2015/09/21

書評: 入門 考える技術・書く技術 (山崎康司)




あることがらをロジカルに考えられているかどうかを自分で確かめるには、文章で書いてみる方法が有効です。


文章に書いて確かめる


すでに頭の中で論理展開の流れができていれば、書いていても途中で詰まることはありません。一方、自分の中で整理されていると思っていたことも、書いてみると途中で止まってしまうことがあります。ロジックがまだ不十分であると気づくわけです。

文章を書くことにおいて、特にビジネスで求められるロジカルな文章については、書く前にどれだけ考えられているかが重要です。

書いては書きなおしてという作業が減るばかりではありません。何よりも、読んでもらう相手にとってわかりやすい文章になるからです。その結果、読んでもらえる確率も上がり、相手の貴重な時間を無駄に費やすことも減るでしょう。


ロジカルな文章を書くための本


ロジカルな文章をどうやって書けばよいかを、わかりやすく説明してくれるのが 入門 考える技術・書く技術 という本です。



この本には、ロジカルで、読み手にとってわかりやすい文章にするにはどうすればよいかが、具体的に書かれています。特徴的なのは、平易な内容にもかかわらず、メールや報告書などビジネスでの応用範囲が広いと読んでいて感じることです。


 「考えるプロセス」 と 「書くプロセス」 を分ける


本書で強調されるのが、考えるプロセスと書くプロセスを分けることです。

もしあなたの報告書がわかりにくければ、その原因のほとんどは書く前の段階、すなわち、伝えるべき考えを明快に表現するという 「考えるプロセス」 にあるのです。

具体的にどのようなメッセージを伝えようとしているのか。なぜそう言えるのか。そのような考えが明快に表現され構成されていて初めて、わかりやすい説得力のある文章となります。


読み手にわかりやすい文章を書くために


では、読み手にとってわかりやすい文章にするための 「考えるプロセス」 とは何でしょうか。どうすればできるようになるのでしょうか。

それが本書が提唱するフレームワークです。読み手の疑問を明らかにするための「OPQ 分析」です。文章構成を考えるにあたって、以下の設定をします。

  • Objective: 読み手が目指している望ましい状況
  • Problem: 現状と Objective とのギャップ
  • Question: 読み手の疑問

3つ目の読み手の疑問に答えることが、あなたが書く文章の主メッセージとなります。


OPQ 分析の具体例


具体的な例で考えてみます。自分が営業職で、上司である部長に営業提案企画の文章を書くケースでは、

  • Objective: 営業部長にとって 「四半期目標として設定された売上目標を達成する」
  • Problem: 期初は順調だったが売上にブレーキがかかり、目標達成が難しい状況に
  • Question: 売上目標を達成するためにはどうすればよいか?

この OPQ 分析から、あなたの企画書の主メッセージは 「売上目標を達成するためには、◯◯ をすべきである」 となります。読み手である部長の Question に対する答えと、その根拠や具体的な実行イメージを書くことになるでしょう。


読み手の関心や疑問に向かって書く


ポイントは2つです。

  • 読み手にとっての Objective, Problem, Question と、書き手の Answer (主メッセージ) が、トピックとして一貫性があるかどうか
  • 読み手のことが理解され、トピックが的を外したものではないこと

本書で徹底されているスタンスは、読み手の関心や疑問に向かって書くことです。自分本位に書くことではありません。

そのために提唱されているのが、OPQ 分析なのです。


 「知っている」 と 「できる」 は異なる


読み手にとってわかりやすい文章を書くためには、本書で書かれていることを理解しただけでは不十分です。自分で読み手の OPQ 分析をし、考えるプロセスと書くプロセスを分けることを実際にやり、この方法を自分でやってみることが大切です。

本書が提案するのは、1日に1回でもよいので、メールを書いて送る前に OPQ 分析と、本書で紹介されている文章を書く時の注意事項を実践してみることです。

なるべく時間をかけずに1本のメールだけでもよいので、これを4ヶ月続けてみましょうと。

本書で書かれている内容は、メールを書く場合などすぐに取り入れて実践できることにとどまりません。レポートや企画書などについても広く応用ができることが、わかりやすく書かれています。



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多田 翼 (書いた人)