2013/01/06

イチローが語った生き方に見る 「勝ち続ける意志力」




2012年の12月29日に放送された NHK のプロフェッショナル 仕事の流儀は 「イチロースペシャル 2012」 と題した特別編でした。

2012年シーズンのイチローは、前年からの不調が続いていました。7月にヤンキースに電撃移籍したものの、移籍後も以前のプレーは戻りませんでした。


イチローが語った 「生き方」


そんな不振が続く状況で、イチローはあえてヒットしくいボールに手を出し、凡打を繰り返していました。

セオリーでは打ちやすい甘いコースの球を狙うものです。しかし、イチローはヒットにつながりにくい厳しいコースや相手投手の得意なボールを打とうとしていたのです。

「どうして難しいボールに手を出すのか」 と聞かれたイチローは、次のように答えました。

瞬間的な結果を出すために、貫いてきた自分が信じているものを崩してしまうことは、自分の人生や生き方自体も否定することになる。

結果を出すためにいろんなことをするが、姿勢というものが変わってしまうと、もうバッターボックスに立つ意味はない。これは生き方に通じるもの。

この言葉にイチローのすごさを見ました。

イチローの言う 「姿勢」 とは、あえて厳しいボールに向かう攻めるバッティングを貫くことであり、相手投手の決め球に真っ向勝負を挑み続けることなのでしょう。このスタンスを崩してまで安打という結果を出すことは、自身の生き方まで否定することになる、と言うのです。

イチローはその後、シーズン終盤の地区優勝争い、ポストシーズンでチームを引っ張る活躍を見せます。かつての輝きを取り戻しました。


「勝つこと」 と 「勝ち続けること」 の違い


イチローの言葉を聞いた時、去年読んだ 勝ち続ける意志力 という本のことを思い出しました。



著者のプロゲーマーである梅原大悟氏は、冒頭のプロローグで次のように言っています。

「結果を出す」 ことと、「結果を出し続ける」 ことは根本的に性質が異なる。勝つことに執着している人間は、勝ち続けることができない。

一度きりや瞬間的な結果を出すことと、常に結果を出すことは似て非なるものであり、「勝つこと」 と 「勝ち続けること」 は全く違うという指摘です。

では、「勝ち続ける意志力」 とは何でしょうか。本書によれば、勝ち続ける意志力とは勝つことではなく、「自分が成長し続けること」 を目的とすることです。梅原氏は以下のように言います。

僕にとって生きることとは、チャレンジし続けること、成長し続けることだ。成長を諦めて惰性で過ごす姿は、生きているとはいえ生き生きしているとは言えない。

梅原氏の考え方を整理すると、以下のようになります。

  • 「結果を一度出す」 ことと 「結果を出し続ける」 ことは根本的に違う
  • 結果を出し続けるために、自分を成長させることを目的とする
  • 成長させるためには、困難に立ち向かいチャレンジし続ける


勝ち続けるために必要なこと


イチローの言葉を聞いた時、書籍 勝ち続ける意志力 で書かれていたことがリンクしました。

プロフェッショナル 仕事の流儀という番組を通して感じたことは、イチローという選手は野球を通じて自分自身を人としての高みに到達することを目指してることでした。

野球選手としてどこまでやるかと聞かれたイチローは、「人としての成熟期はもっと先にあると思う、その時にまだ選手でいたい。大抵の選手は現役を終えてから人生の何かを知るが、そうではなくその時に現役でいたい」 、と語っていました。

ここもイチローが信じる生き方があり、そのためにスランプ時であろうが厳しいボールに真っ向勝負を貫くというチャレンジをし続けます。その過程でずっと自分を成長させてきたからこそ、イチローが勝ち続けてきた所以なんだと思います。

プロ野球選手とプロゲーマーという立場は異なる2人ですが、結果を出し続けるために努力を続ける、困難に立ち向かいチャレンジし続けている点は共通しています。自分を成長させ続けたいという強い気持ちも同じです。

結果を一度出すだけなのか、それともこの先も出し続けたいのか。

イチロー選手や梅原氏からの学びは、この2つは延長上にあるのではなく似て非なるものであることです。勝ち続けるために必要なのは成長し続けることです。そのためには、変わり続けること、チャレンジし続けること、そして努力を続けることなのです。




ネクストバッターズサークルでのイチローのストレッチ。入念に準備することが習慣化されている。一連の動作は私が好きなシーンです



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多田 翼 (書いた人)