2017/02/20

商売の基本サイクルでマーケティングリサーチ業務の問題点を洗い出す


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V 字回復の経営 - 2年で会社を変えられますか という本に 「商売の基本サイクル」 が書かれています。


商売の基本サイクルとは


小説のストーリー内に出てくる改革コンセプトです。創る → 作る → 売る のサイクルです。

  • 創る:開発
  • 作る:生産
  • 売る:販売

このサイクルに一貫性を持たせ早く力強くまわし続けることが、改革の中心コンセプトです。小説のストーリーでは、商売の基本サイクルが基本設計となり、事業の戦略と組織の再構築が描かれています。

本書では次の2点が強調されています。

  • 一つひとつの商品で、このサイクルを速くまわさなければ負け戦。いつの間にか、大組織ではこれがまわりにくくなっている
  • 商店主のように全社員が 「商売」 を意識できるか


商売の基本サイクルをマーケティングリサーチに当てはめる


本書 V 字回復の経営 - 2年で会社を変えられますか では、製造業が舞台です。

「商売の基本サイクル」 もメーカーの事業プロセスに沿ったものです。しかし、製造業以外のサービス販売業、情報産業など広く適用できるコンセプトです。

例えば、マーケティングリサーチに商売の基本サイクルを当てはめてみます。

  • 創る:マーケティング目的と課題の把握、リサーチ目的の設定、リサーチ課題と仮説の立案、調査設計をつくる
  • 作る:リサーチの実査 (アンケートやインタビューの実施、データ収集) 、データ集計/分析、考察/インサイト抽出、レポート作成
  • 売る:報告やプレゼン


商売の基本サイクルに見る 「分業の弊害」


商売の基本サイクルについて、小説内で指摘されていたのは、大企業になると分業や組織の細分化が進み、時として部分最適が優先される弊害でした。

営業と製造の意見対立として、「製造部門は顧客が求めていないものを作る」 (売れないのは製造が悪いから) 、「営業部門は勝手に値引きをしたり生産納期を考えないスケジュール見積もりをつくり採算が合わなくなる」 (利益が出ないのは営業が悪いから) が典型です。

マーケティングリサーチでも、創る → 作る → 売るの分業が進むと、同じことが起こり得ます。

「創る」 と 「作る」 を同じ人が担当しておらず、各担当者で意思疎通がされていないと、次のような問題が起こります。リサーチ課題や仮説が適切にアンケートに落とし込まれていなかったり、必要のないデータが収集される、あるいは必要なデータが網羅されていないという状況です。

「作る」 と 「売る」 であれば、リサーチ結果レポートの報告者がリサーチの実査に直接関わっていないと、結果がどういう過程で作られたものかの理解が十分でなくなります。プレゼンでの質問にも適切に答えられないといった弊害が起こります。


商売の基本サイクルが止まってしまう場合


本書では、商売の基本サイクルをいかに速くまわすかがポイントとして挙げられています。

速くまわすためには、創る → 作る → 売るの二つの矢印で、いかにスムーズに受け渡しができるかです。間で止まってしまないようにすることです。

マーケティングリサーチに当てはめてみます。

創る → 作る の間で止まってしまうのは、リサーチ設計をつくり企画を立てたものの、リサーチ実査に移らなかった場合です。つまり、リサーチが企画倒れだったケースです。

作る → 売る の間で止まってしまうのは、リサーチを実施しレポートに結果をまとめたものの、レビューや報告がされず受け手に届かなかった場合です。つまり、リサーチは役に立たなかった、価値を生まなかったケースです。


最後に


今回のエントリーでは、メーカーで使われた商売の基本サイクルをマーケティングリサーチに当てはめました。データ分析や、サービス業にも広く使えるでしょう。

業務プロセスの全体像から、どこに問題があるかを検討するには使いやすいフレームワークです。



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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にて 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝1時間のランニング。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。