2017/08/10

書評: LIFE SHIFT (ライフシフト) - 100年時代の人生戦略 (リンダ・グラットン / アンドリュー・スコット / 池村千秋 (訳) )


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LIFE SHIFT (ライフシフト) - 100年時代の人生戦略 という本をご紹介します。



本書の内容


以下は本書の内容紹介からの引用です。

誰もが100年生きうる時代をどう生き抜くか。働き方、学び方、結婚、子育て、人生のすべてが変わる。目前に迫る長寿社会を楽しむバイブル。

世界で活躍するビジネス思想家が示す、新しい人生のビジョン。

みんなが足並みをそろえて教育、勤労、引退という3つのステージを生きた時代は終わった。では、どのように生き方、働き方を変えていくべきか。その一つの答えが本書にある。100歳時代の戦略的人生設計書。


より多様化する寿命100年時代の人生


この本のサブタイトルは 「100年時代の人生戦略」 です。寿命が伸び、100年の人生を送るために何をすればよいかが、本書の全体を通じた問いです。

これまでは、人生は3つのステージに分けることができました。20歳前後までの教育期間、就職し65歳前後で退職するまでの仕事の期間、リタイヤ後の余生を過ごす引退期間です。

しかし、人生100年時代では必ずしも3つのステージではなく、より多様化すると著者は言います。働く期間が伸び (退職年齢が高くなる) 、引退後の時間も長くなります (生きる年月が長くなる) 。多様化する人生とは、例えば、次のような人たちが出現すると本書では言います。

  • エクスプローラー:探求者。仕事など人生の選択肢を狭めずに幅広いキャリアを検討する人
  • インディペンデント・プロデューサー:独立生産者。自由と柔軟性を重んじて小さなビジネスを起こす人
  • ポートフォリオ・ワーカー:様々な仕事や活動を同時並行で携わる人


3つの無形資産


本書で興味深かったのは、「無形資産」 という見えない資産が重要であることです。お金やモノなどの有形の金銭的資産と同じくらい、長い人生を充実させるために無形の資産が大切になります。

この本では無形資産を3つのカテゴリーに分けます。


1. 生産性資産:

  • 仕事で生産性を高め、成功し、所得を増やすために必要な資産
  • 具体的には、スキルや知識、仲間や人脈、他人からの自分の評価や評判 (ブランド)


2. 活力資産:

  • 肉体的・精神的な健康と幸福を実現する資産
  • 具体的には、健康、友人や職場での良い人間関係、パートナーや家族との良好な関係


3. 変身資産:

  • 100年ライフは能動的にも受動的にも自分自身が変わらざるを得ない。自分が変わるために必要な、人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる資産
  • 具体的には、自分についてよく知っていること、多様性に富んだ人的ネットワーク、新しい経験に対してオープンな姿勢


「資産」 と捉えると意識が変わる


無形資産で示されたのは、自分のスキルや知識・人脈・健康でいること・良い人間関係・新しいことや変化に前向きな姿勢などです。

今までもこれらは重要であると思っていましたが、お金などの有形な資産と同様に重要な 「無形資産」 と捉えると認識が変わりました。

目に見えなくても人生を充実させるための資産と捉えると、「投資が必要」 と考えるようになります。有形資産と同じ様に一朝一夕でつくられず、時間をかけ、努力をして無形資産を形成する必要があるのです。

一度保有しても、メンテナンスが必要であり、さらに増やすことも心がけることになります。維持管理を怠れば失ったり、古くなれば使えないものになります。資産としての価値が減り、時にはなくなってしまいます。

具体的には、自分のスキルや知識を増やすためには常に学ぶ姿勢を持つことです。変化の激しい世の中では、一度得た知識でもその後に蓄積や強化をしなければ使えない知識になるでしょう。

健康でいるためには良質な食事や睡眠を続け、適度な運動を習慣にすることが大切です。今は健康でも、健康管理を怠ればいずれは健康ではなくなってしまいます。

友人との人間関係は、昔は良好で強かったとしても、その後の連絡が途絶え、会うことがなくなれば失われてしまいます。家族との関係も、家族だからと言って何もしないのではなく、パートナーや子どもとの関係が良好であり続けるよう心がけ、離れていても自分から連絡を取るなどです。


変身できることは資産である


3つの無形資産の1つである 「変身資産」 を興味深く思いました。

というのは、変わることが是か非かではなく、長い人生では自分の人生ステージなど環境を変える必要があることが、もはや前提になっているからです。変わるための準備を整えておくこと、変化を受け入れるマインドや体勢にすることが、お金などの有形資産と同じように重視されています。

変わることは、新しいことに開かれた姿勢を持つ自分の内側からと、仲間などから刺激を受け自分も変わっていく外側からの両方があります。どちらも変身資産です。

変身できることを資産と捉えることは、変わるために時間や労力をかける投資が必要です。


変化が起こってからではなく起こる前に


この本では、多くの人が100年を生きるであろう時代を見据え、どのような変化が起こり、それにどう対応するかが書かれています。

仕事を引退した老後のお金の問題は切実でしょう。しかし、このエントリーで取り上げたように、お金に直接換算できない無形資産に注目すると、これからは何が重要かが見えます。

大切だと思うのは、変化が起こった後に慌てて対応するのではなく、今から起こるであろう変化を見極めて行動することです。長寿化し長く生きられるようになった期間を、不健康で金銭的にも足りず充実しない期間にするのか、それとも、前向きに捉え無形資産を築き、満ち足りた期間にできるかです。


最後に


本書 「ライフシフト」 の著者であるリンダ・グラットンのもう1つの作品は WORK SHIFT (ワーク・シフト) - 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図 [2025] です。書評のエントリーはこちらです。

書評エントリー:書籍 「ワーク・シフト」 まとめ:孤独と貧困から自由になる主体的な生き方



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