投稿日 2024/07/02

リテールメディア 「Aeon Ad」 。直接の顧客接点、顧客 ID 起点でデータ連携、一気通貫の効果測定まで

#マーケティング #リテールメディア #ビジネスモデル

自社のビジネスで、お客さんの真のニーズをどれだけ把握できているでしょうか?
企業はデータの海に埋もれ、何をもとに戦略を練ればいいのか見失っていないでしょうか?

今回は、イオンリテールの 「Aeon Ad (イオンアド) 」 というリテールメディアの事例を取り上げます。会員データと販売データを駆使して、マーケティング活動を効率的に展開・管理し、実際の販売効果までをデータで可視化しています。

そんなイオンリテールの戦略の舞台裏に迫り、あなたのビジネスにどのように活かせるかを解き明かします。ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。

イオンリテールのリテールメディア


ビジネスでは、表面的な見えるところだけではなく、裏側の仕組みまでの 「ビジネスモデル」 を理解しておくといいです。

今回は 「リテールメディア」 について、ビジネスモデルの観点で掘り下げていきます。

リテールメディアとは


リテールメディアとは、スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの小売企業が展開する広告や販促のメディア (媒体) です。小売が保有する店内の棚やデジタルサイネージ、EC サイトや自社アプリに広告を表示します。

リテールメディアの特徴は、広告配信に小売が持つ販売データ (会員 ID 付きの ID-POS データ) を使っていることです。消費者の購買情報を起点にする広告配信や販促情報の提供、そして広告・販促効果の検証を実際の販売データをもとに行えます。

リテールメディアは消費者と広告主の双方にメリットをもたらし、小売にとっては新たな広告収入の源泉となることを目指します。

出典: MarkeZine

イオンリテールの取り組み


出典: MarkeZine

小売各社のリテールメディアの中で、今回取り上げるのはイオンリテールのリテールメディアです。

Aeon Ad


イオンリテールは、公式アプリを起点に顧客会員データと店舗の販売データを紐づけ、お客さん1人ひとりにパーソナライズされた情報を提供するリテールメディアを推進しています。

イオンリテールがリテールメディアとして提供する広告メニューの 「Aeon Ad (イオンアド) 」 では、店頭のデジタルサイネージ、アプリでのクーポン配信、他には特設サイトや SNS との連携もできます。

出典: MarkeZine

消費者とのコミュニケーションの目的によって、Aeon Ad は商品認知、興味喚起、購入意向の醸成を狙う様々な広告配信が可能です。

出典: MarkeZine

YouTube 広告 やテレビ CM と連携


Aeon Ad では、YouTube やテレビなどのイオンリテール以外のメディアにも広告配信ができます。

出典: MarkeZine

YouTube 広告の接触データやテレビ CM 視聴データを Aeon Ad と掛け合わせることで、イオンリテールの購入情報や会員情報などを顧客 ID (イオンでは 「iAeon (アイイオン) 」 という名称の顧客 ID) を起点にしたイオンリテールの外にも広告を出していけるわけです。

販売データを使った効果検証


出典: MarkeZine

イオンリテールのリテールメディアには、広告の効果測定とそのレポートが広告主に提供されます。

イオンリテールの販売データと広告接触データを分析することで、施策の効果を検証できます。
Aeon Ad ではイオンリテールでの販売データがあるので、広告が実際にお客さんの購買にまでつながったのかを把握することが可能なのです。


イオンリテールから学べること


では、ここまで見てきたイオンリテールのビジネスモデルから、マーケティングの観点で特に注目したいこと、学べることを整理してみましょう。

イオンリテールの Aeon Ad は、小売の持つ会員データと販売データを活用し、マーケティングコミュニケーションのプランニングから実施、そして効果検証に至るまでのプロセスを一気通貫で実行する仕組みです。

Aeon Ad の特徴のポイントは、次の3つです。

  • 直接の顧客接点を持っている。顧客接点とは、商品を買う実店舗や欲しい商品やクーボンを見ている自社アプリ
  • 顧客情報を広範に保有し (POS データの購買, アプリ内行動, 会員登録情報 (属性情報) , クーポン等の利用データ) 、顧客 ID を起点に自社内だけではなく外部 (YouTube やテレビ) ともつながっている
  • クーポンや広告の施策実施について、その効果が投じたお金に対して見合ったものなのかの検証までできる

順番に見ていきましょう。

直接の顧客接点


リテールメディアでは、直接的な顧客接点に可能性やポテンシャルがあります。

イオンリテールは、実店舗や自社アプリを通じて消費者との接点を持っています。顧客接点があるということは、お客さんが何を欲しがっているのか、どのようなクーポンや情報に、どんな人が、どう反応するのかを把握できるということです。

ビジネスでは、お客さんとの直接的な接点をいかに増やし、そして深めるかが重要です。顧客接点があることで、顧客ニーズや行動からの顧客理解、商品や来店の訴求など柔軟なコミュニケーションができます。

顧客 ID を起点にしたデータ連携


2つ目のポイントは、顧客情報の広範囲な収集と活用です。これは1つ目で見た顧客接点があるからこそです。

イオンリテールでは、自社での販売データやアプリ内行動、会員登録情報、クーポン利用データ、広告接触データなど、多岐にわたる顧客情報を保有しています。データ利用の観点で重要になるのは、これらの各種データは会員からはビジネスでの利用をすることへの許諾も得られたデータだということです。

保有する顧客情報をもとに、1人ひとりに振られた顧客 ID (iAeon) を起点として、イオンリテールのメディアだけでなく YouTube 広告やテレビ広告という外部メディアとも連携しています。

ビジネスへの汎用的な示唆を考えると、顧客情報を多角的に収集し、それを統合的に分析することの重要性を学べます。顧客情報の質と量が、マーケティングの成果を左右します。

一気通貫の効果検証


3つ目のポイントは、一気通貫でつながった施策の効果検証です。

イオンリテールは、クーポンや広告といった施策を行った後に、効果が投資に見合ったものかを検証する仕組みを用意しています。

広告や販促の効果検証を通じて施策の成果を数値で、しかも広告・販促情報に接触した人が実際にその商品を買ったかどうかまでを検証できます。誰がどんな訴求への反応が良かったのかから、次のアクションに活かせるわけです。

学びを汎用化すると、ビジネスでは実施した施策の効果を振り返り、評価をすることの重要性です。実行をやりっぱなしで終わらすことなく、PDCA サイクルを効率的に回していくことが大事です。

顧客中心のビジネス展開


イオンリテールの事例から学べるのは、お客さんとの直接的な接点、広範囲にわたる顧客情報の収集と活用、そして施策の効果検証の徹底という3つのポイントです。

これらは、どの業界でも参考になるビジネスの基本原則です。顧客中心のビジネスを展開し競争優位性を高めるためには、これらの要素を総合的に理解し、実践に移すことが不可欠です。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。