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Google が、ディスプレイ広告の運用自動化ツール 「Smart display campaigns」 の提供開始を発表しました (2017年4月20日) 。
Smart display campaigns とは
Smart display campaigns は、ネット広告運用の自動化です。人が予算の条件を設定し、ディスプレイ広告用の材料 (ロゴ等) を用意するだけで、後は機械学習から広告の設定と運用を勝手にまわしてくれます。
ローンチの発表詳細はこちらです。
Introducing Smart display campaigns | Google Inside AdWords
Smart display campaigns の対象は Google display network (GDN) の広告枠に配信するディスプレイ広告です。AdWords アカウントを持っている広告主や広告会社は、特に追加料金がなく使えるようになりました。
AdWords のヘルプページ によれば、Smart display campaings がやってくれることは3つです。
- 入札 (automated bidding):ターゲット CPA (1件のコンバージョンを獲得するのにかかる広告コスト (成果単価) ) をもとに、入札単価を最適化する
- ターゲティング設定 (automated targeting):広告効果のあるユーザーの条件を見極め、ターゲットユーザーを最適化する
- 広告クリエイティブ作成 (automated ad creation): 与えられた広告文・ロゴ・画像などからディスプレイ広告を作成する
運用担当者である人間がやることは、ターゲット CPA や日予算などの予算条件の設定と、ディスプレイ広告クリエイティブ作成のための材料を用意することです。これ以外の運用を Smart display campaigns に任せることができます。
キャンペーン自動化の効果
Smart display campaigns を発表した Google Inside AdWords の記事によれば、効果は次のように説明されています。
他のディスプレイ広告キャンペーンと比べ、Smart display campaigns を使ったキャンペーンでは、同じ CPA でコンバージョン数が 20% 増加しました (Google 調べ。以下も同じ) 。同じコストで、成果件数が増えたようです。
ホテル情報を提供する trivago が Smart display campaigns を使ったキャンペーンでは、25,000 の広告クリエイティブが自動で作成され、成果は他の同様のキャンペーンに比べコンバージョン数が 36% 増加したそうです (CPA は同等) 。
Smart display campaigns の価値
Smart display campaigns の特徴を整理すると、次のようになります。
- 人がやるには煩雑なディスプレイ広告の運用を代行してくれる
- 機械学習から、人がやるよりも広告効果が高い運用ができる
- 機械なので毎日24時間、休み無しに対応できる
Smart display campaigns の価値は、人がやることを代行し、さらに高いパフォーマンスを出してくれることです。人と同じ成果を出すのを機械が自動でやってくれるだけでも意味はありますが、人にはできない入札調整、効果があるユーザー条件を見つけ出し、より魅力的な広告クリエイティブを人間には短期間でできない量を作成することができます。
それだけではありません。人が必ずしもやる必要がないもの Smart display campaigns に任せられるので、その分、人は別のことをやれるようになる価値があります。
オークション方式のオンライン広告の魅力は、広告キャンペーンが開始された後も、成果状況を見てリアルタイムに運用設定の対応ができることです。テレビ CM などの開始されればやることは終わりというマス広告に比べ、オンライン広告では現在進行で最適化できます。
しかし、最適化の技術や方法は進化する一方で、人の能力は追いついていないのが現実でしょう。少なくとも最大限に活かしきれていません。Smart display campaigns による自動最適化で、他の運用よりも効果が挙げられたのは、人間ではできることが限られていることを示しています。
人がやらなくても機械が勝手にやってくれ、かつ人よりも高いパフォーマンスができることはポジティブなニュースです。ただし、その裏側として人がやってきた仕事が、機械にまた1つ取って代わられたという面もあります。これを脅威と見るか機会と見るかです。