2016/01/09

凡人を達人に変えるノムさんの心得:「努力している自分」に満足してはダメ




野村克也氏の「凡人を達人に変える77の心得」という本が、考えさせられることが多く、時折読み返しています。

野村氏は現役引退後、野球評論家を経てヤクルトスワローズ、阪神タイガース、楽天イーグルスの監督を歴任しました。

データを駆使する「ID 野球」、他球団で挫折した選手を復活させる「野村再生工場」などで知られます。

本書では、野村氏がヤクルト / 阪神 / 楽天の三球団で監督を務めていた時に、ミーティングで選手によく話していたことがまとめられています。

当然、野球のことが中心に書かれています。本書が考えさせられるのは、野球でこのように言えることが営業などの一般的な仕事に当てはめるとこうではないか、という野球選手 → ビジネスパーソンと横展開されていることです。

読みながら、自分の状況と照らし合わせながら考えることができます。そのプロセスを踏めることが本書の価値です。

■「テーマのない努力」ほど無駄なものはない

今回読んで印象に残ったことの1つは、正しい努力の仕方でした。

以下は『「テーマのない努力」ほど無駄なものはない』からの引用です。

人より努力をしたのに、結果を出せない人は多い。

たとえば、表面的に見た時、ライバルよりも明らかに努力をしているピッチャーがいたとしよう。彼はいつも、誰よりも早く練習に出て、どのピッチャーよりも多く球を投げている。

それにもかかわらず、ライバルたちに追い越されていく。いつまでたっても結果が伴わない。これは、彼が「練習をたくさんした」というところで満足しているからだ。つまり、「努力による結果」ではなく、「努力そのもの」が目的になっているのである。このような努力はマイナスにはならないだろうが、大きな成長を促す原動力にもならない。

野球選手がすべき努力とは具体的に何か?それは、長時間練習をすることではない。正しい努力は、「練習の過程で成長するヒントを見つける」ことだ。

何百球もの球を投げていると、時に自分でも考えられないような素晴らしい球が投げられることがある。キャッチャーから「今の球はいいぞ、もう一丁!」と言われて、全力で投げても同じような球は投げられない。そして、その場で感覚を忘れてしまう。

もし、ここで立ち止まり「なぜ、あんなに素晴らしい球を投げられたのか」というテーマを追及していけば、このピッチャーは大きく成長する。たまたま投げられた素晴らしい球が、いつでも投げられるようになる。

「凡人を達人に変える77の心得」から引用

努力をしている自分に満足しているようではダメだ、という教えです。大切なのは、努力の過程において何を学ぶかです。

上記の引用の後半で、野球選手における正しい努力の具体例が出ています。

ピッチャーのケースで、自分でも考えられないほど良い球が投げられたとき、どういう姿勢で練習に望むかが、凡人か達人を分けると言います。

立ち止まり「なぜ、あんなに素晴らしい球を投げられたのか」を問えるかどうか。さらに、何を工夫するば今のボールが投げられるかを考えることです。

1回目に素晴らしい球が投げられたのは、もしかしたら偶然なのかもしれません。これを自分の意図を持って再現できるかどうかが、努力の過程で得られた発見です。

■ ノムさんの心得をデータ分析に当てはめる

今回ご紹介した野村氏の心得を、データ分析に当てはめてみます。

自分が行ったデータ分析結果や、分析レポートが評価されたとします。社内でたくさんの人に読まれ、分析結果からの提言が意志決定に寄与できたり、さらには会社の売上や利益増に貢献できました。

野村氏の心得が教えてくれるのは、なぜ自分のデータ分析結果が高い評価を得られたのかを立ち止まって考えてみることの重要性です。たまたま投げられた素晴らしい球が、いつでも投げられるようになるためにはどうすればいいかを、自らに問うのです。

データ分析において重要なのは、課題設定とその課題に対する仮説です。

良い分析ができたのは、課題設定が適切だったのか。うまく課題を設定することができたのは、レポートの読み手である人たちが抱える問題を理解できていたからなのか。

それとも、課題に対する仮説が今までにない切り口だったのか。

分析結果の見せ方がわかりやすく、必ずしも専門的な知識がない人にとっても理解しやすいレポートだったのか。

あるいは、自分の工夫というよりも、データ分析で扱ったテーマ自体に関心が高い状況で、たまたま外部環境にフィットしたことが成功要因だった可能性もあります。

この場合は、うまくいった前提条件として整理し、こういうケースの下では成功する可能性が高くなると学ぶことができます。

データ分析結果に満足でき、社内外からの評価に達成感を得ているだけでは、その時限りの成功に終わってしまいます。

そうではなく、良いデータ分析の再現性を高めるために、今後どうすればいいかを考えろ。これが野村氏の心得からの示唆でした。




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