2013/05/26

ネット広告の今後の課題:広告本来の目的を実現するために

インターネット広告の何が画期的だったかを知るには、従来のマス広告と比べてみるとよくわかります。

■ネット広告とマス広告

ネット広告では広告媒体がネット上であるため、広告スペースはほぼ無限にあると言えます。従来のマス広告ではテレビや新聞/雑誌などと広告を出せる枠は有限です。

広告媒体がネット上にあるということは、広告の測定もできるようになりました。どれくらい広告が表示されたのかのインプレッション、クリック数、コンバージョン。広告の課金体系も実際にクリックに応じてが主流に。従来マス広告では広告を出稿した分の課金でした。

ネット広告のもう1つの特徴が、ターゲティングができること。マス広告に比べてより精緻に広告を見せる消費者を絞り込めます。課金体系が変わり、より細かなターゲティングができるようになった結果、広告主にとっては広告の費用対効果がある程度はわかるようになり、自分たちの予算に応じて少額からの広告出稿が可能になりました。

■過度なクリックフォーカスの弊害

ネット広告は、広告がクリックされたかどうかが測定できる、課金(広告費の支払い)もクリックで決まる仕組み。これ自体は画期的だったわけですが、一方でクリック→コンバージョンにフォーカスしすぎた弊害もあると思っています。

広告の本来の目的は、消費者に広告接触で態度変容が起こり、最終的には購買までつながることです。広告を見たことで「この商品が気になる」「買ってもいいかも」などの態度変容が発生し、「買った」までに至らせること。

重要だと考えているのが、「態度変容が発生した人がクリックをしたのか」それとも「単にクリックに抵抗のない人がクリックしただけなのではないか」の違いは大きいということです。

前者であれば、クリックした人=意図した態度変容が起こった消費者=買ってくれるお客になる可能性が高い、となるので、クリックした人にフォーカスするのは正しいです。広告主にとって広告を出した意味があるわけです。広告費が見込み客獲得につながっています。

一方で、後者の「単にクリックに抵抗のない人がクリックしただけ」。クリックした人は必ずしも狙った態度変容が起こった消費者ではありません。広告費はクリックに応じて課金なので、無駄なコストが発生したことになります。

もう少し踏み込んで考えると、クリックした人が見込み客では必ずしもないし、クリックしない人でも中には見込み客はいる可能性も大いにあるわけです。クリックと見込み客は一致しないのでは、ということ。

仮の数字としてクリック率(CTR:広告クリック回数を広告表示回数で割ったもの)を1%と置いたとき、100人中クリックする人は1人、残り99人はクリックしない人です。でも、自分たちのお客にある消費者は残りの99人の中にもいる可能性は高いはずです。ネット広告においてクリックにフォーカスしすぎるということは、100人中の1人にばかり注目し、残りの大多数の99人を見落とすことになりかねません。

■ネット広告の今度の課題

ネット広告の今後の課題を考えてみます。広告の目的は「広告接触した消費者に態度変容が起こり、最終的には購買までつなげること」。この本来のあるべき姿がネット広告でできるためには、
  • relevant:適切な人に・適切な場所で・適切なタイミングで広告に接触してもらう仕組みをいかにつくれるか。同じ広告でも人により有効かどうかは異なるし、同じ人でもその時々で広告情報の有用性は違う。広告を自分事化してもらえるか、「この広告(情報)は自分に関係する」と思ってもらえるか
  • 広告クリエイティビティ:relevantが実現できても、広告自体が魅力のある内容/情報でなければ広告の目的は達成できない。広告を使ったコミュニケーションも含めていかにクリエイティビティの高い広告を実現するか
  • 課金体系:現在主流のクリックごとで課金が本当に望ましいのか。クリックという行為が必ずしも広告の目的を果たしているわけではない可能性もあり(上記考察)、広告本来の目的を達成した時に課金される仕組みが望ましい。広告主にとっても広告費用が意味のある投資となる
  • 広告効果測定:広告費というコストが妥当なのかどうかを知る広告効果測定も、進化する必要がある。クリックを中心にした効果測定ではなく、広告接触により態度変容が起こったのか、最終的な購買につながったのか。広告投資がどういう価値につながったのかをファクトや数字で測定できることが重要

日本では、ネット広告は新聞広告を抜き、TVに次ぐ規模です。ネット広告市場の拡大も今後も続いていくでしょう。プランニング→広告作成→入稿→広告配信→運用/効果測定→次のプランへ、という各サイクルでも課題/改善はあり、表示させるデバイスもスマホ/タブレットと多様化する。いろんな技術や仕組みがこれからも出てくるはずです。

変化の激しいネット広告の世界ですが、オンラインやデジタルの世界であっても、広告本来の目的である「広告接触した消費者に態度変容が起こり、最終的には購買までつなげること」が実現できることなのかという視点は、見失わないようにしたいと思っています。木を見る/勉強することも必要で、かつ森を見失わないようにしたい。


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