今回はマーケティングです。
✓ この記事でわかること
- キットカットの成功事例
- 抽象化すると 「意味のマーケティング」
- 価値イメージで独自化する方法
キットカットの事例から 「意味のマーケティング」 をご紹介します。
マーケティングの役割の1つが、顧客からの商品・サービスの認識や価値イメージを変えることです。キットカットがまさにだと思い解説します。
キットカットの成功事例
キットカットはもともとはチョコレート菓子でしたが、「きっと勝つと」 という九州の方言から始まり、今では受験生のお守りにもなっている商品です。
最初は九州の人々の間でメーカーの意図しない意味合いが生まれました。その後にメーカーであるネスレがマーケティングに取り入れ全国に広がりました。
マーケティングの文脈で捉えると、消費者がキットカットを選ぶ理由でチョコレート菓子としてだけではなく、受験合格のアイテム (お守りや応援グッズ) としての意味合いも加わったのです。
意味のマーケティング
キットカットの成功事例を抽象化すると 「意味のマーケティング」 です。
この表現は、「意味のイノベーション (Innovation of meaning) 」 からです。技術的な革新はなくても、意味合いに新しいものができることです。
意味のイノベーションの事例でよく使われるのはロウソクです。かつてロウソクは部屋などの空間を明るくするためでした。やがて電灯に取って代わられましたが、ロウソクは今現在も使われています。ロウソクの暗さや炎からの安らぎで空間の雰囲気をつくり出すためのものになりました。
ロウソクの使われ方が変わり、人々のロウソクへの認識や価値イメージという意味が変わったのです。
キットカットに話を戻すと、キットカットの例を 「意味のマーケティング」 と表現したのはこうした文脈からです。キットカットの価値イメージが 「受験の合格アイテム」 、つまり持っておけば合格のお守りになるという意味が新しく生まれたのです。
認識の分解
意味のマーケティングでは、そのもの自体は変わっていません。あくまで生活者 (消費者) の捉え方や認識が変わっただけです。
認識についての解像度を高めると、
✓ 認識の分解
- 価値イメージ (自分にとってこういう嬉しさがある)
- ストーリー (価値イメージにつながる背後のストーリー)
- 他にはない独自性 (希少性がある)
価値イメージからの独自化
意味のマーケティングから言えることは、独自化 (差別化) のアプローチは機能やデザインだけではないことです。
顧客からの認識やイメージから独自化はできます。ポイントは2つあります。
✓ 価値イメージからの独自化
- 違いに顧客は気づける
- その認識は顧客にとってうれしいなど価値がある
キットカットには 「きっと勝つ」 という合格アイテムの根拠があるから、人々は新しい意味が理解でき認識しました。
2つ目のポイントで、受験生やその親にとって志望校に合格することは人生を左右する関心事項です。受験への不安をやわらげてくれ、その願いを 「きっと勝つ」 と応援されている感があるから、キットカットは価値イメージで独自化されたのです。
まとめ
今回はマーケティングについてでした。
最後にまとめです。
キットカットの成功事例
- 消費者のキットカットを選ぶ理由がチョコレート菓子としてだけではなく、受験合格のアイテム (お守りや応援グッズ) としての意味合いも加わった
- キットカットの成功事例を抽象化すると 「意味のマーケティング」
価値イメージの独自化
- 独自化 (差別化) のアプローチは機能やデザインだけではない。顧客からの認識やイメージから独自化はできる
- ポイントは2つで、① 違いに顧客は気づける、② その認識は顧客にとってうれしいなど価値があること
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