2013/04/20

鎌倉投信の「結い 2101」セミナーに参加してきました

鎌倉投信が運用/販売する投資信託「結い 2101」の説明会に行ってきました。

会場は原宿のとあるカフェの2Fで、鎌倉投信の鎌田社長がお一人で対応されていました。出向かえ・はじめの挨拶、そして説明も。鎌倉投信は広告・宣伝はやっておらず、PRは今回のようなセミナーが中心とのこと。

セミナー参加者は15-16人くらいで、時間は2時間ほど。前半1時間が鎌田社長からの鎌倉投信や「結い 2101」の説明、後半1時間は質疑応答でした。前半の説明では、自分たちはどういう考え方/運営をしているか・投資している会社・これまでの実績、あたりを中心に聞くことができました。

鎌田社長の「いい会社」への思い


セミナーで最もよく出てきたキーワードは「いい会社」でした。鎌倉投信がやろうとしていることを一言で言えば、いい会社を見つけて投資し、社会を良くすること。

セミナーを通じて思ったのは、鎌田社長が信じる「いい会社」への思い入れの強さでした。鎌倉投信は13年4月現在で41社に投資をしています。そのうちの何社の説明がありましたが、鎌田さんからは各会社のストーリーが次々に出てきました。投資先の社長の名前や人柄、どんな事業をやっていて、どういう価値を生んでいるのか。話にリアリティがあるんですよね。

というのは、ストーリーは全て鎌田社長の「体験」がもとになっているから。社長や従業員、時にはその会社がある地域の人と会って話したことだったり、実際にその会社に訪問した経験、鎌倉投信が主催する受益者説明会での投資している会社社長の講演で学んだことなど、どれも経験がベースになっている。

鎌倉投信の社長である鎌田さんが、自分たちが投資している会社について色々と語ることができる。「いい会社」のどこがいいかの本質がわかっていて、思い入れの強さを感じました。そしてその思いをオープンにする姿勢。鎌倉投信の魅力の1つです。

「結い 2101」の特徴


セミナーでは組み入れ銘柄の一覧を紹介いただきました。ざっと見た印象だと、小型株が多いように思いました。東証一部銘柄は全体の半分くらい。未上場の会社も3社ありました。鎌田社長は「安定している会社と若い小さな会社を組み合わせることでリスクを下げている」と言っていました。

結い 2101のもう1つの特徴はリスクとリターンのバランスの良さです。「結い 2101」とその他の多数のファンドについて、横軸にリスク・縦軸にリターン(いずれも実績)でプロットした時、「結い 2101」はローリスク&ミドルリターン、他のファンドの多くはミドルリスク&ローリターン、いくつかはハイリスク&ハイリターンになっていました。

「結い 2101」は設定来の実績リスクは8.5%、実績リターンは9.1%(ともに年率換算)。シャープレシオ(リターン÷リスク)は1を超えています。堅実な運用をしつつも、きっちりとリターンは上げています。

19日(金)は「結い 2101」にとってビッグニュースがありました。格付投資情報センター(R&I)が毎年実施している、日本の投資信託を定量評価「R&Iファンド大賞2013」において、国内株式部門で「結い 2101」が最優秀ファンドを受賞したのです。
『R&Iファンド大賞 2013』受賞ファンドを公表|R&I (PDF)

R&Iファンド大賞の選考基準は明確で、純資産額10億円以上、3月末時点での過去3年間のシャープレシオが評価されます。「結い 2101」の実績リスクは8.5%・実績リターンは9.1%がそれ。私にとって結い 2101の第一印象は「いい会社へ投資」というやや抽象的なものでしたが、数字でもきっちりと結果を出しています。

投資における最大のリスクとは


鎌田社長の言葉で印象的だったのは、「投資の最大のリスクは自分が何に投資しているかがわからないこと」。

この考え方はその通りだと思っています。というのも、投資信託は目論見書などを読めばなんとなく中身がわかったような気になりますが、よくよく考えると内容がわからない商品もあります。投資の方針/考え方、リスク等の説明はあっても、実際にどの企業にどう投資しているのか、プロセスや具体的な運用まではあまり書かれていない。

つまり、自分のお金の投資先がよくわからないのです。大切なお金だからこそ、何にどう使われているのかをちゃんと知っておきたい。どんな企業にどれくらい投資していて、それはなぜなのか。その企業はどういうビジョン/理念のもとで、何をしていて、どんな価値を世の中に提供しているのか。現実的な表現をすれば、投資するお金に期待するリターンの源泉は何なのか。

鎌田社長が言う「最大のリスクは自分が何に投資しているかがわからないこと」に共感しますし、ここを明らかにすることがセミナー参加理由の1つです。クリアにした上で実際に投資するかを判断したいわけです。

質疑応答から


セミナーの後半1時間は質疑応答でした。参加者からの質問に鎌田社長が答えてくれました。

Q1:鎌倉投信の運用は、一度企業に投資すれば株は保有し続けること。これまでで投資をやめた(売却)したことはあったか?その理由は?
A1:考え方はその会社が「いい会社」である限り保有し続ける。売却は会社の方針やスタンスが変わった時。売却事例は過去3年で2社。
1つは「らでぃっしゅぼーや」。これはドコモが同社を買収して非上場になったので特殊なケース。そうでなければ今後も保有したかった。もう1つは「ウェザーニュース」。13年3月に全て売却。理由は、労務環境の改善を伝えていたが、同社は個別面談をやらないことを決め対話が難しくなった。鎌倉投信が大切にしている直接の対話ができなくなったから。

Q2:①現在は投資先は41社。今後どれくらいまで広げるのか? ②実績リスクは8.5%(年率換算)。どんなリスク対策をしているか?
A2:①今は資産40億くらいで40社。今後は資産100億で100社の投資を目指している。少しずつ投資先企業を増やしていきたい。
②リスク対策は、資産の全てを株ではなく現金を持っておく、投資先の分散(どの企業もほぼ均等で投資)、値下がりで多く買い高いところで手を出さないを繰り返す。ちなみに取締役・資産運用部長の新井さんはもともとリスク管理を得意としているとのこと。

Q3:①現金比率が30%くらいとのことだが資産運用として効率が良くないのでは? ②債権は外債も含まれているのか?
A3:①現金を一定保有している理由は、価格変動リスクを減らすため、新しく「いい会社」をいつでも買えるように、大口顧客の解約への備えで商品の流動性担保(大口の解約は万が一の時のため)。現金を遊ばせているのではなく現金も有効な投資先の1つと位置付けている。
②債権は非上場企業の社債(13年4月現在で2社)。有担保コールで運用。

Q4:いい会社の選定プロセスは?どうやって「いい会社」を見つけ、投資を決めるのか?(これは私がした質問です)
A4:プロセスは、投資対象となる企業(上場3600社・非上場5000社)⇒鎌倉投信の評価基準による絞り込み⇒株価の評価(割安割高判断・財務健全性)⇒売買執行。選定は投資政策委員会で決めている。
いい会社をどう探すかは書面や数字だけだと見誤る。口コミを重視している。(すでに投資している)いい会社の社長さんが新たに紹介してくれたり、本の共著の関係もある大学の先生、鎌倉投信のお客が情報をくれることも。鎌倉投信の考え方に理解をしてくれている人たちの情報は質が高い。逆に、企業から売り込みに来る場合は投資先にならないことも。
いい会社ほど「自分たちがいい会社」と思っていないもの。ただ当たり前のことをやっている認識。実はそこがすごいのだが自分たちはそう思っていない。

Q5:最近はブラック企業がニュースになる。どう考えるか?
A5:世の中には完璧な企業はないと思っている。複数の側面をどう評価するか。鎌倉投信ではその会社にしかないものを評価し、マイナスがあれば改善点として直接伝える。大事なのはそれが受け取られるか、改善のために努力が見られるか。その会社の理念の徹底をあらためて伝える。

Q6:期待リターンの4%はどういうロジックか?根拠が知りたい(これも私がした質問)
A6:企業の成長性・実績から逆算して、最低ラインとして4%目標。具体的なロジックは、
  • 企業の利益成長性を10%とし、うち半分は税、残り半分が内部留保として増加(企業価値の上昇)⇒株価が5%上がる
  • 株主への配当金は2%。内部留保5%と合わせて7%
  • 資産の株式&債券比率が70%なので、7%×70%=4.9%(約5%)
  • 最後に信託報酬1.05%を除いて、期待リターンが4%

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今回のセミナー当日、NHKワールドの取材が入っていました。NHKワールドなので海外放送番組で使うとのことでしたが、セミナー中もカメラと音声マイクがまわり、参加者へのインタビューも行われるなど、いつもとは違った説明会でした。

私もセミナーの前後半の休憩中にインタビューを受けましたが、そういえばカメラがまわった状態でのインタビューは初めてかも。海外用番組なのでたぶん英語吹き替えor英語テロップになるとは思いますが、おもしろい体験でした。

セミナー開始前に鎌田さんはNHKの取材に触れて、こんなことを言っていました。「いずれは鎌倉投信を世界から評価される運用会社にしたい」。鎌倉投信の理念を貫いていけば、きっと実現できるのではと思いました。


これは鎌倉投信のシンボルマーク。

三つの「わ」は、鎌倉投信の基本理念でもある、日本の心を伝える 「和」 、心温まる言葉を大切にする 「話」 、社会や人とのつながりを表す 「輪」 を意味しています。


※参考情報

鎌倉投信について
結い 2101|鎌倉投信
ごあいさつ|鎌倉投信
『R&Iファンド大賞 2013』受賞ファンドを公表|R&I (PDF)


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多田 翼 (書いた人)