
Free Image on Pixabay
マーケティングリサーチとマーケティングについてです。両者の比較から、リサーチャーはどうあるべきかを考えます。
エントリー内容です。
- 本書の概要
- 「マーケティングリサーチャー」 と 「マーケター」 のスタンスの違い
- リサーチとマーケティングの一貫性。マーケターの視点を持つリサーチャーに
本書の概要
マーケティングリサーチの論理と技法 (第4版) という本には、マーケティングリサーチ全般についての理論と実践が詳しく書かれています。
具体的には、マーケティングとの位置づけ、リサーチの各プロセス、様々な手法、リサーチの応用事例です。
「マーケティングリサーチャー」 と 「マーケター」 のスタンスの違い
書かれていたことで興味深かったのは、著者が考えるマーケティングリサーチャーとマーケターのスタンスの違いでした。
以下にご紹介します。左側がリサーチャー、右側がマーケターです。
- リサーチャー ↔ マーケター
- 事実を重視 ↔ アイデアを創出
- 過去・現在を調べる ↔ 未来を展望する
- 理性的アプローチ ↔ 情熱的アプローチ
- 情報を報告 ↔ 情報を解釈
- 客観的に見つめる ↔ 主観的に眺める
- データを重視 ↔ インサイトを重視
- 新しい事実・情報を知る喜び ↔ 事実・情報を戦略に活かす喜び
リサーチとマーケティングの一貫性
リサーチャーとマーケターでスタンスの違いを見て思ったのは、両者の立ち位置の違いが、マーケティングリサーチとマーケティングの関係に基いていることでした。
マーケティングリサーチとマーケティングの関係は、リサーチはあくまでマーケティングの問題解決のためにあるべきです。
リサーチの役割は、マーケティングが抱える問題の解決、あるいは解決のための示唆になる方向性を示すことです。リサーチが、マーケティング目的を達成するために貢献できるかです。
マーケティング目的、マーケティング問題、リサーチ目的の具体的なイメージは、例えば以下です。
- マーケティング目的:大型リニューアルで減少傾向にある商品の売上を増加に転じたい
- マーケティング問題:大型リニューアルの戦略や施策を決める必要情報が不足。具体的には、リニューアルで狙う新規ユーザーのニーズが不明
- リサーチ目的:新規ユーザーを取り込むために対象者のニーズを調査し、マーケティングの意思決定に貢献する (マーケティング問題を解決する)
マーケティングとマーケティングリサーチの関係で大切なのは、これら3つの一貫性です。上記3つで、下から上につながっていることが大事です。
リサーチ目的がマーケティング問題を解決するか、マーケティング問題の解決がマーケティング目的達成につながるかです。
マーケターの視点を持つリサーチャーに
リサーチャーとマーケターのスタンスの違いに話を戻すと、リサーチャーは調査からのデータや事実という客観性を重視します。それを受けたマーケターは、情報をどう解釈するか、インサイトは何か、どんなアイデアを生み出すか、などの未来を展望します。
自分の立場がリサーチャーの場合、リサーチャーとしての理想は、リサーチャーのスタンスをベースとしつつ、マーケティングリサーチャーであるからには、マーケターの姿勢も持っておくことです。リサーチャーの役割を全うしながら、時にはマーケターの役目も担うのです。
リサーチャーとマーケターの役割を行ったり来たりしながら、今の自分はどちらのスタンスで考えているか、どちらの視点で見ているかです。
例えば、リサーチャーが調査レポートを書く場合です。まずはリサーチャーのスタンスで、事実をベースに客観性を重視する内容で作成します。その後にファクトから、考察やインサイト、マーケティングへの提言を書く段階では、マーケターのスタンスになります。
この役割を意識して使い分けることが大切です。