2016/04/18

書評: 日産で学んだ世界で活躍するためのデータ分析の教科書 (柏木吉基)




日産で学んだ世界で活躍するためのデータ分析の教科書 という本をご紹介します。

以下は本書の内容紹介からの引用です。

カルロス・ゴーン社長をも納得させた「データ分析」とは?

国籍や職歴も関係なく、誰もが納得するデータ分析には、「ストーリー」が必要です。本書では、日産自動車に10年以上勤め、カルロス・ゴーン氏や外国人役員に数々の提案をし、V字回復経営を直接支えた著者が、世界で通用する「データ分析術」を伝授します。

具体的には、「基礎的な分析手法」から「納得させるストーリーをつくるスキル」、「プレゼン用のデータの見せ方」まで。この1冊だけで、分析知識ゼロの初心者が、客観的なデータを使い、上司を納得させる提案をつくるまで、が学べる内容となっています。

また、「いきなりデータに手を付けて分析に失敗してしまう・・・」「思いつきで分析を増やしてしまう・・・」など、データ分析のよくあるお悩みも解決。新人からベテランまで、あらゆるビジネスパーソンの実務に役立つ1冊です。

この本では、自動車メーカーにおける具体的な課題例をもとに、話が展開されます。課題設定は、過去1年において、自分が担当している地域での自動車売上高が悪化しているというものです。

課題解決ストーリーは、以下の流れに沿っています。

  • 目的 / 課題の明確化
  • おおまかな現状把握
  • 課題ポイントの特定
  • 要因の特定
  • 方針とアクションおよび KPI (と必要リソース) の設定

このプロセスは、著者が伝えたいデータ分析をストーリーに落とし込むために、どう考えればいいかを示しています。

すなわち、ビジネスで目の前のデータを使って分析を始める前に、意識しておきたいチェック項目です。この5つを事前に考えてあれば、ただ闇雲に集計してしまうことは避けられるでしょう。

このように、本書の特徴は、データを使っていかにストーリーをつくるかに力点が置かれていることです。

XX 分析の具体的なやり方も紹介されていますが、それはストーリーのためのあくまで手段であり、本書での説明も最低限に抑えられています。

具体的な個別の分析方法よりも、データや分析から、目的であるビジネス上のゴールに対してどう持っていくかが、1冊を通して書かれています。

本書の序章に書かれていたことで、印象に残っている箇所を引用します。

誰が見ても分かる「データ」で、筋の通った分かりやすい「ストーリー」がないと、極めて限られた時間内でゴーサインをもらうことはできない。

誰かの思い付きや思い込み事実と違うことを語ってしまったり、間違った方向性を示してしまうと、関係する人との人間関係も含めて大変な事態になりかねない。

(中略)

いずれも慎重に事実に基づいた内容を、自分の意見だけではなく、数字やデータに “語らせる” テクニックがここで生きてくる。

ポイントは、最後の「数字やデータに語らせる」ことです。

データ分析はあくまで、伝えたいこと、組織をどう動かすかのためであるという位置づけで、大事なのは、数字やデータを使って何を言うかです。単にデータを集計して終わり、ではいけないのです。

日本語で一口に「情報」と言っても、意味するものはいくつかのレベルの違いがあります。英語で言えば、Data, Information, Intelligence です。

  • 集計される前の数字情報やローデータ (Data)
  • 集計してつくった数表やグラフ (Information)
  • 分析から得られる評価、解釈や示唆 (Intelligence)

データ分析で起こりがちなのは、2つ目の Information の段階、つまり、単にデータを集計しグラフにした状態で満足してしまうことです。

しかし、データ分析者に求められているのは、むしろその先です。いかに価値のある Intelligence を提供できるかです。分析結果に対する評価、解釈や見解、次のアクションのための提言です。

ここまで踏み込んでこそ、手段であるデータ分析が活きるのです。




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