2016/05/14

書評: 0~4歳 わが子の発達に合わせた1日30分間 「語りかけ」 育児 (サリー・ウォード)




今回のエントリーは 0~4歳 わが子の発達に合わせた1日30分間 「語りかけ」 育児 という本をご紹介します。


毎日30分の語りかけ


冒頭で、本書について次のように書かれています。

この本の神髄というか、ウォードさんが読者にどうしてもこれだけは伝えたいと考えているのは、次のことだといってよいでしょう。

それは、赤ちゃんが誕生したら、毎日、静かな環境で、赤ちゃんと二人きりになり、向き合って、30分だけ、自分のことばで、語りかけよう、ということです。「毎日30分の語りかけ」 です。

(中略)

ウォードさんは、ともかく一日30分、子どもと向き合って、ことばでコミュニケーションをすれば、子どもの育ちは、ことばはもちろん、知能や情動、社会性などの面でも、うんとよくなるということを、長年のことばの治療その他の経験から導いたのです。


語りかけ育児が目指すもの


語りかけ育児とは、一日30分、親が赤ちゃんや子どもに優しく話すことです。

ただし、目的は赤ちゃんや幼児に何かを言わすことではありません。重要なのは、親が赤ちゃんに語りかけ、赤ちゃんが喜んで大人とコミュニケーションをしたいと思うことです。

本書で表現を変えて、何度も強調されています。「赤ちゃんに言葉を言わせるために質問をするのは、絶対にやめてください」 「話しかけに徹するのみで、絶対に赤ちゃんに言わせようとしないことです」 。

語りかけ育児でもう1つ大事なことがあります。たくさんの言葉を語りかけると同時に、赤ちゃんや子どもが望んでいることや何に関心があるかを汲み取ることです。

語りかけ育児は、言葉や、言葉に乗らないコミュニケーションも含めて親子でのゆっくりした時間を一日30分は持ちます。

ポイントは、子どもが、温かい関係の中で自分が大事にされていると感じ取る環境をつくることです。その結果、子どもは自己肯定感を持つことができます。

子どもが自己肯定感を育む状態ができれば、子どもは言葉を身につけ、知能を発達させていくのに適した環境になります。


月齢ごとの子どもの発育の様子・子育てのヒント


この本の特徴は、細かい月齢時期ごとに詳しく書かれていることです。0才から2才までは、3ヶ月刻みの月齢ごとに説明があります。

各時期に子どもはどういう言葉を使うようになるか、どんな遊びや行動をするようになるかが詳しく書かれています。おもちゃ選びや絵本の選びかたのアドバイスも細かく紹介されています。

例えば、2才6ヵ月から3才の頃にできるようになってくるのは、

  • 物の名前だけではなく 「あつい」 「たかい」 などの形容詞もわかるようになる
  • 「汽車がトンネルからでて、お山にのぼる」 などのストーリーをつくることができる
  • 自分がお絵かきした内容を説明できる。大人には線や円にしか見えなくても、子どもはそれがお友だちの顔だったりする
  • 「なぜ」 「どうして」 の質問が始まる
  • 手先が器用になってくる。自分の服のボタンをはずせる。紙を半分に折れる
  • 大人がやっていることをマネできる。例えば、紅茶にミルクを入れてかき混ぜる動作ができるように

2才6ヶ月から3才までの子どもへの接し方のアドバイスは、

  • 叱らなければいけないときは、振る舞い (やったこと) を叱る。子ども自身を否定するような叱り方はしない
  • 子どものきりがない 「なぜ」 「どうして」 に満足するまで答えてあげる
  • 言葉や単語を教えようとするのではなく、自然な会話をする。子どもは遊んだり、楽しい会話から語彙を増やしていく
  • 発音や言い間違いを直接否定しない。子どもが言ったことの返答として正しい言い方で話す
    • 例: 「キウリ食べたい」 「そうだね、デザートにキウイを食べようね。他にも何かフルーツを食べる?」
    • 単語や文法の間違いをすぐに正すよりも、一度 「そうだね」 と肯定してから返答することが大事。キウリ → キウイを訂正し、キウイと関連してデザートやフルーツという単語も加えて話してあげる


親子の時間をつくっているか


この本を読んであらためて思うのは、親と赤ちゃんや子どもとで真正面から向き合う時間をつくっているかでした。たとえ親子の時間でも、親はスマホからメールチェックをしていたり、仕事などの他のことを考えて時があります。

「語りかけ育児」 は、親子でのピュアなコミュニケーションをやってみましょう、親子水入らずの時間を1日に30分だけでもやりましょう、というメッセージです。



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多田 翼 (書いた人)