2013/08/25

なぜイチローは日米通算4000本安打を打てたのか

イチロー選手が日米通算4,000本安打を達成しました。以下の動画は記録達成の瞬間です。


Toronto Blue Jays vs New York Yankees-Ichiro 4,000 Hit - YouTube

ヒットを打った後にチームメイトがダッグアウトから出てきて、観客からも祝福されるシーンは感動でした。実況アナウンサーが「ヨンセン!」「オメデトウ!」と、ちょくちょく日本語を入れているのもうれしいですね。

■成功の裏には2倍以上の失敗や悔しさがある

4000本安打達成後のインタビューが、イチローの考え方/哲学が色々出ていておもしろかったです。例えば、以下のコメントです。

─タイ・カッブ、ピート・ローズしかいない4000という大台

「これややこしい数なので、両方のリーグの数字を足しているものですから、なかなか難しいんですけど、ヒットを打ってきた数というよりも、こういう記録、2000とか3000とかあったんですけど、こういうときに思うのは、別にいい結果を生んできたことを誇れる自分では別にないんですよね。誇れることがあるとすると、4000のヒットを打つには、僕の数字で言うと、8000回以上は悔しい思いをしてきているんですよね。それと常に、自分なりに向き合ってきたことの事実はあるので、誇れるとしたらそこじゃないかと思いますね」

引用:日米通算4000本安打達成のイチローが会見(全文掲載)/一問一答 (MLB.jp(GyaO!)) - Yahoo!ニュース

後半の「誇れることがあるとすると、4000のヒットを打つには、僕の数字で言うと、8000回以上は悔しい思いをしてきているんですよね。それと常に、自分なりに向き合ってきたことの事実はあるので、誇れるとしたらそこじゃないかと思いますね」。

野球ではヒットを打てるのが3割を超えていれば、バッターとして十分な数字です。3割のヒットの裏には、7割のヒットではない結果があります。安打製造機とも言われるイチローと言えでも、4000本安打を達成した裏には8000回の悔しさがあるのです。

イチローが言わんとしているのは、4000回の成功の裏には8000回の失敗があって、自身が誇りに思っているのは、成功も失敗も両方に向き合ってきたこと。成功の倍だけ失敗や悔しい思いがあり、だからこその成功であると。

これと同じようなことを、バスケの神様であるマイケル・ジョーダンも言っています。

選手生活の中で9000本以上のシュートをミスした。300回近く試合に負けた。26回ウイニングショットを任され、失敗した。人生の中でなんどもなんども繰り返し『私は失敗した』。それが私が成功した理由だ。
I've missed more than 9000 shots in my career. I've lost almost 300 games. 26 times, I've been trusted to take the game winning shot and missed. I've failed over and over and over again in my life. And that is why I succeed.

■現状を受け入れる「自己肯定感」と「その次」

イチローの記者会見でのインタビュー内容は他にも印象的な言葉がたくさんあります。自分に対してどこまで満足しているかについて、こんなやりとりがありました。

─他の選手はどこかで満足している。イチローさんはない?

「いえいえいえ、僕満足いっぱいしてますからね、今日だってもの凄い満足してるし、いやそれを重ねないと僕は駄目だと思うんですよね。満足したらそれで終わりだと言いますが、とても弱い人の発想ですよね。僕は満足を重ねないと次が生まれないと思っているので、もの凄いちっちゃい事でも満足するし、達成感も時には感じるし、でもそれを感じる事によって、次が生まれてくるんですよね。あの意図的に、こんな事で満足しちゃいけない、まだまだだと言い聞かせている人は、しんどいですよ。じゃ、何を目標にしたらいいのですか、嬉しかったら喜べばいいんですよ。と言うのが僕の考え方ですけどね」

引用:日米通算4000本安打達成のイチローが会見(全文掲載)/一問一答 (MLB.jp(GyaO!)) - Yahoo!ニュース

世間のイチローへの見方は「意図的に、こんな事で満足しちゃいけない、まだまだだと言い聞かせている人」な気がします。ひたすらに理想を追い求め、自分を高める選手。これまでの数々の記録に対しても、満足/喜びではなく「まだまだ」と思っている。そんなイメージです。

だから「嬉しかったら喜べばいいんですよ。と言うのが僕の考え方ですけどね」と言っているのは、ちょっと意外に思えました。

自分にどこまで満足するか、素直に喜べるかどうか。ポイントは、イチローがその前に言っている「僕は満足を重ねないと次が生まれないと思っているので、もの凄いちっちゃい事でも満足するし、達成感も時には感じるし、でもそれを感じる事によって、次が生まれてくるんですよね。」にあるように思います。

満足をして終わりではなく、すぐに次を見据える。逆に言うと、次のステージに行く前にしっかりと、喜んでおいたり満足/達成感を得ておく。自分の中で成功体験とNext Stepを繰り返しているからこそ、良い循環ができている。

達成という現状を素直に受け入れ(喜び)、次につなげる。先の成功の裏には失敗があるという話も同じで、失敗という現状に正面から向き合い、逃げることなく乗り越えた先に成功がある。

成功も失敗も、全て自分のことであり、自己肯定感をどこまで持てるか。成功して満足感に浸るだけでもなく、失敗して「自分は全然だめだ」と逃げるのでもない。自分自身や自分のいる環境を受け入れられるか。どんな状況でも最後には「大丈夫」「また次」と思えるか。色々と考え悩んだ後に、最終的には自分を肯定して、受け入れ、そこから前向きに考え、次の行動を1つでも起こす。

その1つ1つの積み重ねが、今回の日米通算4000本のヒットにつながったと思っています。



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多田 翼 (書いた人)