投稿日 2013/03/20

Google のビジネスモデルとイノベーティブであり続ける魅力




ビジネスモデルを見極めるポイント


ビジネスモデルを考える上で大切な要素は 「誰が顧客なのか?」 を把握することです。そのビジネスモデルで誰にどんな価値を提供するのかです。

もう1つはお金の流れです。基本は顧客に提供する価値への対価としてお金を支払ってもらうことですが、全ての顧客からお金をもらわなくてもビジネスモデルは成り立ちます。どの顧客からお金をもらって、どの顧客からはお金をもらわないのかです。

誰が顧客なのか、どんな価値を提供するのか、お金の流れはどうなっているのか。この3つを考えつつ、以下の2つが成り立っているかどうかがうまいビジネスモデルを見極めるポイントです。

  • エンドユーザーや顧客に、既存のモデルより高い価値/低いコストが提供される
  • ビジネスモデルの関係プレイヤー全員に Win-Win が成立する


Google のビジネスモデル


Google のビジネスモデルで考えてみます。Google は大きく3つの顧客を持っています。① Google ユーザー、② 広告主、③ コンテンツ製作者。① Google ユーザーとは Google 検索だったりの Google サービスを使う一般ユーザーのことです。

この3つの顧客に Google は何を提供しているかと言うと、

  • Google ユーザーへの提供価値:検索サービスや、Gmail、Google Map、等々の便利なサービスを提供。全て無料で使える
  • 広告主への提供価値:AdWords のテキスト表示形式だけではなく、バナー広告や YouTube での動画広告など、各種のターゲティング広告。広告主は自分たちのことを知ってほしいターゲットに対して広告を表示できる価値
  • コンテンツ製作者への提供価値:コンテンツの収益化に寄与。自分のサイトやブログに AdSense を導入することで広告を表示し、成果に連動して Google からお金が支払われる

ビジネスモデルを考える時にカギになるのが、お金の流れです。誰から誰にお金が渡り、何に対して支払われるのかを見るのです。

Google のビジネスモデルの特徴としては、3つの顧客に対して、お金をもらう顧客ともらわない顧客を明確に分けている点です。

  • 広告主からはお金をもらう
  • Google ユーザーへは無料でサービスを提供
  • コンテンツ製作者へはお金を支払う (広告主からの収入の一部を渡す)

お金の流れをまとめると、Google は広告主からの収益があるから、Google や検索サービスなどをユーザーに無料に提供でき、コンテンツ製作者にはお金を支払うことができるのです。

相乗効果もあって、Google ユーザーが増えるほど、広告媒体としての Google の価値は上がります。広告主やコンテンツ製作者にはそれが Google への魅力を高めます。

こうした好循環がグーグルのビジネスモデルの特徴です。3つの顧客は上記の提供価値を享受でき、結果、Win-Win が成り立っています。これが Google のプラットフォームとしての強みです。


Google の魅力:Think innovative


グーグルのビジネスモデルはうまく成り立っていると思います。ただし、グーグルの魅力はそれだけではなくイノベーティブであり続けようというスタンスです。

最近の例で言うと、これまでになかったものを出そうとしているのが Google Glass です。ウェアラブルコンピュターの具体化であり、すでにプロトタイプとして実物ができています。早ければ2013年中にも発売されるのではとの噂もあります。

Google Glass でどんなことができそうかのイメージが、YouTube にありました。


Discover the Future of Frozen Foods | Marie Callender's and Healthy Choice|YouTube

Google Glass はスマホやタブレットが主体である現在のモバイル世界の一歩先をいくものです。

スマホは大きさや重さも持ち歩くには問題はないですが、使うためには操作が必要です。ロック解除をし、画面をタップやスクロール、タッチスクリーン上で文字入力など、指を使った操作です。

フィーチャーフォンよりも直感的な操作ができるようになったとはいえ、まだまだ各種操作が残っていて、スマホ利用シーンによってはめんどくさかったりします (満員電車ではスマホと言えども使いにくい) 。

これがメガネタイプの Google Glass であれば、今の操作から解放されることが期待できます。今は音声入力がメインだと思いますが、技術が進歩すれば目の動きで操作できるようになるはずです。視線、まばたき、等の目の瞳やまぶたの動きと連動してコンピューターが動きます。

こういう未来に対して、Google は本気で実現しようと取り組んでいるところから、彼らがイノベーティブであり続けたいと思っていると感じます。

Google の強みは、こうしたイノベーティブな気概を持っているのと、それを支えるビジネスモデルです。

別の言い方をすれば、プラットフォームがあり、顧客がいて、安定的な収益がもたらされている。稼いだお金をイノベーティブな取り組み投資ができるのです。いくらイノベーティブなことをやりたいと思っていても、それができるだけの開発投資がなければ机上の話です。

変化の早い世界なので、Google のビジネスモデルといえども、未来永劫で保証されているわけではありません。革新的なことを取り組み続けられるか、それを支えるだけのお金が得られるビジネスモデルを持っておけるのか。Google ユーザーの1人として注目しています。


※ 参考情報
Google Glass - Home
注目している Google Now から考える Google の描く未来|思考の整理日記



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。