
最近興味があるのが、資産運用 「ロボアドバイザー」 です。
これまで、機関投資家や富裕層にしか利用できなかったグローバル分散投資による資産運用サービスを提供します。特徴は、ポートフォリオ構築、投資先の銘柄選定 (主に海外 ETF) 、運用を、機械 (ロボット) がやってくれることです。
日本でロボアドバイザーとして、他よりも先行してサービスを開始したのが THEO (テオ) です。
今回のエントリーでは、お金を入れて THEO で資産運用を始めたので、開始のプロセスをご紹介します。THEO の価値、自分の資産運用での THEO の位置づけ、THEO に対する不安要素と課題も考えてみます。
THEO (テオ) とは
THEO は 「お金のデザイン」 という会社が提供するサービスです。
THEO の由来は、画家であったゴッホの弟の名前からです。ゴッホを資金面でサポートしたゴッホのが弟であるテオドルス・ファン・ゴッホ (通称テオ) でした。
名前の由来は、一人ひとりの資産形成をサポートし、お金に縛られずに挑戦し続ける人生を応援する存在になりたいという思いからとのことです。
THEO のサービスイメージは、THEO のサービスリリース時の記者会見ダイジェスト動画がわかりやすいです (2016年2月16日) 。THEO のコンセプトと、サービス内容です。
THEO の口座開設プロセス
THEO の口座開設プロセスは大きく3つです。
- Web 無料診断で資産運用プランをつくる
- 証券口座を開設と、投資一任契約を申し込む
- 入金し、資産運用を開始
無料診断では、9つの質問に答えます。回答結果で投資の推奨ポートフォリオが提示されます。
- 現在の年齢
- 何歳まで働くつもりか
- 資産運用経験の有無
- 安定した配当 / 利息を受け取ることを重視するか
- 市況により資産評価額が大幅に下がった時の対応方針
- もしインフレが起こった場合の手持ち資産への影響度
- 資産運用期間を決めているか
- 想定している運用期間
- 運用期間後の引き出し額の予定率
お金のデザインが公開している無料診断のイメージ動画です。
私の場合、無料診断から入金した資産が運用されるまでは、およそ2週間でした。具体的な口座開設プロセスは以下です。日付は2016年です。
- 5/8 (日):
- ポートフォリオ無料診断に回答。ポートフォリオが提示される
- ユーザー登録。登録完了のメールが届く
- 口座開設申し込み。投資一任契約をし、運転免許証などの本人確認書類の提出 (免許証をスマホで撮影し写真ファイルをアップロード)
- 5/11 (水):口座開設の申し込み完了のメールが届く。審査に入る
- 5/13 (金):口座開設の申し込み完了連絡が書類でも郵送される。今後の手続きの流れ、運用資金の振込先口座の説明
- 5/16 (月):
- 審査が通り口座開設の完了のメールが届く
- 続けてマイナンバーを提示。通知カードの写真ファイルをアップロード (個人番号カードでも OK)
- マイナンバー提示の受け付け完了のメールが届く
- 5/17 (火):専用口座に10万円を振込み
- 5/18 (水):入金完了のメールが届く
- 5/19 (木):マイナンバーの確認が完了し、マイページに時価評価額が表示される
- 5/20 (金):出金先の銀行口座を登録
- 5/23 (月):運用状況 (収益率) がマイページに表示される
THEO の価値
THEO を使うメリットを一言で言うと、海外 ETF (上場投資信託) への分散投資を手間をかけずにできることです。
THEO は、アメリカ市場を中心に世界で11,000種類以上の ETF から、35-45種類を選び投資します (2016年5月現在)。ETF は、株式市場だけではなく、債券やコモディティ (商品) 市場などに連動するものが対象です。ユーザーのポートフォリオ設定に応じて ETF の配分が決まります。
これだけの ETF の本数を自分で選ぶことは、かなりの専門知識と時間が必要です。投資する ETF 銘柄を選ぶだけではなく、運用中も ETF の値動きや経済状況の変動に応じて売買も自分でやるのは、私にとっては現実的ではありません。
THEO 利用者が THEO に支払うのは手数料です。
年間で預かり資産の 1% (消費税除く) です。厳密には、入金が3,000万円までは 1%、3,000万円を超えた分は 0.5% です。例えば、4,000万を入金すれば、(3,000万 x 1%) + (1,000万 x 0.5%) = 35万です。これにプラス消費税です。
THEO がやってくれるのは、海外 ETF を40程度選び、投資し、その後もタイミングを見極め売買をしてくれることです。手数料は、自分の代わりにやってくれる対価です。
自分の資産運用での THEO の位置づけ
自分がやっている資産運用のうち、現金や貯金などを除くリスク資産は、日本株式、外国株式、外国債権です。
このうち、外国株式と外国債券の今の運用状況は、日本株式に比べるとパフォーマンスが低いです。
日本株式では、ひふみ投信などの独立直販のアクティブ投資信託と個別株に投資しています。
外国株式と外国債券は、インデックス投資信託を使っています。具体的には、EXE-i 先進国株式ファンド、EXE-i 新興国株式ファンド、三井住友・DC 外国債券インデックスです。
THEO には、これらの外国株式 / 債券のインデックス投信を置き換える役割を期待しています。
ただ、インデックス投信には毎月の自動積立をしていますが、THEO には自動積立の仕組みはありません (2016年5月現在)。
やり方として考えているのは、THEO の自分専用の入金先である三井住友銀行の口座に、他銀行の自分の口座から毎月自動振込をする方法です。銀行によっては自動振込手数料を条件に合えば無料でできるので、手間とコストをかけずに THEO への自動積立の仕組みをつくります。
THEO への不安
自分の資産を預ける利用者の立場から見た不安は、ロボアドバイザーというブラックボックスです。
THEO は、独自開発したアルゴリズムを使って利用者の資産を海外 ETF に投資します。自分のお金をロボットが運用してくれると言うと聞こえ方は新しいですが、このアルゴリズムの中身がよくわかりません。銘柄選択や売買がなぜそうなったのかが不透明です。
うがった見方をすれば、もし運用に手抜きがあっても、ロボットがそのように判断したと言われれば、そうとしかこちらでは受け取るしかないわけです。
本質的には、ロボットも人が運用方針を決めるアクティブ投信も、自分のお金の運用を自分ではない他者に委ねている点は同じです。
人ではなくロボットになった時の慣れていなさが、アクティブ投信では抱かなかった不安をロボアドバイザーに抱いてしまっている理由なのかもしれません。
THEO の課題
ロボアドバイザーサービスによらず投資信託も含めて、どれだけ資産を集め、パフォーマンスの良い運用ができるかが求められます。
THEO の課題は、どのくらいの運用成績を残せるか。これに尽きます。市場平均であるグローバルインデックス投資信託を上回れるかどうかです。
もう1つ課題を上げるなら、これから日本でも増えてくるであろう資産運用ロボアドバイザーの中での差別化、そして、他のインデックス投信やアクティブ投信、個別株などの投資方法との差別化をどう図っていくかです。
ロボアドバイザーの中では、THEO には先行してサービスをリリースした優位性はあるでしょう。ただ、一時的なものなので、中長期にどういった強みをつくれるかです。
1つ、他にはないサービスとしての独自資源は、サービス監修者です。THEO のサイトによれば、資産運用の第一人者である京都大学大学院教授の加藤康之氏と組んでいます。専門は投資理論と金融工学とのことです。
こうした権威は、サービスのブランド化に貢献することが期待できます。
すでに資産運用経験の豊富な個人投資家をメインターゲットにするのか、それとも資産運用をあまりやっていないような投資の新規ユーザーをターゲットにするのか。
THEO は両方のユーザーを狙っていくのでしょう。
他の投資方法ではなく THEO ならではの強み、つまり、お金を投資する対象として THEO を選んでもらう理由をどう確立するか。強みをどうメッセージしていくか。
THEO のこれからのマーケティング戦略に注目しています。
最後に
THEO (テオ) に興味を持った方は、こちらが THEO のサイト です。