2012/07/28

「仕組みの問題」 で考える Amazon と三河屋のサブちゃんの共通点




表面的な見た目の違いではなく、構造やメカニズムの違いに目を向けると新たな着眼点が見つかることがあります。起こった事象ではなく、背後にある 「仕組み」 に注目するのです。



Amazon のレコメンド機能


仕組みを考えると、A で成り立っている仕組みが B でも成り立たないか、という発想ができるようになります。

アマゾンと、サザエさんに登場する三河屋のサブちゃんで考えてみます。

アマゾンが力を入れている一つがレコメンド機能です。

レコメンド機能は、その人が買いたくなるであろう商品をおすすめしてくれます。レコメンドの元になっているのは、アマゾンでこれまで何を買ったか、欲しいものリストに何を入れているか、どんな商品を閲覧したかなどです。

確かに、レコメンドの精度はまだ不十分です。ある商品をクリックすると、おすすめ商品が関連するものばかりになってしまう時があります。もっと精度がよいレコメンド機能を期待しています。


三河屋のサブちゃん


アマゾンのレコメンドの仕組みは、購買情報や閲覧情報をアマゾンが持っているから実現できるものです。それだけ、ユーザーの一人ひとりを理解しているのです。

レコメンドをうまくやっているのが、サザエさんに登場する 「三河屋のサブちゃん」 です。

サブちゃんは、次のような一声とともに台所の勝手口に登場します。「そろそろお醤油が切れかける頃だと思って持ってきました」 。

サザエさんも 「ちょうど良かった。お醤油が切れかけてたの。お味噌もいつものを持ってきてくれるかしら」 と、追加で味噌も注文します。

これができるのは、サブちゃんがサザエさん一家を知り尽くしているからこそです。

何も言わなくとも一回に頼む醤油の量も、どんな醤油が好みなのか、そろそろ醤油が切れかけていることも把握しています。頼まれなくても勝手口に現れて、「そろそろお醤油が切れかける頃だと思って持ってきました」 という絶妙のタイミングです。


アマゾンとサブちゃんの共通点


サブちゃんは、磯野家の購買情報やサザエさんたちの嗜好を知り尽くしているのでタイミングよくレコメンドし、さらに追加で別の商品も買ってもらっています。

お客のことを深く理解し、そこから購買を促すというアマゾンと三河屋のサブちゃんに共通する仕組みです。


課題設定と問題解決も 「仕組み」 で考える


背後の仕組みに注目するのは、様々な場面で有効です。例えば、何か仕事上でミスが起こり問題が発生した場合です。問題を把握し、課題解決するために活用できます。

ミスや不備が起こった時、ミスをした当事者を責めてしまいがちです。

原因特定を担当者という個人レベルだけで、対応や改善策もそのレベルにとどまってしまうと、次もまた同じことが起こる可能性があります。容易な対策はミスを起こしてしまった担当者を変えることです。しかし、もし発生原因がそもそもの仕組みの問題だとすると、新しい担当者も同じミスしてしまうかもしれません。

問題が起こった時は個人ではなく、問題に焦点を当てるべきです。

原因究明では、なぜ起こったのかの仕組みの問題として捉えるのです。その上で、ミスが起こらないような仕組みとしての改善と、ミスが発生しても早期に発見できるチェックの仕組みを構築するという2つのアプローチで対応します。

仕組みやメカニズムに着目すると、他の業務プロセスが活用できるのではないかという視点が持てます。A で成り立っている仕組みが、別の B でも成り立たないかという発想です。一人の担当者や責任者を責めるより生産的です。

ミスを起こした側・起こされた側の双方にとって、今後はミスをなくすという win-win を目指したいです。


最後に


今回のエントリーで言いたかったのは冒頭で書いた、見た目の違いではなく、構造・メカニズムの違いに目を向けると、新たな着眼点が見つかることです。普段から 「メカニズムはどうなっているのか」 と考えるクセをつけておきたいです。

2012/07/22

戦略の本質を考えるための3つのポイント


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戦略とは、あるべき姿と現状の差を埋めるために 「何をやるか」 です。目的を達成するためにやることとやらないことが明確にしたものが戦略です。

今回のエントリーでは、戦略を考えるためには何が大切かを考えます。


1. 強みを活かす。ただし強みは相対的なもの


戦略を考えるために重要なのは強みを活かすことです。

ただし、そもそも強みとは相対的なものです。何と比較するかによって、同じことが強みになり、弱みにもなります。

例えば自分が強みだと思っているのは、たくさんのアイデアが出せることだとします。

自分の回りの人たちと比較した場合にアイデアが豊富に出るのであれば、その状況では強みです。しかし、違う環境になりもっと創造的なアイデアを組み合わせる人がいると、強みにはなりません。

弱みも同様です。ある人と比べると弱みかもしれませんが、別の集団内では相対的には強みになるかもしれません。

企業の競争でも同じです。競合をどこに設定するかで何が強みかは変わります。

例えば、東京と大阪間の移動手段では、従来の航空機に対する新幹線の強みの1つは安さでした。今後 LCC が普及すれば、新幹線の値段は高くなり低価格は強みではなくなります。

新幹線の LCC に対する強みは、快適な車内空間やサービスなどの移動中に快適に過ごせることになります。

強みについて忘れてはいけない視点は、何が強みかを認識するのはあくまで相手 (例: 顧客) であるということです。

自分たちが高い技術と思っていることが反映されている製品やサービスであっても、利用する顧客が、他よりも魅力でと思われなければ、顧客にとってベネフィットはありません。強みがないのと同じです。


2. 戦略立案と実行は二人三脚


戦略とは、現在地からあるべき姿という目的までに行く道筋です。目的を達成するために、自分たちは何をやるのかという道筋です。

戦略で注意が必要なのは、道筋を決めれば安泰ではないことです。筋の良い戦略かどうかは、競争環境で変わります。戦略は、常に顧客ニーズの変化や競合他社の動きに合わせて見直し、修正や進化し続ける必要があります。

戦略というのは目的地に達するために何をやるか (何をやらないか) というプランです。仮説でしかないものです。

戦略という仮説は、実行をして初めて筋の良いものかどうかがわかります。戦略は、実行をしていく過程で仮説検証を繰り返し進化させるものです。

戦略には、立案することが醍醐味で一度決まれば粛々と実行するだけ、実行は現場に任せておけばよい、というイメージもあるかもしれません。そうではなく、戦略立案と実行はどちらか一方に偏ることなく、トップと現場で一体となり進めていくのが望ましいです。


3. コスト戦略と価値戦略


競争戦略の方向は、大きくは2つあります。

  • コスト戦略:どのようにして競合他社に比べて低いコストを実現するか。構造的なコスト優位を構築し、その分のコスト差を低価格につなげる戦略
  • 価値戦略:顧客により高い価値を提供する。価値を上げ、顧客にとっての魅力度を高め差別化を図る戦略

1つ目のコスト戦略で混同してはいけないのが、「安い商品の提供」 と 「商品を安く提供すること」 は意味が違うということです。

前者の 「安い商品の提供」 は、材質の品質を下げたり、利益度外視で価格を下げることです。

後者の 「商品を安く提供すること」 は、仕組みによりコストを下げて他者より優位なモデルを構築し、その分を安い価格にすることです。

コストを下げる仕組みの例はスケールメリットです。他には中間業者をなくしバリューチェーンをシンプルにすることです。


最後に


戦略とは、目的を達成するために 「何をやるか」 を決めることです。逆に言えば 「何をやらないか」 を決めることです。

戦略とは捨てることであり、やることを決めるよりも、何をやらないかを決めることに本質があるのでしょう。あれもこれもやるというのは、戦略なき状況です。

2012/07/14

誰も幸せにしない 「自分がやった方が早い病」 を克服する仕事の任せ方


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対応しきれない仕事量を抱え、残業をしないと終わらない状況はビジネスパーソンであれば、誰しもが経験のあることです。

自分でやった方が早い病 という本は、全てを抱え込むことの原因として 「この仕事は自分でやった方が早い」 と思うことを問題と捉えます。



本書に書かれているのは、「自分でやった方が早い病」 の原因と治療法、そもそもなぜ克服しなければいけないのか、本当の仕事の任せ方や人の育て方です。

2012/07/07

勝ち続ける意志力:目的は 「勝つこと」 ではなく 「成長し続けること」


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最近読んだ本でよかったのが 勝ち続ける意志力 - 世界一プロ・ゲーマーの 「仕事術」 でした。



サブタイトルに 「世界一プロ・ゲーマー」 とあるように、著者の梅原大悟氏はプロの格闘ゲーマーです。ギネスで 「最も長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー」 と認定されています。梅原氏の得意とするゲームは、ストリートファイターのような対戦型格闘ゲームです。


「勝つこと」 と 「勝ち続けること」 は根本的に違う


本書のタイトルは 「勝ち続ける意志力」 です。勝ち続けることに重きを置いています。冒頭のプロローグで次のように書かれています。

「結果を出す」 ことと、「結果を出し続ける」 ことは根本的に性質が異なる。勝つことに執着している人間は、勝ち続けることができない。

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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にて 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝1時間のランニング。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。