2012/04/14

リアルタイムウェブ中毒だった自分と今の自分




インターネットは、もはやこれ無しでは自分の生活が成り立たないほど、プライベートも仕事でも様々なシーンで使っています。

何かわからないことや調べる時はネットで検索、ニュースもテレビや新聞からではなくツイッターや RSS などの各種サービスから、友達とのコミュニケーションもソーシャルメディアを使います。ネットが当たり前になっています。

ネットは便利です。間違いなく人々の生活を変えました。しかし、2012年の今年になって私自身はネット利用時間を意図的に減らしています。


リアルタイムウェブ中毒


以前は、ツイッターや Google リーダーなどの RSS 、zite などのキュレーションサービス、メール、フェイスブックも含め頻繁に使っていました。電車の待ち時間など隙間時間に iPhone でチェックし、朝起きてまずやっていたのは iPhone の起動でした。家に帰宅した後も常に iPhone が手元にありました。

今思えば中毒状態です。何がそうさせていたかは、「リアルタイムに常に新しい情報に接触していたい」 という欲求があったからでした。

アプリを起動すれば常に最新の情報がありました。

朝起きてツイッターを見ると自分が寝ていた間の特に海外の新着情報がたくさんありました。仕事が終わってからや帰宅後にチェックすれば、その日の出来事や今何が起こっているかの情報がリアルタイムで入ってきました。

情報をまるでシャワーのように浴びていました。 リアルタイムウェブ中毒状態でした。

しかし、ふと思ったことは、本当に自分がやるべきことなのか、本当に必要なことなのかでした。

試しに一日あたりどれくらい時間を使っているのかを測ってみると、思っていた以上の時間になりました。これが一日だけではなく毎日なので、1ヶ月や年間にすると相当な時間に当たります。

意識を変えたことは、無理矢理にでもネット、特にリアルタイムウェブへの接触時間を減らすことです。その代わりに、例えば朝の出勤までは本を読んだり、仕事や勉強したり、夜の帰宅後 iPhone は全く使わないことでした。

結果、リラックスできていることを感じたりなど、自分の生活が変わりました。


ネットが引き起こす注意力散漫な脳


リアルタイムウェブ中毒で考えさせられるのが、ネット・バカ - インターネットがわたしたちの脳にしていること という本に書かれていたことです。



この本の主題は、ネットを当たり前のように使うようなり人間の脳に変化が起こっていること、具体的には脳が注意力散漫になることへの警鐘です。

注意力散漫とは、1つのことに長く集中できないという状態です。頻繁にツイッターを見る、RSS をチェックする、メッセージ受信のアラートで作業を中断しメールを確認するという状況です。この頻度が多いほど、それ以外のことを長くやり続けることが困難になります。

「ネット・バカ」 という邦題にやや違和感はありますが、原題は THE SHALLOWS What the Internet Is Doing to Our Brains です。Shallow は浅瀬という意味で、深い集中ができないことを指していると解釈できます。


著者はネットを遮断する環境に移った


本書に、著者がこの本を執筆するにあたり、あえてネット環境が整っていないコロラド山中に引越した話が書かれています。

携帯電話が通じず、ネット回線スピードが遅い状況に身を置きました。ツイッターのアカウントをキャンセルし、フェイスブックを休止、RSS をシャットダウン、スカイプもほとんどやらずに、メールのチェック頻度も少なくしたそうです。

当初は苦痛どころではないと苦労した様子が伺えました。しかし、新しい環境に慣れるに従い1つのことへの集中力が増し、執筆活動が大いに進んだとのことでした。

このエピソードはなかなか考えされるものです。

山中に引越すことは現実的ではありませんが、ネットに常時接続しているリアルタイムウェブ中毒状況から脱したほうがよいと思ったのは前述の通りです。今思えばリアルタイムウェブ中毒とは注意力散漫な状態そのものでした。

積み上げると結構な時間を費やしていました。その時間全てを浪費したとは思いませんが、リアルタイムウェブと距離を置き、その分の時間が確保できたことは大きいです。


集中と注意力散漫の二兎を追う


とはいえ、ネットを使わない生活に戻ることは非現実的です。

ネットにはメリットとデメリットがあります。リアルタイムウェブ中毒はデメリットと考えましたが、ネット全体で見ればメリットのほうが大きいです。

自分の生活で変えたことは、ネットから意図的に離れる時間をつくることでした。

確かに常に注意力散漫だった状態は変わりました。自分の脳のあるスイッチがオフになったような感じです。

あらためて思うのが、注意力散漫な状態が必ずしもダメかというと、そうでもないことです。

というのは、「ネット・バカ」 での著者の指摘で興味深かったのが、「歴史のほとんどの期間で人間の脳は注意散漫な状態であった」 だったからです。他の動物同様に、不意に敵に襲われたり、近くにある食料を見落とさないようにするため、つまり生存のためです。

もともと脳は1つのことに集中するよりも、注意力散漫な状態のほうが自然なのです。人間社会が発達するにつれて身の安全は保証されるようになり、本などから文字情報を獲得するなど1つのことへの集中力が必要になっていたのでしょう。

注意力散漫な状態をボジティブに捉えれば、思いもよらない斬新な新しいアイデアが生まれることにつながるかもしれません。新しい考えやアイデアはそれを考えている時よりも、別のことを考えていたり行なっていた時に、ふと思いついたりするものです。

ネットとのつきあい方で思うのは、ツイッターなどのリアルタイムウェブのメリットとデメリット、注意力散漫になることへのプラスとマイナスを意識し、なるべくメリットを大きくすることです。

そのためにやっているのが意図的にネットから離れる時間をつくることです。集中と注意力散漫の二兎をあえて追ってみることです。


最後に


今回の内容に関連する過去エントリーはこちらです。

参考:リアルタイムウェブとチェックインの可能性を考える



最新エントリー

多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にてマーケティングリサーチ マネージャー (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝 8km のランニングとピアノ。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。