2016/04/20

マーケティングで覚えておきたいベネフィットセグメンテーション。いかにニーズを具体化できるかがポイント




マーケティングでは、顧客になってほしい人を絞ります。人を分けることをセグメンテーションと言い、分けられたグループはセグメントと呼ばれます。


一般的なセグメンテーション方法


セグメンテーションで難しいのは、どうやって分けるかです。オーソドックスな切り口は、性別と年代、居住地域、職種、家族構成、年収などを使います。

例えば、20代女性というデモグラ情報で人を分けて、そのセグメントに入った人たちの特徴やニーズを探るやり方です。20代女性とそれ以外の人たちの 「違い」 を分析します。


ベネフィットでセグメンテーションをつくる


このやり方とは全く違うセグメンテーションの方法が、新人 OL 、つぶれかけの会社をまかされる という本に書かれています。



デモグラ情報などで人を分けるのではなく、ベネフィット (顧客が得られる価値) で分けます。同じベネフィットを求める人たちをくくり、セグメントをつくるというやり方です。


求める価値が同じ人を 「くくる」


ポイントは、人を 「分ける」 のではなく、求める価値が同じ人で 「くくる」 ことです。

該当箇所を引用します。

「20代女性」 (男性でも同じです) といった場合、20歳の遊び回る大学生、21歳の就活の大学生、23歳の新人ビジネスパーソン、25歳の中堅ビジネスパーソン、27歳の DINKS の主任、あるいは29歳のお子さんがいる専業主婦など、さまざまな 「20代女性」 が含まれてしまいます。

「20代女性」 という分け方ではニーズが全く違う人が混在してしまうので、ニーズがわからないのは当たり前なのです。

(中略)

ではどうすればいいのでしょうか?求める価値が違うために分けるのですから、「ベネフィット (価値) 」 でくくればいいのです。

「分ける」 というより 「くくる」 ですね。ニーズが近い人をまとめるのです。

(中略)

当たり前のように見えますが、こればベネフィットセグメンテーションなどと呼ばれる、実は比較的高度な手法です。

「時間がないから10分で昼食をすませたい」 というニーズを持つ40代男性は、「ゆっくり同僚と話がしたい40歳男性」 より、「時間がないから10分で昼食をすませたい」 というニーズを持つ20歳女性に近いのです。

「ゆっくり同僚と話がしたい」 という40歳男性は、「ゆっくり友人と話がしたい」 という20歳女性のニーズに近いでしょう。年齢や性別ではなく、求める価値でくくればよいのです。

マーケティングでのターゲット顧客を明確にするために 「分ける」 ではなく 「くくる」 というのを初めて見たとき、なるほどと思ったことを覚えています。


ベネフィットセグメンテーションの方法


では、具体的にはどういう方法でくくればよいのでしょうか?再び、本書から引用します。

顧客を価値でくくる具体的な方法は、具体化 → 普遍化 → 人をくくる、という3ステップです。これは私のオリジナルノウハウです。

まずは 「価値」 を具体化します。「付加価値」 のようなあいまいな言葉ではダメです。「どんな」 付加価値なのかを、お客様の言葉で具体化します。

イタリアンレストランの場合、最低限 「上司に怒られた後、友人と大騒ぎしてスカっとしたい」 くらいには具体化します。

(中略)

次に、具体化した後で、普遍化します。この場合は、「大騒ぎして職場のストレスを発散」 ですね。

最後に、同じような 「価値」 を求める人を探してくくります。「いうことを聞かない部下にハラをたて、大騒ぎしてスカっとしたい」 という課長さんも、同じニーズかもしれません。

すると、この課長と部下のニーズは同じですから、同じセグメントとしてくくってしまっていいわけです。「ストレス発散大騒ぎニーズ」 で考えると、世代も性別も違う人が同じ価値を求めているわけです。

(中略)

「具体化 → 普遍化 → 人をくくる」 という順番がポイントです。

最終的には性別・年代などに落とし込んでもいいのですが、それは、価値で人をくくった 「後」 の話です。価値で人をくくってみて、「やっぱりゆっくり語らうニーズは30代カップルが多い」 ということであれば、それは 「30代カップル」 とすればいいのです。

このようなプロセスを飛ばして 「30代カップルのニーズは?」 などと考えると、「ニーズがわからない」 と嘆くことになります。


価値を具体的に表現する


引用は平易に書かれていますが、内容は深いことを言っています。

「具体化 → 普遍化 → 人をくくる」 という順番であり、その中でも重要なのは最初の 「具体化」 だと思います。

ターゲットとしたい顧客はどんな価値を求めているのか。徹底的に具体化します。

顧客が求めている価値をなるべく具体的に言語化する、同じ価値を求めている人でくくります (セグメンテーションは 「分ける」 という発想ではなく) 。

顧客が得られる価値をベースにセグメントを考えるアプローチは、覚えておいて損はないセグメンテーションのやり方です。



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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にて 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝1時間のランニング。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。