2017/07/31

マーケティングで 「強み」 を聞くための質問はこれだ!


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革新的な会社の質問力 という本に、マーケティングでの 「強み」 を聞く質問が紹介されています。


マーケティングで強みを聞く質問


該当箇所を引用します。なお、この本では質問のことを 「しつもん」 と表現しています。以下の引用した本文でも、あえて平仮名で表記されています。

「同業他社が数多くある中で、どうして私たちを選んでくださったのですか?」

これは、あらゆる業種の人に、ぜひ実践してほしい、相手の期待や自分たちの価値を探るしつもんです。相手の期待を知ると、自分たちがよかれと思って提供しようとしていた価値との違いに気づき、はっとさせられることもあります。

エステティックサロンの経営者の A さんは、大手のエステ会社に長年勤めた後、独立しました。僕は A さんに、あえて常連客にアンケートをとる提案をしました。しつもんは1つだけ。

「いろいろエステ店がある中で、なぜ当店を選んでいただけたのですか?」

50~60人ぐらいに答えてもらい集計したところ、第1位は 「駅から近いから」 でした。A さんは自分の高い技術力が売りと思っていたのでがっかりしましたが、お客様の 「選ぶ理由」 がわかり、店のホームページに 「駅から近い」 ことを大々的に打ち出したところ、客数を伸ばすことができました。


「競合と比べて」 がポイント


引用した質問である 「いろいろエステ店がある中で、なぜ当店を選んでいただけたのですか?」 のポイントは、前半部分です。単に 「なぜ当店を選んだのか」 と聞くのではなく、「いろいろエステ店がある中で」 と始めに言っていることが重要です。

「色々なエステ店の中で」 とあえて聞けば、質問をされた側は自分の頭に浮かんだ他のエステ店と比較して、エステ店を選ぶ理由を答えます。選ぶ理由は競合に対して相対的なものになります。競合と差別化された選ぶ理由を知ることができるのです。

エステ店の立場では、競合と比較して選ばれた理由とは、自分たちが競合よりもお客にとって高い価値を提供している 「強み」 です。


競合設定の注意点


「いろいろエステ店がある中で、なぜ当店を選んでいただけたのですか?」 という質問は、他のエステ店という競合と比べた自分たちの強みを聞く質問です。

ポイントは前半部分の 「いろいろエステ店がある中で」 と、お客にとっての自社以外の選択肢 (= 競合) を思い浮かべてもらうことでした。

注意点は、競合の設定です。引用した例では、質問は 「いろいろエステ店がある中で」 と、競合を他のエステ店に設定しています。

場合によっては、競合をエステ店だけではなく、より広くすることが必要です。

というのは、エステ店のお客にとっては、自分の身体を美しくしたいと思ったときの選択肢は必ずしもエステ店だけではないからです。エステ店で望むことによっては、例えば、自宅で自分でやる・皮膚科などの医療サービスを受ける・食生活を改善するなど、エステ店以外の選択肢があります。

お客の頭の中には、エステ店以外の候補があるにもかかわらず、質問では 「他のエステ店と比べて」 と選択肢を限定してしまうと、エステ店以外も含めた選択肢に対して自分たちの強みを知ることができません。あくまでエステ店という枠の中での強みです。


競合を決めるのは顧客


自分たちの商品やサービスの競合を設定するのは、本来は自分たちではなく顧客です。

顧客一人ひとりには、頭の中に浮かぶ選択肢や候補があります。自社を主語に考えれば、選択肢とは 「自社 + 他の選択肢」 であり、他の選択肢が競合です。顧客の頭にある他の選択肢を自分たちが勝手に決めると、顧客の頭の中とズレる可能性があります。

ある顧客にとって、美容に望むことがエステ店でしかできないことであれば、競合設定はエステ店でよいでしょう。しかし、別の顧客は望むことがエステ店以外でも可能であれば、競合はより広く捉えるべきです。

安易に同業他社を競合に設定すると、顧客が思っている他の選択肢を見落としてしまいます。自分たちの強みを正しく評価できません。

捉えるべき競合の範囲は、顧客の頭の中にあります。競合を決めるのは、自分たちではなく顧客なのです。



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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にてマーケティングリサーチ マネージャー (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝 8km のランニングとピアノ。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。