2016/03/30

外資系企業で3年働いた学び: ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化におけるコミュニケーション術




2016年の4月末で、今の会社に入って丸3年です。外資系企業という環境に、3年いたことになります。

外資系企業でのコミュニケーション


前職は日本の企業だったので、今の会社に入り英語を使うケースが増えました。メール、会議、英語の資料、日常の会話なども英語です (日本人同士であれば日本語、メンバーのうち1人でも日本語が堪能でなければ英語が使われます)。

英語でのコミュニケーションをあらためて考えると、日本語で日本人とのやりとりに比べると、様々な違いがあります。

ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化


その1つが、「ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化」です。今回のエントリーでは、外資系企業でのこれまでの経験から、異なる文化状況におけるコミュニケーションについて考えます。

「ハイコンテクスト文化」「ローコンテクスト文化」とは、文化人類学者のエドワード・ホールが提唱した概念です。

簡単に言うと、ハイコンテクスト文化とは「1を聞いて10を知る」、ローコンテクスト文化は逆で「10を聞いて1を知る」です。

  • ハイコンテクスト文化:単一に近い民族で、言語 / 価値観 / 倫理観 / 嗜好性などの文化的背景の共通度が高い
  • ローコンテクスト文化:多民族や多様な人々からなり、お互いの文化的背景が異なる

日本はハイコンテクスト文化で、アメリカはローコンテクスト文化です。

一概には言えませんが、日本企業はハイコンテクスト文化、日本にある外資系企業はローコンテクスト文化という傾向があるでしょう。

ハイコンテクスト文化だった前職の日本企業


振り返ると、自分がいた前職の日本企業はハイコンテクスト文化でした。

前職はマーケティングリサーチの企業でした。マーケティングやリサーチの専門能力が求められるためか、会社内で共有されていた価値観や使われる専門用語も多数あり、文化的な共通点が見られました。

ハイコンテクスト文化とは「1を聞いて10を知る」、阿吽の呼吸が成立しやすい環境です。

今の外資系はローコンテクスト文化


一方、今いる外資系企業は典型的なローコンテクスト文化です。

会社全体として特定の専門業界だけをやっているわけでもなく (事業領域の多様性) 、また社員のバックグラウンドも様々 (人の多様性) です。

共通のコミュケーション言語は英語ですが、一口に英語と言っても、違う言語と思えてしまうくらい共通言語という観点でも多様です。

ハイコンテクスト文化でのコミュニケーション


ハイコンテクスト文化では、価値観や背景がある程度共有されているので、コミュニケーションの前提が「全部を言わなくても伝わるだろう」となります。結果として、ときには曖昧な表現であったり、主語や目的語が省略されることがあります。

例えば、上司が部下に「昨日のあれ、来週でよろしく」と言うことが普通に起こります。

このようなコミュニケーションが成り立つのは、上司と部下の間において「あれ」「来週」「よろしく」だけで、伝えたいこと / やるべきことが共有できるからです。

ローコンテクスト文化でのコミュニケーション


これがローコンテクスト文化であれば通用しません。

例えば、このように明確に言うことになるでしょう。「昨日の会議で進捗を報告してくれたレポートは、来週のクライアントとの打ち合わせで提示したい。ストーリーや結論は理解したので、あとは自分で進めてほしい。よろしく頼む」

ローコンテクスト文化では、言わないことは決して伝わりません。

外資系企業での経験から言うと、言わないことを相手がこちらの心情を察して理解してくれることは、まずありません。もっと言えば、相手によっては「言っても伝わない」ことも起こります。

今の会社に入った頃は、なぜ言っても伝わらないのかと思っていました。今では、相手によっては自分の言ったことは、一度では伝わらないことを前提にしたコミュニケーションをしています。

相手にこちらの要望を説明していると、これは前にも同じことを言ったと自分の中で思うことがよくあります。

この状況は始めは慣れなかったのですが、今は大事なことは3回言うとか、時には10回くらい言ってようやく伝わったと実感できるケースもあります。まさに「10を聞いて1を知る」という感じです。

自分がよくやる伝え方として、結論 → 理由 → 結論 と、一度の発言の中で始めと最後に同じ結論を言うことがあります。メールのような文字として残る場合は必ずしも必要ないですが、会話ではやっています。

他にはあいまいな表現は極力避けます。

日本語で言う「善処します」「前向きに検討します」のような表現をすれば、相手には「やります」と理解されます。日本人同士であれば、やんわりとお茶を濁さないように断っているニュアンスは、ローコンテクスト文化では伝わりません。

違いを理解する


ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化は、どちらが優れいているというものではありません。文化的な共通度合いによって発生する「違い」です。

自分がいる環境はどちらなのかを判断し、意識してコミュニケーションをすることが大切です。


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多田 翼 (書いた人)