2017/04/27

「建築家でもあり大工でもあれ」 。大切にしたいマーケティングリサーチャーの心得


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マーケティングリサーチについてです。リサーチャーとしてどうあるべきかを考えます。

エントリー内容です。

  • リサーチャーの心得
  • マーケティングとマーケティングリサーチの関係
  • より高い視座で捉えられるか


リサーチャーの心得


マーケティングリサーチの論理と技法 (第4版) という本には、マーケティングリサーチの理論と実践が詳しく書かれています。

マーケティングとの位置づけ、リサーチのプロセス、様々な手法、リサーチの応用事例まで、幅広く扱っています。



リサーチャーの心得


この本には、著者が考える 「リサーチャーにとっての心得」 が書かれています。以下にご紹介します。

  • リサーチャーは、建築家であり、大工であるべき。すなわち、広い視野に立つ調査の全体設計者であるとともに、個別作業の技術者でもあるべき
  • 企業内のリサーチャーは、社内の関連部門と随時話し合い、市場や業界の最新問題の把握に注力すること
  • リサーチャーは、優れた調査をするため、少なくとも、マーケティング全般と統計の知識、生活者の視点を持つこと
  • データのファイル屋にならず、意思決定への強力なサポーターになること
  • 技法の選択より、的確な調査目的の決定を先に行なうこと
  • 科学的、論理的なアプローチをすること
  • 社内の関係部門をよく理解し、彼らと協議すること
  • 新手法・新発想の導入に敏感なこと
  • プロジェクトを高品質に維持すること
  • 経費に見合う情報価値の提供を心がけること
  • データの機密保持に徹すること
  •  「最初は一歩を踏み出すだけでよい」 という実験魂を持つこと

心得をまとめると、大きく2つに分けることができます。「調査に直接関係すること」 と 「日頃から実践しておくべきこと」 です。


調査に直接関係する心得


  • 広い視野に立つ調査の全体設計者であるとともに、個別作業の技術者でもあるべき (建築家であり大工でもある)
  • リサーチ目的を明確にしてから調査手法を考える (まずは why から、その後に how)
  • データや事実だけを提供するのではなく、インサイトを提示する。意思決定をサポートする
  • 調査やプロジェクトのクオリティを高める。科学的かつ論理的なアプローチを採用する。データの管理を徹底し、機密を保持する


日頃から実践しておくべきこと


  • 自らの専門性を磨く。マーケティング、統計、新しい発想や調査手法
  • 業界の最新状況をキャッチアップする
  • 生活者の視点でものごとを見る
  • 関係各所とのコミュニケーションを密にし、他部署を理解する
  • まずはやってみるというチャレンジ精神 (最初は一歩を踏み出すだけでよい)


 「建築家でもあり大工でもあれ」


心得の中で最も印象的だったのは、1つ目の心得である 「建築家でもあり大工でもあれ」です。

マーケティングリサーチャーは、業務全体に精通すべきということです。調査の全体設計をつくり、責任を持つとともに、具体的な調査課題や仮説、調査を走らせ、レポーティングについてです。鳥の目と虫の目を持つことです。


マーケティングとマーケティングリサーチの関係


調査の全体設計をつくるためには、マーケティングリサーチの上位にあるマーケティングでの目的や問題を把握する必要があります。というのは、マーケティングリサーチの位置づけは、あくまでマーケティングの問題解決のためにあるべきと考えるからです。

リサーチ目的はマーケティング問題を解決したり、明確な答えに至らないまでも示唆として方向性を示すことです。

マーケティング目的、マーケティング問題、リサーチ目的の具体的なイメージは、例えば以下になります。

  • マーケティング目的:大型リニューアルで減少傾向にある商品の売上を増加に転じたい
  • マーケティング問題:大型リニューアルの戦略や施策を決める必要情報が不足。具体的には、リニューアルで狙う新規ユーザーのニーズが不明
  • リサーチ目的:新規ユーザーを取り込むために対象者のニーズを調査し、マーケティングの意思決定に貢献する (マーケティング課題を解決する)

マーケティングとマーケティングリサーチの関係で大切なのは、これら3つの一貫性です。リサーチ目的がマーケティングの問題を解決するか、マーケティング問題の解決がマーケティング目的達成につながるかです。


より高い視座で捉えられるか


マーケティングリサーチャーの心得として建築家のたとえに戻ると、家を建てるための全体設計図が頭に入っているだけではありません。完成された家に住むであろう人が、どのように家を使うかまでイメージできているかです。

暮らしぶりまで頭に描き、建てる家がお客の日常生活を充実させることまで目指しているかです。そのような建築家であれという心得です。

マーケティングリサーチの直接の責任範囲は家を建てるまでですが、建てた家がどう貢献できるかまで視野に入っているかどうかです。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。