2011/06/26

Facebookが計画中のMusic Dashboardの意味を考えてみる

おもしろいニュースが流れていました。GigaOMによれば、FacebookがSpotifyも含めた複数のオンライン音楽サービスを統合し、Facebook上での新しい音楽サービスを計画しているようです。
Revealed: Facebook’s music plans tap Spotify, others|GigaOM

■Facebookが計画中の新しい音楽サービスとは

GigaOMの記事で紹介されていた内容をいくつか抜粋しておきます。計画中の音楽サービスの機能としては大きく2つです。

1つ目が、フェイスブック上で音楽を再生し聴くことができる機能です。フェイスブックの右下にはチャットのアイコンが表示されていますが、ここに再生/停止ボタンが表示される。PCで音楽を聴くには、iTunesやWindows media playerなどがあるかと思いますが、フェイスブック上でも聴けるようになるのです。

2つ目が、自分たちがよく聞いている音楽や好きな曲を友達と共有できるというものです。フェイスブックのサイトの左上(ニュースフィードなどがあるところ)に「Music」が新しく追加され、それをクリックするとMusic Dashboardのページが表示されるようです。Music Dashboard上では具体的には、フェイスブックでの友達がレコメンドする曲やアルバム、友達がよく聞いている曲、あるいは今聴いている曲などが表示されます。

これらのサービスをフェイスブック単独ではなく、すでに存在している例えば音楽ストリーミング配信サービスなどのSpotifyと連携することで、フェイスブック上で実現させようとするものです。

■滞在時間の長いFacebook上で音楽が聞ける

ここからは、計画中のフェイスブックの音楽サービスの意味について考えてみます。まず、上記で1点目として言及したフェイスブック上で自分が聴きたい曲が簡単に再生できる機能ですが、これだけでも魅力的なものだと感じます。フェイスブックの滞在時間がグーグルを抜いたというニュースが以前に話題になったことがありましたが、その後もフェイスブックの滞在時間は増加しているようです。滞在時間の長いサイト上で自分の好きな音楽が簡単に聞けるような仕組みが追加されるのです。

引用:Trend in Share (%) of Time Spent for Top 5 U.S. Web Properties|comScore

■Facebook上で音楽を共有できると何がいいのか

上記2点目で書いた音楽を友達同士で共有するというのも、フェイスブックとすごく相性がいいのではと思います。既存のサービスでも音楽を友達を共有するようなソーシャルのサービスはいくつかありますが、個人的な実感としてはまだあまり普及していない印象があります。例えばAppleがPingというソーシャル機能を去年リリースした時には、期待したのですが、自分自身も今ではほとんど使っていませんし、自分のTLでもたまに流れているくらいの印象です。

これはなぜだろうと考えた時に、友達同士で音楽を共有する場がうまく構築されていない点にあるように思います。確かにツイッターとPingを連携すれば、ツイッター上でおすすめの曲名を表示させたり、iTunesへのリンクをつけることもできます。またツイッター上でも試聴はできるのですが、個人的にはツイッター上のタイムラインでの音楽の共有は限定的なものだと感じます。というのは、TLでは他の情報もたくさん流れておりその中でPingの情報があったとして埋もれてしまったりなど、Pingからの音楽情報もその他多くの情報の1つでしかないからです。

それに比べてフェイスブック上にMusic Dashboardができれば、そこは音楽を共有することを目的とした設計になっているはずで、だからこそ、そこには友達がおすすめする曲以外にも、今聴いている曲なども表示されるような仕組みになっている。さらにはいいねボタンだったりコメントがつけられ、その情報がニュースフィードにアップされ、フェイスブック上でのコミュニケーションがより活性化されていくのではと思います。単に自分の好きな曲を友達にも紹介する以外にも、今自分が聞いている曲を共有できたり、その時の私の気持ちを音楽で共有したりとか、テキストや写真・動画などでのコミュニケーションとはまた違ったやりとりが発生するのではないかなと。

なお、自分の聴いている曲やおすすめする曲も、おそらく公開する範囲が自分で決められるのではないかなと思うので、共有するかどうかやどの音楽を共有したいかはユーザーが自由に選択できるようになり、このあたりのプライバシーの扱いはフェイスブックも慎重にやってくるはず。

このようにフェイスブックというプラットフォームに音楽サービスが乗ることで、ユーザーにとって使い心地のよい環境になるだけではなく、楽曲の提供者側にとっても自分の曲を知ってもらう場ができることが期待できます。このあたりは個人的な憶測にすぎないのですが、知名度が高くないアーティストでも自分たちの音楽をMusic Dashboardを利用してフェイスブック上でアピールすることができ、それがいいねボタンで広がっていく可能性も出てきます。自分たちの活動やPRなどをフェイスブックページでやるだけではなく、実際に視聴してもらったり、さらにはフェイスブッククレジットとかもうまく使えるようになれば、フェイブック上で自分たちの楽曲を売ることだってできる。フェイスブック上の広告も音楽の要素が入ったものができ、そこにフェイブックが持つ最大の強みであるソーシャルグラフ(人間関係)を活用されていくのでしょう。マーケットは世界のフェイスブックユーザーなので、フェイスブック発の世界的なヒット曲というのも将来的には出てくるかもしれません。

GigaOMによれば、Music Dashboardについては2011年8月に開催されるf8開発者カンファレンスで詳細が発表されるのではないかとしています。GigaOmの記事では、情報源は明らかにされていないものの複数の情報筋からのようなのでまだはっきりとは見えていない部分もありますが、フェイスブックでの音楽サービスの話は今後も注目しておきたい動きです。

※参考情報

Revealed: Facebook’s music plans tap Spotify, others|GigaOM
Will Facebook Launch a Music Service in August?|Mashable
Facebook’s Music Dashboard Could Unite the Fractured Streaming Market|Inside Facebook
Facebook May Soon Launch Music Dashboard|All Facebook
Facebook、Spotifyを統合する新しい音楽サービスを計画か--GigaOm報道|cnet Japan
Trend in Share (%) of Time Spent for Top 5 U.S. Web Properties|comScore

2011/06/18

相手も自分も動かす「自分ごと化」のススメ




メールを送って仕事の依頼を伝えたつもりが、こちらの意図が正しく伝わっていたなかった。仕事をされている方であれば一度は経験があることです。

■「伝える」と「伝わる」は同じではない

このような「伝える」と「伝わる」ことが必ずしも同じではないということを、マーケティングや広告の世界でも起こっているのではないか、という問題意識で書かれいてたのが「どう伝わったら、買いたくなるか」(藤田康人 ダイヤモンド社)という本でした。

著者は、消費者が得られる情報が今ほど多様ではなかった時代では、メディアや企業から得られる情報が多くを占め、「伝えること」とはそのまま届くことであり、「届くこと」と同じ意味だったと言います。

しかし、今や情報を伝えても、簡単には消費者に届かなくなり、届いたとしても伝わったことにはなりません。そして、買ってもらうという行動につなげるのが、以前よりも難しくなったという問題提起です。

では、伝えるためにはどうすればいいのでしょうか。

本書のポイントは2つです。1つ目が消費者が本当に聞きたいことを把握すること、そのためには消費者を観察し彼ら/彼女らのことを深く知る消費者インサイトの重要性が挙げられています。

2つ目が伝えたい相手(ターゲットとなる消費者)にとっていかに「自分ごと」として受け取ってもらうかという発想でした。

今回のエントリーでは、2点目の自分ごとをテーマにして書いてみたいと思います。

■ そのためには「自分ごと」として受け取ってもらうこと

自分ごとについての著者の主張をもう少し見てみます。

「自分ごと」というのは、その情報が自分にどれだけ関係あると思うということを指しています。確かに自分のことを思い返してみても自分には関係ないと思った瞬間に興味・関心は薄れてしまうものです。

いかに自分ごと化できるかは、その情報にどれだけベネフィットがあるかがポイントです。ベネフィットには2種類あります。その情報を得ることでトクをするという 0 → プラスのものと、それを知らないと損をするというマイナス → 0 の2つです。

広告やマーケティングでは、消費者に自社のモノ・サービスを買ってもらうことが目的です。そのためにはベネフィットを伝え、消費者にどれだけ自分に関係する情報だと認識してもらう、それができなければ「伝わる」までには至らないということです。

受け手側にいかに「自分ごと化」してもらうか、この視点はマーケティングや広告以外にも応用できそうな考え方です。本書を読んだ中であらためて気づいた点でした。

冒頭でメールの例を挙げていますが、メールを書く際にもこちらの言いたいことを書くだけではなく、相手の立場で文章構成がつくれるか、相手のメリットやマイナスになる事態を防げるなどのベネフィットがあれば、読んだ相手に伝えたかった内容が伝わりやすくなるのではないでしょうか。

ビジネスにおいてはメール以外にも、上司への報連相や、プレゼンもこの考え方は活かせそうです。

プレゼンでは受け手側の視点で見ると、資料がオーディエンスにとって自分ごと化されている構成になっていれば、プレゼン自体もそのような形になります。

■ 日経も自分ごとで読む

ここまではいかに受け手側で自分に関係があると思ってもらえるかという送り手側からの発想でした。

自分が受け手側になった場合も、自分ごととして捉えるような意識が大事です。関連するのが以下のブログで書かれていた内容でした。

正しい日経新聞の読み方。(特に新社会人へ)|My Life After MIT Sloan

この記事の内容を簡単に整理すると、ビジネス界にいる人が新聞を毎日読むのが大事であり、そのためには日経を例にどう読めばよいかがわかりやすく書かれています。

具体的には、それぞれの記事から「意味合いを考える」ことであり、

  1. 記事内の事実
  2. 解釈
  3. 自分は何を考えるべきか

という3ステップで構成です。

例えとして、空・雨・傘が使われています。カーテンを開けると曇り空という事実から、雨が降るのではないかと解釈し、今日は傘を持って出かけようというものです。

一般化すると以下になります。

  • 「空」 = 「事実」は何かを見極め
  • 「雨」 = そこから得られる自分の業界への影響を考え
  • 「傘」 = 何をすべきか、どう手を打つべきか

2つ目の解釈、3つ目の自分は何を考えるか・行動するかという視点は、今回の記事のキーワードである「自分ごと化」と通じます。

新聞記事を漠然と読むのではなく、事実をつかみ、そこからいかに自分に関係のある情報として得られるかです。

情報収集という意味でも、あるいは記事から連想することで世の中の流れをつかむためにも、このような読み方は意識するかしないかで、得られることが違ってきます。

■ 最後に

上記のブログ記事では、新聞を読む理由として、「理由は世の中で何が起こっているか、最新情報を捉え、それがどのように自分たちのビジネスに影響するか、どうすべきかを毎日考えなくてはならないから」と書かれていました。

これには同意で、そのためには新聞に限らず、ネットでのブログやツイッターなどで情報を得る時、仕事でまわってくる資料やメールに触れる時にも、こういった発想が有効です。

そのためのポイントがいかに「自分ごと化」ができるかです。


どう伝わったら、買いたくなるか
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2011/06/11

福沢諭吉から考える会議設計の3つのポイント

今回は、福澤諭吉に学ぶ 思考の技術 という本を取り上げます。




福沢諭吉と議論の本位


本書では福沢諭吉の著書「学問のすゝめ」「文明論之概略」から学べる論理的思考の技術が紹介されており、その中の1つに「議論の本位を定めること」が取り上げられています。

今回のエントリーでは議論の本位を定めることについてと、議論する場の代表例として会議についてどうすれば生産的なものにできるかを書いています。

2011/06/04

「意思あるところに道あり」 by 長友佑都




「意思あるところに道あり」 。この言葉は、現在セリエ A の強豪インテルミラノに所属する (2011年現在) 、長友佑都選手の好きな言葉です (もともとは出身である東福岡高校の校訓の一つ) 。

長友選手の自叙伝である 日本男児 を読むと、長友選手がなぜこの言葉を好んで使うかがわかります。

最新エントリー

多田 翼 (書いた人)


複数のスタートアップ支援に従事。経営や事業戦略、プロダクトマネジメント、マーケティングのコンサルティング及びメンター。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn をご覧ください) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝のランニング。

内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。