するか」 という課題設定なのです。


本当の意味での 「通信と放送の融合」 「テレビのネット化」 とは


ここまでスパイダーの魅力を書いてきました。スパイダーが現在やろうとしていることも、本来のあるべき姿から逆算すると、まだ違う点もあると私は思います。

スパイダーの仕組みは、1週間程度の全放送番組を自動で保存しておき (全録) 、それを使い勝手に優れた検索やリモコン、ソーシャルサービスで 「新たな番組との出会い」 を提供しようとするものです。

ただ、例えば10,000人がスパイダーを使うとすると、1週間の放送データが、10,000人分それぞれのスパイダー内に記録されます。全体で見ると無駄が発生しています。なぜなら、全員が各自で全録をすればデータの重複が生まれるからです。

もし、中央に1つの全データがあって、それを各自が読みに行くという仕組みであれば、もっとシンプルになります。

発想はクラウドコンピューティングと同じです。各端末のローカル内にデータを置いておくのではなく、中央のクラウドにつなげるというものです。これがテレビでもできれば理想ではないでしょうか。

そうすれば、1週間という限られた期間ではなく、過去全ての番組が用意されており、検索やソーシャルからフィルターされ、自分が見たい番組、知らなかった新しいコンテンツの発見につながるテレビ環境です。

テレビ番組放映開始から50年以上の全ての番組や CM が中央にあり、自由に見られることがあるべき姿です。

もちろん素人の発想なので、現実的にやろうとするといくつもの技術的・コスト・政治的なハードルがあるのでしょう。

ただ、ネットの世界ではこのあるべき姿がすでに実現しています。100% 完璧ではないですが、それでもネットが便利なのはこの点にあります。

同じことがテレビの世界でもできる時、本当の意味での 「通信と放送の融合」 「テレビのネット化」 が実現します。


※ 参考情報

テレビが進化する可能性を追う!日本の閉鎖的な放送業界を揺り動かす 「SPIDER」 のさらなるチャレンジ|現代ビジネス
便利になるテレビへの想い- 「全録ブーム」 からの離脱宣言- 株式会社PTP 代表取締役 有吉昌康|株式会社PTP
2011年、SPIDER が変えるテレビの 「未来」 と 「可能性」 |現代ビジネス
「ソーシャル」 こそが再びテレビを甦らせる|現代ビジネス

2012/06/16

テレビでターゲティング広告は実現できるのか:理想と現実のギャップ

ネット広告の世界では人によって見せる広告の内容を変えるターゲティング広告は当たり前のように使われています。具体的には、そのユーザーが過去にどのウェブページを見たか、何の広告が表示されたかや実際にクリックしたか、どんな検索をしたか等の、行動データから機械的にその人に最も適切であろう広告を表示させています。広告を見せる人を絞り、より広告の効果を高めるやり方。

つい最近見た記事でもフェイスブックのターゲティング広告の話題があり、このへんの話は日進月歩という感じです。このフェイスブックの広告システムはクッキーを使ってユーザーの行動履歴を取っているとのこと。
Facebook Tests Real-Time Ad Targeting Based on Web Browsing Activity|HubSpot Blog

■ターゲティングが弱いマスメディアの広告

一方、それに比べてテレビなどのマスメディアでは広告のターゲティングはできていないのが現状です。ネットでは同じウェブページを見ていても、見る人により表示させる広告が違いますが、テレビは見る人によってCMが異なることはありません。今、日テレで流れているCMは視聴者全員が同じものを見ているのです。

視聴者全員に同じものを見せるというのはメリット/デメリットがあって、メリットとしては一度に多くの人に広告を見せることができます。専門的にはリーチ率と言いますが、テレビでは一般的に視聴率1%で100万人が見ているとされているので、単純計算では視聴率10%の全国ネットの番組にCMを流せば1000万人にCMを見せることができる。(もちろん、CMは流れていても見ていない、トイレとかで離れていることもあったり、そもそも視聴率1%は普通は世帯ベースなので、100万人という人ベースに置き換える計算も正確ではないのですが)

デメリットは、全員に見せるということは、広告のターゲットができていないということなので興味のある人にもない人にも一様に見せるので、どうしても無駄が発生します。TVCMを放映するのに大きなお金をつぎ込みますが、無駄があるほど費用対効果が悪くなります。

■ターゲティング広告配信機能を持つインテルのTVセットトップボックス

Mashableの記事によればインテルがテレビCMのターゲティングを可能にするセットトップボックスを開発したとのことです。
Intel Set-Top Box Uses Face Recognition to Target Ads to You [VIDEO]|Mashable

機能としては、インテルのセットトップボックスに搭載された顔認識技術により、TVを見ている人の性別や大人/子どもを判定し、そこからより適切なテレビ広告を表示させるようです。記事によれば認識するのは性別とか大人か子供かくらいのレベルで、個人までは特定しないとあります。おそらく技術的には事前のユーザー登録と顔認識技術でもっと詳細に個人を特定できる気はします。例えばセットトップボックスに性別・年齢・趣味・興味のあるジャンル(美容/ダイエットとか)、などに加えて顔写真を登録するイメージ。が、あえてそこまでしないのでしょう。

インテルのセットトップボックスのメリットとして、広告主には広告のターゲティングができること、視聴者にはセットトップボックスを買って使ってもらうことで、テレビや番組視聴の料金が下がるようです(なお、アメリカでは日本と違いケーブルテレビが主なので有料でテレビを見るという感覚が強いです)。

記事の最後の方に少しだけ触れていたのが、このインテルのセットトップボックスはニールセンの視聴率調査とも何かしらの連携があるようで、アメリカではニールセンのテレビ視聴率調査は日本でいるビデオリサーチのような存在なので、個人的にはこちらも気になる動きです。

■テレビでターゲティング広告をするには

顔認識で広告を出しわけるセットトップボックスは色々と興味深いのですが、出しわけが性別と大人or子供というのは切り口としてはまだまだ不十分です。これだけだと2×2マトリクスの4象限しかないので、絞っていると言ってもターゲティングとしては粗い。どこまで効果的な広告を表示できるか。

方向性としては、テレビもネットの世界と同じように今後はターゲティング広告に進んでいくはずです。テレビでもターゲット広告を実現するにはどうすればよいか。ちょっと考えてみると、

1つはインテルの顔認識のようなテクノロジーで見ている人を識別すること。前述のようにもっと細かく「その人が誰か」を判別できるようになれば、その条件に合う広告表示も可能になってくるかもしれません。ただし、これ系の技術は高度なテクノロジーを使うほどコストもそれだけ上がるので費用対効果の制約が大きくなるように思います。研究やアカデミックには色々とできるのですが、ビジネスとしてやる場合はコスト感が全然合わないという状況です。

2つ目、ネットで行動履歴データから表示広告を出しわけることをテレビでも応用する。実際にこうした技術があるのかあまり詳しくないのですが、過去に見た番組からその人の嗜好性を判定し、より興味のありそうな広告を表示させることです。いずれテレビもパソコンなどと同じように将来的にはネットにつながるのが普通になると思うので、テレビの過去視聴情報だけではなく、ネットの過去履歴も色々と統合すると、ターゲティング精度はもっと上がるかもしれません。よく「つづきはWebで」というテレビ-ネットを連動させるクロスメディアで広告を出す例がありますが、実際にテレビとネットがつながることでシームレスな広告展開ができるようになるのかもです。

3つ目、テレビにフェイスブックやツイッター、その他SNSの情報を統合して、その人に刺さるような広告を表示する。これをやる場合は2つ目同様にプライバシー/個人データ利用とかでハードルは高そうですが、SNSからその人の興味関心を導き出したり、友人おすすめ商品を広告として表示させる。おそらく上記2つ目も同時に実現される気もするので、今よりもターゲティング精度は上がります。

これら以外にも、テレビと手元のスマホを連動させて、スマホサイドでターゲティング広告を出すというダブルスクリーンを活用することも考えられます。個人的にはこちらも興味があるのですが、ちょっと長くなりそうなので割愛。

■あらためて広告について少し

テレビCMについて色々と書いてきましたが、個人的な問題意識としてはTVCMに無駄が発生している点です。ムダというのは、興味のある人にもそうでない人にも一律に見せることでせっかく広告投資をしてもどうしても捨て金が発生すること。視聴者にとっても興味のない広告を見せられるほどつまらないものはないので、結果どうなるかというとCM中はチャンネルを変えたり、録画視聴であればCMスキップされてしまう。

広告をつくること、広告枠を買うこと、広告を流すこと、それぞれにお金がかかっていて、これらの広告コストはめぐりめぐって商品/サービス価格に反映されます。つまり、広告コストは結局は消費者が負担する構図。考えてみれば、普段の生活で朝のスマホから始まり出かける前のテレビ、移動中の電車内の広告、該当広告、PCで見るネット広告・・、とそれこそ1日中、私たちは広告に接触しています。それだけ見た広告の中で印象に残る広告はどれだけ少ないことかがよくわかります。これだけ広告があるのに、ほとんどがスルーされている状況は社会全体で見た場合にそれだけ無駄が発生しているのではないでしょうか。

TVコマーシャルでも、いくつかは見ていておもしろいCMがあると思っています。広告自体がおもしろいクリエイティブに優れたもの、思わず興味が湧くCM、買ってみてもよいかなと思わせるCM、店頭でそのCMを思い出して手に取ってみる、以前に買ったもののCMを見るともう1回買ってもいいかなと思ったり。

理想論の世界ですが、自分の見るCMが興味関心があるものばかりで、TV番組と同じくらい見ていておもしろい状況が本来あるべき姿なのかなと思っています。



※参考情報
Facebook Tests Real-Time Ad Targeting Based on Web Browsing Activity|HubSpot Blog
Intel Set-Top Box Uses Face Recognition to Target Ads to You [VIDEO]|Mashable
Insight: Intel's plans for virtual TV come into focus|Reuters
日テレ、TV番組の盛り上がり表示できるスマホアプリ-Twitter連携「wiz tv」。過去番組や他局対応も|AV Watch

2012/06/09

行動科学マネジメント:夢をかなえるガネーシャの教えを実践するために


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本棚を整理してたら出てきた本が、夢をかなえるゾウ でした。読んだ方も多いかもしれません。2007年のベストセラーの1つです。



ガネーシャの教えは 「行動を起こし実行すること」


「夢をかなえるゾウ」 で言いたかったことは至ってシンプルです。自分を変えるには行動に移して実行すること、知るだけではなく自らで体験し継続させることです。

主人公に1日ずつガネーシャの課題が与えられます。課題は全部で29個あります。

2012/06/02

「絶対赤字」 の非常識に挑んだクロネコヤマトの競争戦略


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昨夜仕事から帰ると、マンションの宅配ボックスにアマゾンで注文した本が届いていました。

いつものようにクロネコヤマトの宅急便です。ヤマト以外に佐川急便や日本郵便だったりする時もありますが、多くはヤマトで送られてきます。

今回のエントリーは、クロネコヤマトの競争戦略についてです。

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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にて 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝1時間のランニング。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。