投稿日 2012/11/03

ロジカルシンキングを鍛える一石二鳥のメール術


相手に理解してもらうために


相手に何かを伝える場合、当たり前ですが重要なのは伝えたいことを相手にどれだけ理解してもらえるかでしょう。

特に仕事では、自分の考えや提案を同僚や上司にまずは理解してもらえるかどうかです。理解してもらって、ようやくその考えが妥当なのか、提案方針で進めるかどうかの判断ができます。

相手に理解してもらうというのは2つあります。正確な理解と、いかに早く理解してもらえるかです。そのためには伝える内容が論理的かどうかが大切なポイントです。ロジカルシンキングができているかどうかです。


ロジカルシンキングとは


では、ロジカルシンキングとは何でしょうか。一言で表現すると、ピラミッドをつくることです。この場合のピラミッドは二次元で、縦と横が構成要素です。


ロジカルシンキング (ピラミッド構成)
  • 縦: 例えば結論と根拠。A である、なぜなら B だからという関係
  • 横: 根拠が複数ある場合に、根拠 1、根拠 2、根拠 3 、… と並ぶ


図にすると以下のイメージです。




どんなピラミッドをつくるか、ピラミッドの縦と横をきっちりとつくれるかです。これがロジカルシンキングに求められ、論理的な考え方や文章はきれいなピラミッドができています。


論理的かどうかを判断するのは受け手である


では、ロジカルシンキングから構成されたものが論理的かどうかは、どのように決まるのでしょうか。

先に結論を書くと、論理的かどうかを判断するのは受け手です。いくら自分が論理的と思っていても、相手にとってそうでなければ、それは論理的ではないのです。

ここから言えるのは、伝える内容や伝え方は相手次第で変わるということです。

背景や状況を共有できていない相手であれば、細かいピラミッドで説明する必要があります。前提や知識レベルが同じであれば、粗いピラミッドでも十分伝わります。

大切なのは、相手を誰に設定するか、その相手への理解度です。


相手が論理的だと思わない2つのパターン


自分には論理的につながっていたとしても、相手にとって論理的ではないパターンは2つです。


論理的ではない状態
  • 本当にそうなのか (そうとは思えない)
  • 本当にそれだけなのか (他にもあると思える)


1つ目の 「本当にそうなのか」 は、縦の論理が相手には伝わっていない状態です。2つ目の 「本当にそれだけなのか」 は、横の論理が伝わっていません。

伝わっていない、というのは2つあります。1つは自分には当たり前のことなので省略しているケース、もう1つは自分でもしっかり考えていなくて抜けているケースです。


ロジカルシンキングを鍛えるメールの工夫


ではどうすればよいのでしょうか。

受け手である相手のことを徹底的に考えるしかないようでしょう。相手の立場で考えること、相手の置かれている状況や立場はどうか、背景や知識などの情報レベルは同じかです。

自分がその人だったらこれをどう思うかです。相手視点という意識を持って考えるだけでも違ってくるでしょう。

身近なトレーニング方法は、仕事で出すメールです。メールは日常的に使うツールですが、論理的思考を鍛えるチャンスです。

メールを書く時にピラミッドを意識する、相手の視点で考える、書いたメールを読み返すなどの工夫で、相手に伝わるメールになり、自分のロジカルシンキングも鍛えられます。

以下は、メールを書く時にロジカルシンキングを意識できるポイントです。


メールを出す目的は明確か?


意外に見落としがちなのですが、そもそもなぜメールを出すのかという目的を明確にするのが1つ目のステップ。

単に報告等の情報共有だけのためなのか、わからないことを聞く質問のため、相談したいのか、何かを依頼するメールなのか。

こちらの意図に対して相手に何を望むのかも大事。読むだけでよいのか、返答が欲しいのか、それとも依頼したアクションを起こしてほしいのか。メール出す目的は、こちらの意図 × 相手の行動の2つで考えるとよい。


メール内容をピラミッドで考える


メールの構成は、一番上に最も伝えたいキーとなるメッセージ、その下に根拠や依頼したいことの具体的な内容が続く。キーメッセージと根拠という縦の論理と、複数の根拠が漏れなく並んでいるという横の論理。

メールを書く前に頭の中でピラミッドを組み立ててみるだけでも、書きあがるメール内容は洗練され、わかりやすいメールになる。


相手視点で件名を書く


相手の立場に立ったメールをつくるために、工夫できることは色々ある。メールの受け手側にとってはメールを受信したら何をするかというと、送信者と件名を見て、そのメールを読むべきかどうか、読む場合は今すぐか・後でいいのかを判断する。

ピラミッドで考えた一番上にあるキーメッセージの要約が望ましい。相手に何をしてほしいかがわかる件名がよい。共有なのか、依頼なのか、相談なのかが件名からわかること。パッと見た時の件名のわかりやすさも大事。


相手視点でメールを書く


メールで目的がはっきり書かれ、ピラミッドがもとになった文章構成や件名になっていること。

受け手側が何をいつまでにしなければいけないのかも書いておく。依頼する場合は今週中に結果を報告してほしい、自分の質問に対して明日までに回答が欲しいなど。受け手側の 具体的なアクションが書かれていると、読む側にこちらが伝えたいことが理解してもらいやすくなる。

以上のことを意識して実践してみるだけでも、メールも見違えるような上達が期待できます。自分のロジカルシンキングが鍛えられるだけではなく、仕事もより円滑に進むようにもなる一石二鳥です。メールの書き方を工夫してみて損はありません。


まとめ


最後に今回のまとめです。

  • 自分が伝えたいことを相手に理解してもらうためには、ロジカルシンキングが重要。ロジカルシンキングとはピラミッドで縦と横の論理構成ができているか
  • 論理的か否かは相手が判断することである
  • 日々のメールはロジカルシンキングを鍛える良いツール。相手視点でいかにメールを書けるかで、ロジカルシンキングが上達するだけではなく、仕事も円滑に進むように


最後に


関連本を2冊です。ロジカルシンキングについて実践法がわかりやすく書かれています。




この本のもとになっているのが、ロジカルシンキングで世界的なベストセラーであるこちらです。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。