投稿日 2015/09/05

データ分析者として大切にしたい 「データ分析をする時の4つの問い」




会社を変える分析の力 という本は何度か読み返しています。


データ分析をする時の4つの問い


というのは、自分がこれまで、そしてこれからもデータ分析をする時に大切にしたい指針が書かれているからです。

指針とは、「データ分析をする時の4つの問い」 です。

  1. その数字にどこまで責任を取れるか?
  2. その数字から何がわかったか?
  3. 意思決定にどのように使えるのか?
  4. ビジネスにどれぐらい役に立ったか?

自分の仕事とデータ分析は、切っても切り離せないものです。今がやっている分析案件は4つを全て満たしているのかを、意識して問うことを心がけています。以下、4つの問いのそれぞれについて説明します。


1. その数字にどこまで責任を取れるか?


データ分析者の最低限の役割は、数字という集計結果を出すことです。まず問われるのは、出した数字が正しいかどうかです。

データから集計して結果を得られると、達成感は高まります。一方で、その数字が本当に正しいのか、単純な表記間違いや計算ミス、分析ミスをしていないか、という冷静さが必要です。自分自身がその数字に違和感がなく納得のいくものかどうかです。

データ分析者への1つ目の問いは、自分が集計し分析した数字に責任が取れると言えるかです。

なお、「数字が正しいか?」 と 「分析から予測できることが正しいか?」 は別の話です。データ分析結果というのは、あくまでデータという過去の事実から導かれる答えであり、これから起こる未来がその通りになるとは限りません。

データ分析者として責任を持たなければいけないのは、あくまで分析結果の数字が正しいかどうか (集計ミスなど間違っていないこと) です。


2. その数字から何がわかったか?


集計結果の数字を出した後に、それで終わりではなく、その数字が何を意味するかを提示できるかです。

例えば、データ分析をした結果、B に比べて A の効果は有意に 15% 高かった、という結果が出たとします。

ここで注意しないといけないのは、15% 高いというのは集計結果に過ぎないことです。データ分析者に求められるのは、この 15% という数字から分析者は何を考え、何を意味するかという 「解釈」 や 「知識」 を提供することです。

数字の解釈をするためには、そもそもの分析目的、課題 (分析視点) 、仮説、データ収集における制約条件などに立ち返って考える必要があります。

先ほどの 「B に比べて A の効果は有意に 15% 高かった」 は、解釈としては 15% 高かった A という施策を実施すると提言できるのか、それとも、ある条件では A を推奨するが別の条件下ではこういう理由で施策 B が望ましいと、提言できるかです。

15% 高いという結果は、プロセスを正しく踏めば他の人でも出せます。この結果をどう解釈し結論付けるか、どんな示唆を提示するかこそ、データ分析者の腕の見せどころです。分析者として、価値が出せるかどうかが問われるのです。

そのためには、集計結果の数字を出した後に、そこで終わりではなくどれだけ考察ができるかです。


3. 意思決定にどのように使えるのか?


ビジネスでのデータ分析の価値は、意思決定のためにどう使えるかです。もっと言えば、そもそものデータ分析に取り掛かる前の時点で、この意思決定のためにデータ分析をする、という明確な目的がないといけません。

例えば、マーケティングの C と D の2つの案があるとします。どちらが適切なのかが決めかねている状況で、分析結果から C か D のどちらがよいかの示唆を与えます。あるいは、この条件では C、条件がこう変われば D、という使い分けのための判断材料を提供します。

大切にしたいのは、いきなり集計や分析プロセスに入るのではなく、自分はこれからどういう問題に対して、何のために分析を始めるのかを明確にすることです。得られるであろう集計結果とその解釈が、意思決定にどう役立つかをまず最初に考えることです。

集計結果の読み込み、考察、レポート作成時においても、常に意思決定に貢献するためにはどういう見せ方がよいかを心がけることが大事です。


4. ビジネスにどれぐらい役に立ったか?


ビジネスで分析をする以上は、データ分析からわかったことが実際のビジネスに貢献できたかどうかが問われます。ビジネスへの貢献度を、具体的な数字 (売上や受注件数など) で答えられることです。

自分が実施したデータ分析が、売上や利益などのビジネスにおいて有益であったとなるのは1つの理想です。

4つの問いのうち、1つ目から3つ目までと、4つ目まではハードルとして違いがあります。

すなわち、1つ目のデータ分析結果が正しく (ミスがないと責任を持てる)・2つ目の集計結果だけではなく考察や示唆まで提示する・3つ目の意思決定の判断材料になるという段階までと、4つ目のビジネスとして役立ったと言えるでは、達成の難しさが異なります。

売上などへの影響は様々な内部と外部要因があり、データ分析から提示できる情報はその1つにすぎません。だからこそ、データ分析者として、ビジネスに貢献できるかどうかまで目指したいです。

ビジネスに役立つことまでいくには、分析をして終わりではなく、分析結果で役に立ちたい、もっと貢献したいという強い気持ちが求められます。意思決定者の立場になり、当事者意識を持つことです。意思決定にどう使い、それが実際のビジネスにどう活かされるのかをより具体的にイメージしてみることです。


まとめ


今回のエントリーでは、大切にしたい 「データ分析をする時の4つの問い」 を取り上げました。

  1. その数字にどこまで責任を取れるか?
  2. その数字から何がわかったか?
  3. 意思決定にどのように使えるのか?
  4. ビジネスにどれぐらい役に立ったか?

4つの問いを常に意識しながらデータ分析を進めるのか、それとも単に 「数字あそび」 をやっているだけなのかです。機を見て、本書を読み返したいです。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。