
会議は、プロジェクトを前に進めるために欠かせないものであり、プロジェクトの成否のカギを握ると言っても言い過ぎではないです。
会議というのは、関係者で集まり何か特定の話題について話し合う場です。直接に顔を合わせることでメールや電話ではできないようなコミュニケーションが可能になります。
情報の共有、議論・アイデア出し、何かを決める、など、会議をうまく使うことができればプロジェクトはスムーズに進みます。しかし、有効に活用できなければ、会議の時間をムダにしただけではなく、プロジェクトの進捗自体にも影響しかねません。
今回のエントリーでは、会議について大切だと思っていることを書いておきます。
■ その会議はコストをかける価値を生み出しているか?
会議を考えるにあたり、前提として持っておきたい認識が2つあります。
- 会議へのコスト意識
- その会議は価値を生み出しているか
会議はお金がかかります。一見すると、関係者で集まっているだけなのでコスト意識は持ちにくいのですが、人件費で会議を計算すると実は結構のコストになっていることに気づきます。
例えば、10人が集まる1時間の会議の場合、出席者の人件費時間単価を5,000円とすると、5,000円 × 10人 × 1時間 = 50,000円 となります。もしこれが毎週実施の定例会のようなものだとすると、1年を50週と単純化すれば年間コストは250万円。
もちろん会議にかぎらず、仕事で人が時間を使うということは人件コストが発生しています。問われるのはそれだけのコストを使った意味があるのかということ。
ここも数字でイメージしてみます。例えば、ある会社の年間売上が500億円、(原価と人件費などの販管費を引いた)営業利益が50億円だとします。この「売上500億、営業利益50億」が何を意味するかというと、1の利益を上げるためには10倍の売上が必要ということです。
コストについて考えると、この会社では1のコストに対して10の売上が見込めるのであれば、そのコストは費用対効果がプラスになるということです。さきほどの1回の会議で5万円のコストの例では、「この会議は50万円の売上につながる価値を生み出しているのか?」という意識が大切です
「会議のコスト意識」と「会議が価値を生み出しているか」の感覚を持つことは大事にしたいです。結論が出ない会議、なんとなく集まっている会議、そもそもやる必要性を感じない会議、これらはコストをかけているだけで会社の利益を圧迫しているのですから。
■ プロジェクトを前に1歩進めるために会議がある
だからこそ意識したいのが、会議はコストがかかるのでやらないほうがまし、と考えるのではなく、会議をいかに有効活用できるかです。
会議はゼロにすることはできないし、プロジェクトにおいてはうまく使えばこれほど便利なツールはないと思っています。先にも書いたようにプロジェクトがうまくいくかどうかの成功要因の1つは間違いなく会議です。
会議というのは、プロジェクトを1歩前に進めることだと考えています。会議で何かしらの成果を出すことでプロジェクトゴールに向かって1つ歩みを進めたというイメージです。
会議の成果とは、問題点の抽出・課題設定、アクションプランの合意、意思決定、など。会議で成果を出すことでプロジェクトが「次」につながるのです。
■「会議設計」という考え方
意味のある会議にするためにはどうすればよいか?私自身がこだわっているのは、会議の前後、つまり会議の準備と会議後のフォローです。ここで工夫の余地が多いです。
会議の準備とは、「会議設計」をいかに考えるかです。会議というプロセスをどうデザインするかです。
会議設計の要素としては3つです。
- Why:会議の位置づけ。なぜその会議をやるのかの目的をまず明確にする。目的なき会議はやらないほうがマシなので。目的が決まれば、その会議での成果イメージを考える。獲得目標は何か、その会議が終わった時にどんな状態になっていることが望ましいのか
- What:会議の議題と論点設定。↑のMTG位置づけから、その会議で何を話すのか。話し合うテーマを議題として整理し、各議題に対して論点を洗い出す。各論点についてその会議でどこまで話すかのゴールイメージを考える。議題例として適切なのは「~について合意する」であり、「~について検討する」ではゴールイメージがぶれてしまう(会議後にゴールが達成したかどうかが判断しにくい)
- How:以上の会議をするには、誰に出席してもらえばよいか、どんな会議形態がよいのかを考える。本当に必要な出席者の洗い出す。会議形態は情報共有の場なのか、ディスカッションを中心に問題抽出・課題設定をするのか、合意をきっちりと取るのか
会議設計ができれば、出席者に事前情報を伝えます。
会議の目的や議題とともに、あれば会議資料も事前に見てもらいます。会議で発表してほしいことをタスクで依頼するなどです。定例会のような会議であれば、前回の議事録の確認や前回会議で確認したアクション・タスクのその後の進捗も確認しておきます。
有用な会議にできるかは準備が本当に大切。会議は「準備が8割」と言ってもいいくらいです。
■「議事録」は会議の成果物
準備とともに工夫の余地が大きいのが会議後のフォローです。具体的には議事録の作成とその後の進捗を見ておくことです。
その会議は価値を生み出したかを目に見える形にしたのが議事録です。会議の成果物にあたります。議事録の中に、会議で確認したこと・ToDo などが書かれているかどうかです。その会議が意味のあるものだったかがわかります。
議事録作成ルールはシンプルでよく、次の3つが明確になっているかです。
- 決定/確認事項:会議で何を決めたのか
- 継続案件:決まらなかったこと、次回に持ち越した内容
- ToDo:何を・誰が・いつまでに
会議によっては、各メンバーの発言や議論内容があるのが議事録に書かれているのが望ましいです。
議事録で会議の成果を見える化し、関係者と共有します。議事録には ToDo もあるのでアクションリストとしても使い、会議後のタスクの進捗フォローも行ないます。議事録を効果的に使えば、会議は価値のあるものにできます。
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会議とは、見方を変えると、出席者の「時間をもらうもの」です。
いただいた時間をいかに有効に使えるかです。そのために会議設計などの準備を徹底し、使わせてもらった時間のお礼として議事録を作り共有します。議事録を作って終わりではなく、実際に議事録に書かれていることができているかのフォローします。
今回のエントリー内容を以下で整理していますが、まずは会議への意識を変えるところからでも違ってきます。
- 「会議のコスト意識」と「会議が価値を生み出しているか」の感覚を持つことが大事。費用対効果の観点を忘れずに
- 会議は準備が8割。「会議設計」をどれだけ作れるか。①会議の目的・獲得目標、②議題と論点の設定、③出席者選定と会議形態。事前に会議設計情報を関係者に共有し、資料も配布しておく
- 会議の目に見える成果物が議事録。議事録に書くのは、①決定・確認事項、②持ち越しの継続内容、③ToDo(誰が・何を・いつまでに)。議事録は作って終わりではなく実際にできているかをフォロー