2017/02/02

Facebook の 「動画表示アルゴリズムの変更」 と 「動画ミッドロール広告開始?」 のインパクト (2017年1月)


Free Image on Pixabay


2017年1月は、Facebook の動画について2つのニュースがありました。

1つはニュースフィード内に出る動画の表示アルゴリズムの変更、もう1つは動画ミッドロール広告が新たにリリースされるかもしれないことです。後者のミッドロール広告とは、動画の再生途中に動画広告が入るものです。

今回のエントリーでは、この2つのニュースを俯瞰して見た時に、何が考えられるかを書いています。


長い動画がニュースフィードに出やすくなるアルゴリズム変更


1つ目のニュースは、ニュースフィードに出る動画の表示ランクアルゴリズムの変更です。Facebook から正式発表が出ています。

News Feed FYI: Updating How We Account For Video Completion Rates - Facebook Newsroom

長い動画が表示されやすくなるアルゴリズムに変わります。

動画表示のランキングには、これまで、音声を有効にしたか、大画面にしたか、どのくらいの長さ視聴したか、などの要素を加味してきた。

この長さについて、今後は何秒再生したかではなく、全体の何 % 再生したか (再生完了率) を判断材料にする。その際、長い動画ほど再生完了率の比重を大きくする。この結果、従来より長い動画の表示ランクが上がる。

Facebook、長い動画の表示ランクをアップするアルゴリズム変更 - ITmedia NEWS より引用


So what? (動画の表示アルゴリズムの変更)


新しいアルゴリズムに加味される要素には、再生完了率と長い動画ほど再生完了率が重視される2つがあります。

このアルゴリズム変更によって、特にビジネス目的でやっている動画作成者は、より長い動画を、長い時間見てもらえるように作ろうとするでしょう。

Facebook にとっての意味は、長い時間のものでより長く見られやすいどうがが優先してユーザーのニュースフィードに出るので、Facebook の滞在時間が増えることです。

動画業界へのインパクトは、今後は 「時間」 が評価指標として今まで以上に重視されることです。YouTube などもその流れを追随すると考えられます。


Facebook がミッドロール広告を開始?


もう1つの Facebook の動画に関する2017年1月のニュースは、Facebook が動画再生の途中に動画広告を出す 「ミッドロール (Mid-roll) 広告」 を新たに取り扱うのではというものです。

こちらは2017年1月末時点では Facebook から正式発表はまだで、Recode が報道しました。

Facebook is going to start showing ads in the middle of its videos and sharing the money with publishers - Recode

ミッドロール広告の長さは、最長で15秒。また、「リコード (Recode) 」 によると、20秒間視聴されており、動画全体の尺が90秒以上のライブ動画に限り、ミッドロール広告が表示される仕組みになっているという。

Facebook 「ミッドロール広告」 報道、媒体社からは喜びの声: 「我々にとっては絶好のチャンスだ」 - DIGIDAY[日本版] より引用


So what? (動画ミッドロール広告の開始)


広告主や広告会社にとっての意味は、広告出稿する選択肢が新たに増えることです。

動画広告は、これまではプレロール広告という動画が始まる前に動画広告が流れる順番が一般的でした。Facebook がミッドロール広告を扱えば、今後はプレロールだけではなくミッドロール広告も普及するでしょう。

同じ動画広告でも、プレロール用とミッドロール用で広告内容を変えるというやり方も出てきそうです。

動画作成者にとっては、自分の動画の途中に動画広告が入るのでマネタイズの機会が得られます。

Facebook ミッドロール広告が出る条件は、90秒以上の動画で、20秒以上再生されることです。ミッドロール広告で収益を上げるためには、この2つの条件を満たすような動画をつくる動機が生まれ、結果、長い動画が多くなります。

Facebook ユーザーにとっては、これまでは動画内に動画広告が出ることはなかったので、広告がいきなり出ることからユーザー体験は悪くなります。もちろん、自分に興味のある動画広告、見たいと思う内容であればよいですが、全ての広告がそうではありません。

ユーザーの視点では、少しでも UX がよくすることが Facebook に求められます。例えば、テレビ CM のように動画広告が入るタイミングが、動画内容の区切りのところで自然と入るような出し方です (テレビ CM の入り方が視聴者にとって全て良いとは言えませんが) 。

動画広告を入れる位置を動画作成者が選ぶのか、それとも Facebook が適切なタイミングで出すアルゴリズムを開発する可能性もあります。テレビ CM では、CM 終了後に番組のシーンが少し前に戻ってから放送されることがあります。同じことが、Facebook 動画でも実現されるかもしれません。


Facebook はユーザー規模よりも 「時間」 の価値を重視へ


2017年1月に発表された動画表示アルゴリズムの変更 (長い動画がこれまでよりもニュースフィード内に出やすくなる) 、動画ミッドロール広告が開始されるのではという2つのニュースから、Facebook の考え方が見えてきます。

Facebook は 「時間」 に価値を見い出すことを鮮明にしたことです。

表示アルゴリズム変更で長い動画が出やすくなることからわかるのは、Facebook はこれからは長い動画を推奨するという方針です。さらに、長い動画内にはミッドロール広告が表示されれば、ユーザーの視聴時間が増えます。その分、ユーザーの Facebook 滞在時間が増えます。

今回の2つのことは、Facebook が成長を目指す方向として、これまでのユーザー数という 「規模の拡大」 から滞在時間という 「エンゲージ」 に軸足を移したことが見て取れます。間口という 「広がり」 から、奥行きという 「深さ」 へのシフトです。

Facebook のビジネスの観点からも、動画表示アルゴリズム変更とミッドロール広告のローンチは一貫性があります。

動画作成者にとっては長い動画をつくる動画が生まれ、ミッドロール広告から収益を上げられる機会が得られます。広告主/広告会社にとっては Facebook ミッドロール広告が出稿先の選択肢になり、長い動画が出やすいことはそれだけ広告が出る可能性も高くなります。

Facebook にとってもミッドロール広告から売上が上がり、長い動画をユーザーが見てくれれば Facebook 全体の滞在時間が長くなり、その分だけユーザーは今まで以上に Facebook を使っていることになります。

動画作成者 (クリエイター) 、広告主/広告会社、Facebook では Win-Win が成立しています。

課題は、ユーザーにとってのメリットがどこまであるかです。ただ単に長い動画が増えるだけ、長い動画の途中に出てくる動画は自分の興味がないものばかりでは、ユーザーは離れていくでしょう。

Facebook 、動画作成者、広告主の3者は、いかにユーザーメリットをつくり、Win が享受できるかです。

最新エントリー

多田 翼 (書いた人)