2011/04/03

Googleは「+1」でソーシャル検索を実現できるのか?

グーグルがアメリカ時間の3月30日に、グーグル検索結果のページで「+1」(プラスワン)ボタンの表示を開始したと発表しました。
+1’s: the right recommendations right when you want them—in your search results | Official Google Blog

+1の表示イメージ

出所:Official Google Blogから引用

今回のエントリーでは、グーグルの「+1」の仕組みと、自分は+1をどう思っているかを中心に書いています。

■「+1」の仕組み

ユーザーが気に入ったページや良いと思った広告を「+1」ボタンで推薦し、友人に対してより良い検索結果、検索連動広告(AdWords)を提供できるというものです。+1の使用イメージは「Google Inside AdWords」ブログでの掲載記事にあった説明イメージがわかりやすいです。(引用:The +1 button & AdWords | Google Inside AdWords

1.グーグルの検索結果に表示される「+1」ボタン


 2.「+1」クリック後 (青くなる)


3.友人の検索結果 (友人Brianが「+1」をクリックしたことがわかる)


ボタンのイメージとしてはFacebookの「いいね!」ボタン、mixiの「mixiチェック」と同じような印象です。グーグルは「+1」ボタンにより、これまでの独自アルゴリズムに基づく検索結果表示とは異なった、自分の友人のおすすめが反映されるというソーシャル検索をリリースしたのです。

今のところ(11年4月3日時点)ではアメリカのみのリリースですが、+1を使用するためにはグーグルアカウントでログインをした状態で検索を行う必要があります。現時点でグーグルが認識するユーザーの友人というのは、グーグルアカウントに関連付けられている友人・知人のようで、GmailあるいはGoogle Talkのチャットリストに登録されている人々、Googleコンタクトに登録されている人々、Google ReaderとGoogle Buzzでフォローしている人々に限定されているとのこと。(参考:Googleが「+1」ボタン発表、Facebookの「いいね!」に似たソーシャル検索|INTERNET Watch

それでは、グーグルの+1は、ソーシャル検索として普及するのでしょうか。個人的には様子見か、やや少し懐疑的に見ています。以下、その理由を3つ書いています。

■理由1:ソーシャルグラフ

ソーシャル検索で重要な要素は自分が持っているソーシャルグラフ、つまり、(ネット上での)人間関係です。既存のグーグルの検索アルゴリズムであれば、誰が検索をしても返ってくる結果は変わりません。自分が知りたい情報が見つかるかは、検索するキーワードの選び方がポイントになります(もちろん、これだけではないですが)。一方のソーシャル検索では、検索キーワードに加え、自分の友人がどういったサイトをおすすめしているかによって、検索結果が異なります。

現在のところ、+1に反映されるソーシャルグラフはGoogleアカウントに限定されています。個人的には、SNSやツイッターのほうが充実しており、今のGoogleアカウントに紐づくソーシャルグラフでは少し物足りないように感じます。ただ、この点はグーグルも取り組んでいくとしており、公式ブログではツイッターなどとも連携を目指すと言っています。ツイッターのソーシャルグラフがグーグルの検索結果に加われば、ソーシャル検索の精度は高まるかもしれません。

■理由2:ユーザーインターフェイス

2つ目の理由は、ユーザーが「+1」ボタンをクリックする時の使いやすさ(ユーザーインターフェイス)に関するものです。+1を自分が使うイメージを具体的に想像してみると、(1)グーグルで何かを検索する ⇒(2)知りたかった情報が掲載されたサイトが見つかる ⇒(3)そのサイトからグーグル検索結果に戻って「+1」ボタンをクリック、となります。

フェイスブックの「いいね!」ボタン(あるいはmixiチェック)と比較すると違いが明らかになりますが、「いいね!」はニュースサイトやHP上に設置されているのに対し、+1は現時点ではグーグルの検索結果ページに設置してあります。故に、上記(3)のように、一回戻って「+1」をクリックする必要があり、これは自分であれば、一回戻るだけとはいえちょっと面倒な流れです。

もっとも、同じくグーグル公式ブログによれば、グーグル検索結果ページ以外にも「+1」ボタンを展開していく姿勢を出しているので、「+1」ボタン設置のブラグインが提供されるのは時間の問題だとは思います。ただ気になるのは、今でも多くのページですでに「つぶやく」「いいね!」「はてブ」・・・などのソーシャル系のボタンが複数設置されていて、さらに「+1」も増えることになる点です。

■理由3:「+1」のユーザーメリット

3つ目の理由は、+1をクリックするユーザーのメリットに関してです。3つの理由のうち、この3つ目が最も気になる点です。では、+1とフェイスブックの「いいね!」とで比較してみます。

「いいね!」ボタンを押すと、フェイスブック上の友人のニュースフィードや自分のウォールに『○○さんがリンクについて「いいね!」と言っています。』と表示されます。自分の「いいね!」情報が友人にリアルタイムで共有ができます。

翻ってグーグルの「+1」ボタン。+1をクリックすると、その結果が反映されるのはグーグルの検索結果ページです。逆に言えば、自分の友人がそのページに含まれるキーワードをグーグルで検索するまでは、自分の「+1」の情報は共有できないのです。

フェイスブックの「いいね!」やツイッターのRTと、グーグルの+1では、そもそもの設計思想が違うように思います。つまり、いいね!やRTは友人同士で共有するためのツール、+1は検索精度を向上させる・検索連動型広告の品質を高めるためのツールです。

フェイスブックの「いいね!」、あるいはツイッターのRTもそうですが、なぜわざわざ自分がこの手間を1つ行うかというと、自分が共感したモノ・コトを簡単に発信して共有したい気持ちからだと思います。これがインセンティブ。しかし、グーグルの「+1」では、共有されるのは友達がグーグルで検索をしたタイミングに限定されるという条件が付きます。なので、今の時点での+1には、「いいね!」やRTほどのユーザーメリットが直観的にはないような気がしました。(長い目で見れば、多くの人が+1を使用すればグーグルの検索精度は全体的に向上するユーザーメリットはあるのですが)

■最強はGoogle+Facebook?

検索にソーシャル性を組み合わせるのは、グーグルにとっては一大プロジェクトだと思います。グーグルの検索結果はアルゴリズムによる機械的なものでしたが、ここにソーシャルというこれまでとは異なる概念が入り込むからです。グーグルという巨人がその歩む方向を変えつつあるようにも感じます。その意味では今後が楽しみです。

自分が信頼のおける人からの情報は有益だと感じてしまうことからも、ソーシャル検索は今後の有望な領域だと思います。実際に、すでにマイクロソフトとフェイスブックはタッグを組み、マイクロソフトの検索サービスBingにフェイスブックの「いいね!」情報を反映させる取り組みを進めています。個人的には、この記事が指摘するように、Google+Facebookと組んでくれるのが、ユーザー側からするとありがたいのですが。
ブラウザー拡張機能「+Like」があればGoogle +1は不要?|Tech Crunch

いずれにせよ、グーグルの+1についてはもう少し様子を見るとともに、今後も注目しておきたいです。


※参考情報

「+1」(プラスワン)|Google
+1’s: the right recommendations right when you want them—in your search results | Official Google Blog
The +1 button & AdWords | Google Inside AdWords
Googleが「+1」ボタン発表、Facebookの「いいね!」に似たソーシャル検索|INTERNET Watch
ブラウザー拡張機能「+Like」があればGoogle +1は不要?|Tech Crunch


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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にて 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝1時間のランニング。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。