2012/12/08

マッキンゼーの採用基準から考える「僕らのリーダーシップ」

今年は自分のリーダーシップをいかに高めるかを考えた1年でした。これは仕事上での理由が大きいのですが、日頃から結構意識しています。

最近読んだ本でおもしろかったのが「採用基準」でした。

著者の伊賀康代氏はマッキンゼーの採用マネージャーを12年務めた方で、現在はキャリア形成コンサルタントをされています。

採用基準というタイトルはマッキンゼーが何を基準に採用しているのか、どういう人材を求めているかからきています。マッキンゼーが採用するにあたり重視しているのはリーダーシップです。本書での表現を使うと「将来グローバルリーダーとして活躍できる人」です。

■ マッキンゼーが求める人材は将来のリーダー

マッキンゼーの採用基準は3つあると言います。

  1. リーダーシップがあること
  2. 地頭がいいこと
  3. 英語ができること

2つ目と3つ目はイメージ通りですが、1つ目は意外に思うかもしれません。

著者はマッキンゼーが求めている人は、リーダーシップポテンシャルをもっている人と明確に言います。地頭とか論理的思考よりも採用基準としてリーダーシップを大切にしているのです。

なぜマッキンゼーはリーダーシップを重視するのでしょうか。

コンサルタントは問題解決を高いレベルでクライアントから求められる立場にあります。それもクライアントが自分たちで解決できないような「答えのない」ものです。

それを現実に解決していくにはいかに他者を巻き込んでいくかが肝であり、そのためにはリーダーシップが問われます。

単に頭がよい、論理的思考ができる、というだけでは他者やまわりを効果的に巻き込むことはできません。クライアントの組織や仕組みをドラスティックに変える、提案だけではなく実行するために求められるのがリーダーシップです。

■ リーダーの役割と身につけ方

著者の言うリーダーがやるべきことは4つでした。

  1. 目標を掲げる
  2. 先頭を走る
  3. 決める
  4. 伝える(コミュニケーション)

まずはビジョンだったり未来のあるべき姿を描き、それを目標に落とし込むことです。そのゴールに向かって先頭に立つのがリーダーです。

ゴールに向かって何の障害もないケースは稀で、随所で意思決定が必要になります。その時にリーダーがいかに決断するか、そして決めたことをどう伝えるか、まわりを説得し共感を得て導いていけるかです。

この4つのことは、以前のエントリーでも触れた内容にわりと近いかなと思っています。(参考:裸踊りと桃太郎から考えるリーダーシップ論|思考の整理日記

ではリーダーシップを身につけるためにはどうすればよいのでしょうか?マッキンゼー流のリーダーシップの学び方は、

  • バリューを出す:ここで言うバリューは成果を出すこと。結果を出すこととも言えます。リーダーとは非情なポジションでもあり、結果がなんぼだったりします。だからリーダーシップを身につけるためにも、常日頃から自分がやったことに対して「成果は何か」「付加価値は何か」を意識する。もちろん努力したというようなプロセスも大事ですが、これをやったと言える成果を出すことを心がける
  • ポジションをとる:ポジションとは自分ならこう考え意見が言えること、イシュー/課題に対する自分の立ち位置。仮に自分が最終的な意思決定者でなくても、自分がその立場だったらと想定し、どう決断するかを考える。自分の意見を常に持っておく
  • 自分の仕事のリーダーは自分という意識:上司やクライアントも含めた関係者をどう使って、巻き込んで進めるか。そのためには自分の仕事は自分自身がリーダーという意識が重要と著者は言います。指示されたこと・言われたことを受け身でやるのではなく、主体的に進めること、当事者意識や自分ごと化することでリーダーシップも養われるという考え方
  • ホワイトボードの前に立つ:会議でホワイトボードを使うことでその場の議論を整理したり、まとめる。ホワイトボードに書き、それをもとに会議を進めることでメンバーをリードしていく。この過程でリーダーシップが鍛えられる

■リーダーシップがあると何が変わるか

本書で良かったのは、単にリーダーシップが重要ですとか、リーダーシップの鍛え方はこうです、で終わらないことです。

リーダーシップを身につけると何が変わるかまで書かれていることでした。

2つあって、皆がリーダーシップを身につけることで世の中はどう変わるかの社会的側面と、個々人の働き方やどういう人生を歩めるのかの個人的側面です。社会全体と個人のキャリア形成に触れている点が本書のユニークなところです。

1人1人がリーダーシップを持つと社会はどう変わるのでしょうか。

一言で言えば、誰かが決めてくれるのに従うという受動的な姿勢ではなく、自分たちで解決しよう、変えていこう、という主体性のある社会になります。

個人的な自分の身の回りのレベルから、社会問題のわりと大きなものまでです。政治家が悪い、景気が悪い、○○が悪い、ではなく、じゃあ自分たちでどう解決しようか、というスタンスです。

個人レベルでも同じことが言えます。リーダーシップがあることで自分の人生をコントロールできる、と理解しました。

ここでも受け身ではなく主体的なスタンスが重要で、リーダーシップを持つことで、自身が人生のコントロールを握ることができるようになります。ひいては自分の世界観が実現でき、世界が広がっていくのです。

■ 1人1人がリーダーシップを持つ重要性

著者の主張で共感できるのが、1人1人にリーダーシップを持つことの重要性でした。

チームや組織で「リーダー」と呼ばれる人は1人かもしれません。1人のリーダーがいて残りのメンバーがリーダーに従うという中央集権型です。これは日本社会が今も中央集権の構図だし、企業でも多い形態ではないでしょうか。

実感としてあるのが中央集権型の組織やチームは、1人のリーダーの力量=チームの力量になることです。良くも悪くもリーダーに依存する組織です。

一方で、高いパフォーマンスが出せるのは、分散型の組織だと思っています。リーダーはいるけど、各メンバーが自主的/主体的に動き自分の役割にリーダーシップを持っている組織です。



全体統括は上司だったりのリーダーが見ますが、個別の役割やタスクにおいては各自がリーダーになって、時には上司も使うなどしてまわりに対してリーダーシップを取ります。

そのタスクを一番わかっているのは上司ではなくそのメンバーなので、リーダーシップを持って巻き込んでいくことができているチームです。

自分の経験上、分散型のほうがよりチームで取り組んだ意味があると言えます。自分一人ではできないことがチームではできて、かつ高い成果を出すことができるからです。

3-5人くらいのチームでもそうだし、もっとスケールを上げていくと社会全体、日本全体でもこれが当てはまるのではないでしょうか。みんながリーダーシップを持つことの重要性はここにあるように思います。


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