投稿日 2013/01/13

注目しているGoogle Nowから考えるGoogleの描く未来

グーグルが提供するサービスで注目しているのがGoogle Nowです。

■Google Nowの特徴

Google Now(グーグルナウ)とはパーソナルアシスタント機能で、スマホなどの端末内のユーザー情報をもとに、そのユーザーが今必要であろう情報を提示してくれます。端末内のカレンダー情報、天気や交通状況、ユーザーのウェブ履歴などの複数のデータを連携/統合することで実現しています。

イメージとしては、カレンダーに目的地も含めて予定を登録しておくと、現在地と目的地への所要時間が提示され、駅や空港に着くと、現在時刻から次の便の出発時刻などを知らせてくれます。ユーザー自らが検索するのではなく、グーグルナウがユーザーにその時に必要な情報を提示するのが特徴です。

Introducing Google Now|YouTube


ちなみに、Google Nowの紹介ページには「Google Nowは必要な情報を必要なときに提供します」(Google Now gets you just the right information at just the right time.)と書かれています。なお、Google Nowが使えるのはAndroid 4.1以降の端末です。

冒頭で「Google Nowに注目している」と書きましたが、その理由はGoogle Nowはこれまでのグーグル提要サービスに比べて、一歩踏み込んだものだと思うからです。

比較として検索サービスとGoogle Nowを考えると、検索サービスは受け身なスタンスであるのに対し、Google Nowは能動的な性格を持っています。ユーザーがグーグルで何かを検索する際には、まず始めに検索キーワードを入れて、その後にグーグルが検索結果を返します。一方、Google Nowの特徴はユーザーがこれから必要であろう情報をGoogle Nowが判断し、ユーザーが聞かずとも知らせてくれるということ。

検索は欲しい答え(知りたい情報)をユーザーがすでに想定しているのに対し、Google Nowはユーザーが欲しいであろう情報を先回りして提示するのです。例えるならば、
  • 検索は、ユーザーが「こんな色でこれくらいの大きさの花を見つけてきて」と頼み、それに一番近い花を森の中から探し出す
  • Google Nowは、頼まれる前にユーザーの好みに応じて、「あなたが今欲しい花はこれだよね」という感じでGoogle Now自らの判断で森の中から探してきてくれる
というイメージ。

■Googleとユーザーの関係

この例えにもあるように、ポイントは「ユーザーの好みに応じて」の部分。Google Nowは、ユーザーのことをカレンダー情報、現在地や目的地、天気予報などのデバイスにあるいろんなから判断しています。

グーグルの強みはユーザーデータを広範囲に大量に集めていて、それを活用していることにあると思っています。イメージはこんな感じ↓


  • グーグル提供サービスを、ユーザーが利用すればするほど便利になる
  • グーグルも集まってくるユーザー利用情報を、①提供サービスのさらなる改善、②収益の柱である広告に活用する
ことで、ユーザーとグーグルの間で良い循環ができているのです。ここはグーグルの本質的な部分だと思っています。

で、これまではユーザー情報の収集は、どんな検索をしたか、どのウェブページを閲覧したか、Gmail、等々で、オンラインを中心にした情報でした。それに対してGogole Nowはスマホやタブレットに付いている機能なので、ユーザー情報取得範囲はオフラインにも広がります。モバイルの利用データを使える意味は大きいんですよね。

■Googleのさらなる挑戦

「そうそう、今欲しいのはこの情報なんだよね」。必要な情報をユーザーが検索しなくても、スマホがその時その時で欲しい情報を提供してくれる。

Androidを持っていないのでGoogle Nowを日常で体験したことはありませんが、自分の欲しい情報を言わなくても見せてくれるようになれば便利な機能だと思います。Google Nowというパーソナルアシスト機能が、自分にとってなくてはならないものになるかもしれません。

グーグルの狙いはまさにここで、ユーザーがどれだけグーグル提供サービスに「依存」してくれるか。依存すればするほど、それだけユーザーはグーグルを使うことになり、ユーザーデータも集まってきます。それをグーグルは広告という収益に変えることができる。グーグルの強固なビジネスモデルです。

PCをベースにしたオンラインの世界で、このモデルを築けたからこそ今のグーグルがあるわけですが、今後はこのモデルをスマホなどのモバイルや、ネットの外側のオフラインの領域でも構築できるのか。グーグルの未来を構成するカギの1つがGoogle Now。それと、グーグルが開発中のウェアラブルコンピューターの1つであるGoogle Glassです。

Google Glassも個人的にかなり注目しているプロダクトで、グーグルが描く未来の1つのカタチだと思っています。以下のYouTubeにあるイメージが実現される日もそう遠くないかもしれないですね。

Project Glass: One day...|YouTube



※参考情報

Google Now
Introducing Google Now|YouTube
Google Now - Boarding pass card|YouTube
Google、Android のGoogle Now をChromeブラウザに組み込みへ|engadget 日本版
Project Glass: One day...|YouTube


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。